すべてがプロ仕様
内部で注目すべきは、プロセッサ。コア数は最低でも8コア、さらに10、14、18コアまで選べる桁外れのスペックだ。プロセッサ・ブランドも8月末に発表されたばかりのワークステーション向けのハイエンド「ジーオン(Xeon)W」が投入され、名実ともに業界トップクラスの性能を持つ。
ハイエンドを採用しているのはCPUだけではない。GPUに採用されるラデオン・プロ・ベガ(Radeon Pro Vega)は、AMD社が総力を結集して開発したハイエンドモデル。レンダリング描画性能だけでなく、VRやAR、そしてGPGPUとあらゆる分野のプロのニーズに応えられる性能を持つ。
このCPUとGPUを支えるために、メモリとストレージにも高い基準のグレードが選別されている。メモリは2666MHzのDDR4規格が指定されており、これはDDR3だったMacプロはもちろんiMacの2400MHzタイプよりもアクセス速度が早い。さらにサーバなどで用いられるECC(エラー訂正性機能)付きのモジュールを採用。これにより、CPUのスピードと品質がかなり厳しく求められるが、その一方で最大搭載量が128GBまで対応されるのはプロユーザにとっては朗報だろう。
それはストレージも同様で、速度面でボトルネックとなるハードディスクは候補から外れ、SSDのみの構成となった。また、これまでは「SSDは速度はともかく容量が少なすぎて足りない」という声も散見されたが、今回の構成では最低でも1TB、さらにオプションでは2TB、新たに4TBが提供されることになった。接続もSSD接続に最適化されたNVMeを採用、これによって4Kを超えるようなビデオ編集でもリアルタイムで可能な転送速度を実現している。
iMacの皮を被った怪物
これだけのハイスペック・マシンと化したiMacプロだが、フルパワーで使ったときの熱量も比例して高まるのは想像に難くない。そのため、筐体背面底部に設けたスリットによって吸気量を大きく増やすことに成功している。加えて、本体の中心部に設置されたデュアルファンと巨大なヒートシンクで熱交換を行い、一新された内部のエアフローで効率的に冷却する。
そのほかにも周波数のレンジが増え、低音やラウドネスが強化された新しいスピーカや、アップルが開発したハードウェアコントロールとセキュリティを統合したMac専用シリコンチップ「T2」など数多くの新技術が投入されているのも大きな特徴だろう。iMacの形をしながらその中身は別物─これぞ、まさにモンスターと呼ぶべき存在だ。
INSIDE
カラーリング以外の外観はiMacのそれだが、中身はまるで別物。特別な冷却装置やスピーカなどを搭載している。
CPU
iMac ProのCPUとして投入されたのは最新世代のIntel Xeon W。18コアモデルは現状の最上位モデルなので、文字どおり最強のCPUを選ぶことができるようになっている。
GPU
AMD社のハイエンドGPU「Radeon Pro Vega」を採用。CTOオプションで用意されているRadeon Pro Vega 64は、HBM2メモリを通常モデルの2倍(16GB)搭載し、特別にカスタマイズされている。
メモリ
100GBを超えるサイズのメモリを搭載する上で、もっとも怖いのがメモリ内のエラー。長時間かけて計算した結果が1つのエラーで台無しになってしまわないよう、iMac ProはECC付きのモジュールが採用された。
SSD
SSDはその特性上、ストレージサイズが増えるとスループット(処理能力)効率も高まる。3Gbpsクラスのスループットが出ることで、データサイズの大きなファイルだけでなくソフトの動作そのものにも恩恵が。
冷却装置
再設計された冷却機能はエアーフローベースで75%効率が上がったことで、熱許容量は80%増加している。従来より67%も大きい500Wという巨大な電力供給から生み出される熱量も十分にカバーできる設計だ。
スピーカ
筐体全体の設計が見直される中、スピーカも新型モジュールに。よりクリアに、原音に忠実なサウンドを大きく豊かな音で聞こえるようになるなど、ただの「飾り」にしない配慮がなされている。