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意外や意外!Amazon EchoはAppleデバイスと相性よし

著者: 牧野武文

意外や意外!Amazon EchoはAppleデバイスと相性よし

Appleのホームスピーカ「HomePod」の日本発売日は未定。待ちきれないので「Amazon Echo」を買ってみたが、意外にAppleデバイスとの相性がいい。Appleユーザは、Amazon Echoをどのように活用できるのか。実際の使用体験をレポートしていく。

今買うのは本当にお得?

アップルのホームポッド(HomePod)は2月9日に米・英・豪で発売されたが、日本での発売日は未定だ。発売までじっと待つか、それとも個人輸入するか、あるいはほかのスマートスピーカを買うか、迷っている人も多いのではないかと思う。アマゾン・エコー(Amazon Echo 以下、エコー)やグーグル・ホーム(Google Home)はたびたび大幅値引きキャンペーンをしていて、そのタイミングで購入すれば1万円以下で手に入れることができる。とりあえずいずれかを入手し、ホームポッド日本発売までの「つなぎ」で使ってみるというのも手だ。

しかし、問題がある。私たちアップルユーザは、身の回りの機器をできるだけアップル製品でまとめたいという気持ちが強い。それは決して、アップルに対する忠誠心のようなものだけではない。アイクラウド(iCloud)やエアドロップ(AirDrop)など、アップル製品には素晴らしい連携機能が用意されている。一度使い慣れてしまうと、もうこの快適さを捨てるのは難しい。

そこで、実際にエコーを購入して、macOS、iOSと連携する機能がどの程度あるかということを調べてみた。今エコーを買うか、我慢してホームポッドを待つか迷っている人の参考になれば幸いだ。

今回紹介するスマートスピーカ「Amazon Echo」。Appleユーザでも便利に使える機能が搭載されている。頭脳となるAIアシスタントはAlexa。価格は1万1980円だ。(【URL】https://www.amazon.co.jp/dp/B071ZF5KCM/ref=ods_bn_cat_aucc_rad

そして、Apple製の「HomePod」。優れたオーディオ性能を実現している。こちらのAIアシスタントはおなじみのSiri。価格は349ドルだ(日本未発売)。(【URL】https://www.apple.com/homepod/

スケジュール管理はお任せ!

エコーを使ってみてうれしい誤算だったのが、アイクラウドのカレンダーと連携できることだ。エコーのセットアップには「アマゾン・アレクサ(Amazon Alexa)」というiOSアプリを使う。このアプリのカレンダー設定から、「Google」「Microsoft」「Apple」のどのカレンダーを利用するか選択できる。「次の予定は?」「金曜日の13時に食事会という予定を追加して」などの音声操作が利用でき、アイクラウドのカレンダーに問題なく反映される。もちろん、iOSデバイスでもMacでも追加した予定を確認できる。

特に便利になるのが、メールで伝えられた予定をカレンダーに登録したいときだ。Macでならなんということもない。当該メールを表示して横にカレンダーを開き、該当する日付に予定を入力すればいいだけだ。しかし、iOSデバイスの場合は少々面倒である。メールを開いて、日時を暗記して、カレンダーに切り替えて予定を入れることになる。こんなときにエコーがあれば、iOSデバイスのメールを見ながら音声で予定を登録できる。「日時を暗記する」というステップが不要になるだけで、心理的なストレスが減少する。一度体験してみると、これがいかに快適であるか実感できるはずだ。

EchoはiOS向けに公開されている「Amazon Alexa」アプリから、iCloudのカレンダーに接続できる。これで、iPhoneやMacのカレンダーと連携が可能になる。

リマインダーとの連携はNG

しかし、エコーはアイクラウドのリマインダーとは連携できない。代わりに、ToDoリストとして「買い物リスト」と「やることリスト」が用意されている。リストはエコーの音声操作で管理することができ、たとえば「買い物リストに牛乳を追加して」と言えば、アレクサアプリの買い物リストに登録される。「買い物リストを教えて」と言えば、登録した内容をエコーが読み上げてくれる。

アイクラウドのリマインダーと連携してくれないのは残念だが、現在のところエコーはリビングに置いて家族で使うのに適したデバイスといえるので、かえって都合がいいかもしれない。リマインダーには仕事関係のことを、買い物/やることリストには生活関係のことを、という使い分けができるからだ。冷蔵庫の牛乳がなくなりそうなときは、そのまま「買い物リストに牛乳を追加して」と言うだけでいいし、家族が同じように音声で登録しておいてくれてもいい。家族が同一のアカウントでアレクサアプリにログインしていれば、買い物リストをいつでも共有できるのだ。

