シンプルながら着実な設計
「デバイス(d:vice)」は、iOSデバイスやMacに接続し、高性能なマイクを使った録音を行えるオーディオインターフェース。同種の製品は1万円以下の安価なものもありますが、本製品はマイクとのセットで10万円を超えるかなりの高級品。96KHz/24ビットという、いわゆる「ハイレゾ」級のスペックを持っていながら、本体は直系5.6センチとコンパクトな設計になっています。本体上は特殊なマイクロドット仕様のマイク端子が2つとマイクロUSB端子(ライトニングへの変換ケーブル付き)のみで、必要なものだけを配したシンプルな造りです。
iOSデバイスと使う場合、ライトニング経由で接続したうえで、専用アプリを使って入力レベルなどの調整を行います。見やすいレベルメータで音量がオーバーしないかを確認でき、そのほかモノラル/ステレオの切り替えや低音カットなど、こちらも必要最小限な構成に。レベル設定以降は、デバイス内蔵マイクの代わりとして、録音、動画、ライブ配信など各種のアプリにそのまま使うことが可能です。項目数が少なくとも「足りない」と感じるものはなく、内蔵マイクをそのまま置き換えるという設計者の意図が見てとれます。
ノイズに強い端子を搭載
マイクの接続端子はMicroDotという特殊なもので、ロック付きで抜けにくい構造になっています。非常に極小ながら、一般的なミニジャック接続のマイクよりノイズも入りにくく、安定した運用が行なえます。
本来の目的に集中できる
今回はラベリアマイク(いわゆるピンマイク)が2つ付いた「ダブルラベリアキット」を購入し、音質や使い勝手をチェックしました。音質は安価なマイクにありがちな周波数の偏りが感じられず、フラットながらも声の成分全体が安定して収録されます。そのままでも聴きやすいですし、細かな調整でさらに向上するポテンシャルも秘めています。また、製品自体のノイズが非常に低いので、収録したインタビュー音声を、ホール等で大音量再生するのにも十分耐えうるクオリティです。
本製品は、録音操作にできるだけ神経を割かずに、なおかつ「普通に」高音質で録音したい人におすすめ。具体的には、インタビューの機会が多いジャーナリスト/ライターや、iOSデバイスで動画を高音質で撮影・配信したい人などです。また、本体に高級感があり、対談の動画中に映っていたとしても雰囲気を壊しません。ある程度の音質を持つ録音機器は、大きめの機械や複数のケーブル、シビアな操作などが必要なケースが多いですが、本製品はそうした要素を省いて、メインの目的に集中できる大変優れた製品です。
高性能なマイクが付属
キット付属のラベリアマイクは、一聴しての派手さはないものの、ぶれのないしっかりと安定した集音が可能。マイク単体で数万円レベルで販売される製品クラスのクオリティが確保されています。
わかりやすい専用アプリ
専用アプリの「d:vice」では、音量の調整や、モード(2本のマイクをステレオで使うか、独立した2本で使うか)など必要最小限の構成で、録音に詳しくない人でもそれほど苦労せずにマスターできます。
[SPEC]
d:vice ダブルラベリアキット
【発売】ヒビノインターサウンド
【サイズ】12(H)×56(W)mm(突起部を除く)
【価格】オープンプライス
【実売価格】16万円前後
【URL】https://www.apple.com/jp/apple-tv-4k/
【主なスペック】
【重量】約50g 【備考】動作環境:Mac/Windows/iOS 10.0以上、周波数レンジ:20 ~ 22kHz ± 0.2dB(Fs=48kHz)、20~40kHz ± 0.2dB(Fs=96kHz)/ダイナミックレンジ:114dB/対応サンプリングレート:44.1、48(デフォルト)88.2、96kHz/最大対応解像度:24bit
私が紹介します!
大須賀淳
映像作家・音楽家。シンセドキュメント映画「ナニワのシンセ界」監督。