2017年末に発売されたiMac Proは、スペックの高さだけでなく、付属のキーボードやマウスといった周辺機器も本体同様のスペースグレイで統一されたことで話題になった。昔から「黒いモデルは特別版」というイメージが強いApple製品。単体販売を望むユーザが多かったこの周辺機器の使用感をお届けしよう。
Magic Mouse 2-スペースグレイ
【発売】アップルジャパン
【価格】1万800円 (税別)
【URL】apple.com
Magic Keyboard (テンキー付き)-スペースグレイ
【発売】アップルジャパン
【価格】1万800円 (税別)
【URL】apple.com
待望の単体販売開始
アップル製品の魅力に、使いやすさ、シンプルさ、美しさなどを挙げる読者も少なくないだろう。しかし筆者は、これらに加えて「特別感」もあるのではないだろうかと考えている。先日発表されたiPhone 8の「PRODUCT (RED)」モデルや、iPhoneの発売10周年を記念して作られたともいわれるiPhone Xなどはその好例だ。アップルは何かの節目にこういったスペシャルエディションを登場させて、我々を喜ばせてくれる。
こういったスペシャルエディションには、ほかのモデルにはないカラーや機能が用意されていることが多い。その中でも徹底して“専用品”だけを用意しているモデルが、iMacプロだ。筐体がスペースグレイになっているだけでなく、電源ケーブルやキーボード、マウス、オプションのトラックパッドやライトニングケーブルに至るまで、すべてのカラーをスペースグレイで統一している。
Mac本体に黒系統のカラーが採用されたことは過去にもあったが、周辺機器に関しては十数年以上に渡って白を基調にしており、iMacプロ付属のマジックキーボードなどは非常にレアな存在となっていた。そのため、コアなユーザの間では「欲しい」という声が多かったようだ。だが、このためだけに高価なiMacプロを購入するわけにもいかず、多くの人が羨望の目で見つめるだけの存在になっていた。
そんなリクエストに応えることにしたのか、アップルは“iMacプロ専用”としていたこれらの周辺機器を、別売りの単体アクセサリとして販売開始した。本誌でも早速入手し、従来のシルバーモデルとの違いをチェックしてみた。
シルバーモデルとの質感の違い
従来販売されていたシルバーのMagic Mouse 2やMagic Keyboardと比較してみた。採用している素材はシルバーと同様だが、カラーがスペースグレイになるだけでかなり締まった印象が強まる。なお、「Magic Trackpad 2-スペースグレイ」も1万5800円(税別)で単体販売されている。
ライトニングも特別仕様
今回発売になったのは、スペースグレイ版の「テンキー付きマジックキーボード(Magic Keyboard)」「マジックトラックパッド2(Magic TrackPad 2)」「マジックマウス2(Magic Mouse 2)」の3つ。いずれもiMacプロに同梱されていたものと同一の製品だ。従来の製品と比較すると、使用している素材そのものに違いはないが、単にプラスチック部分をブラックに変えているだけでなく、アルミニウム部分もiMacプロと同じスペースグレイで仕上げられている。
基本的な性能や対応するシステム条件が変わっていないことから、内部のメカニズムに関してはシルバーモデルと同一スペックであることは間違いない。それにも関わらず、シルバーモデルと比較して2~3000円高い設定になっているのは、同梱するライトニングケーブル(0.9m)の端子部分もブラックになっているなど、「特別モデル」として細部まで徹底してこだわっているからだろう。
今回改めて従来品と比較してみたが、同じ製品でもブラックを基調とするだけでこれだけ違うのか…と思わず唸ってしまうほど、スペースグレイモデルからはシャープでシックな印象を受けた。さらに、iMacプロだけでなく、MacプロやMacミニと一緒に使っても違和感のない配色など、利用シーンを当初から意識し、それに見合ったデザインを採用していることにも気づかされた。
Lightningケーブルの端子も黒い
スペースグレイのMagic Keyboardのキー配置は、日本語だけでなく、英語を含む8カ国の言語に対応するモデルが用意されている(オンラインのみ)。また、同梱物は従来のものと同じだが、付属のLightningケーブルの端子部分は特別なカラーリングを採用している。
ウィンドウズでも使える
デザインだけでなく、周辺機器そのもの価値はどうだろうか。スペースグレイのマジックマウス2とマジックトラックパッド2は、ともにmacOS10・11エルキャピタン以降を搭載したMacであれば使用可能だ。しかし、トラックパッド2はブルートゥース4.0が必要になるため、概ね2012年以降(MacミニのみLate 2011)に発売されたモデルに対応する。
マジックキーボードに関しては、macOS10.12.4シエラ以降に対応しており、こちらはテンキーのないモデルと仕様が異なるので注意しよう(テンキーなしはmacOS10.11エルキャピタン以降対応)。設定に関しては、ライトニングケーブルでMacにつなぐだけでペアリングなども自動的に行ってくれるため、素早く使い始めることができる。
また、マウスやトラックパッドはMacのみの対応となるが、キーボードはMacだけでなくiOSデバイス(iOS10.3以降)やアップルTV(tvOS10.2以降)でもペアリングして利用できる。アップル純正機器のため、音量や画面の輝度、再生やスキップなどのメディアコントロールキーも標準で対応するなど、メリットも大きい。
実は、本稿もiPadプロとマジックキーボードを使って検証を兼ねながら執筆を行った。薄くて軽いため、膝の上に乗せてタイプしても手の負担が少なく、ノートブックで作業するよりも快適に作業できることがわかった。
ここまではいわゆる“カタログどおり”の検証だが、気になるのは「ウインドウズでも利用できるのか?」ということ。そこでウインドウズ10で検証を行ったところ、ブルートゥース機器としてすんなりとペアリングが完了。キーボードに関しては、ライトニングケーブルで接続すると、そのまま有線のキーボードとして利用可能だった。
このような部分のハードウェア仕様は、Macとウインドウズとの間に違いがなく、設計段階から互換性が保たれているがゆえに問題なく使用できる。だが、Mac固有の仕様 (たとえば、キーボードであればファンクションに割り当てられているコントロールキー、マウスやトラックパッドであればマルチタッチジェスチャ操作)は、標準機能ではサポートされていないようで、動作しなかった。
しかし、これを動作させたいと思う人は多いようで、ドライバやユーティリティソフトが数種類存在する。有名なものでは「マジック・ユーティリティズ(Magic Utilities)」シリーズがあるが、こういったものを使えば、アップル製品以外が混在した環境にも利用範囲が広がるため、購入意欲が高まる人も多いのではないだろうか。シンプルに「黒いモデルがかっこいいから欲しい」だけではなかなか手を出しにくいかもしれないが、周辺機器の買い替えや追加導入を検討していた読者には是非購入をおすすめしたいところだ。