EchoはiCloudのリマインダーとは連携できないが、ToDoリストとして「買い物リスト」と「やることリスト」を備えている。Echoの音声操作でリストに登録した項目は、Alexaアプリから確認できる。

アップル・ミュージックも再生

エコーがもっとも活躍するのは、やはり音楽を聴くときだろう。リビングでBGMをかけるスピーカとして、これ以上うってつけのものはない。エコーの音質は、オーディオ通からすれば評価に値しないと言われてしまうのだろうが、個人的には悪くないと感じている。低音も力強く出ているし、大音量にしても音割れを感じさせない。本格的に音楽を楽しむならともかく、BGM利用なら十分だと思える。

エコーはアマゾン・ミュージック(Amazon Music)に対応していて、「癒されるプレイリストを再生して」などと指示すれば、それに近いプレイリストを探して再生してくれる。また、アレクサアプリからプレイリストや楽曲を指定して再生することもできる。アマゾン・ミュージックで特におすすめなのが「ラジオ」だ。特定のジャンルの曲を途切れることなくランダムに再生する楽曲ステーションで、「J−POP」や「ロック」など多数のジャンルが用意されている。このラジオは、自分好みに育てていくことを楽しめるサービスだ。楽曲を聴きながら「この曲、サムアップ/サムダウン」と言うことで、自分の好き嫌いを記憶させることができる。次回同じステーションを再生するときに、より自分好みの曲が増えていくのだ。

とはいえ、多くのアップルユーザは、アップル・ミュージック(Apple Music)をエコーで再生できないかと考えるだろう。将来アップル・ミュージック対応のスキル(アプリに相当)が登場すれば可能になるが、現在のところ、音声操作でアップル・ミュージックを再生する方法はない。ただし、エコーは通常のブルートゥーススピーカとしても使用できる。エコーとアップルデバイスをペアリングすることで、アップル・ミュージックを再生することが可能だ。

やはりEchoは音楽を聴くときに活躍する。BGM用のスピーカとして利用するぶんには、音質も十分だ。

Amazon Musicを聴くときは「癒される音楽をかけて」などと音声操作してもいいが、Alexaアプリからプレイリストを直接タップしても、Echoで再生することができる。

Alexaアプリでは、数多くのスキル(アプリに相当)が公開されている。中でも人気なのが「radiko.jp」。Echoで各局のラジオが聴けるようになる。

注目はニュースとタイマー

エコーはほかにも音声ショッピングなどの面白い機能を搭載しているが、結局MacやiPhoneを使ってしまうことになりがちだ。そんな中で、便利に使えそうな機能が2つあった。

1つめは「フラッシュニュース」だ。フラッシュニュースとは、自分で設定したメディアのニュースをエコーがまとめて読み上げてくれる機能。ラジオで放送された最新の定時ニュースが聞ける「NHKラジオニュース」ほか、有用なメディアが多数用意されている。これまで筆者は、朝出かける支度をしているときにテレビをつけていたが、今ではエコーでニュースを再生するようになった。リモコン操作のために手を離すことなく、情報を得ながら準備ができるのはとても快適だ。

さまざまなメディアのニュースを読み上げてくれる「フラッシュニュース」の設定画面。「NHKラジオニュース」は、ラジオで放送された最新ニュースをそのまま再生してくれる。

もう1つはタイマー機能。シリ(Siri)にもタイマー機能はあるが、エコーのタイマーはいくつでもセットすることができる。「ゆで卵7分タイマーをセット」「パスタ5分タイマーをセット」「カップ麺3分タイマーをセット」と、次々にセットしていくことが可能なのだ。顔をエコーに向けることなく、料理をしながらつぶやくようにタイマーを設定できるのは、料理好きにとってうれしい。

このように、エコーはたくさんの魅力的な機能を備えている。もちろん、アップルユーザが使うのであれば、ホームポッドのほうが快適な体験ができるかもしれない。しかし、エコーも意外にmacOS、iOSと親和性があることがわかった。キャンペーン期間に購入して、ホームポッドまでのつなぎにするのは決して悪い選択ではないと思う。いつかホームポッドを購入したら、エコーは寝室ででも使えばいいのだ。

将来楽しみなのが、この定型アクション。ウェイクワードを発話することで、設定したアクションを自動的に実行してくれる。現在のところ追加できるアクションは少ないが、充実してくれば相当使える機能に育ちそうだ。