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変身が楽しい教育ロボットKamibot

著者: 山田井ユウキ

変身が楽しい教育ロボットKamibot

2020年の公教育プログラミング必修化に向けてさまざまな子ども向け学習用教材が登場している。そんな中で2017年5月に登場した新しい教材が「カミボット(Kamibot)」だ。開発したのはIoTデバイスやスマホアプリ開発を得意とする韓国の株式会社3・14。日本での販売はロジックススクエア株式会社が手がけている。3・14でカミボットを開発した文(ムン)氏は、かつてロジックススクエア社に在籍しており、当時から教育用のロボットを開発したいという夢を持っていた。大の日本びいきであり、カミボット(紙+ロボット)というネーミングも彼が考えたものだ。

Kamibot

【発売】ロジックススクエア

【価格】2万5920円

【URL】http://www.kamibot.com/jp/

6歳から12歳の子どもと対象としたプログラミング学習用ロボット。専用アプリを使ってプログラミングすることで、ロボットの各種動作を自由にコントロールでき、楽しみながらプログラミング教育の基本を身につけることができる。専用のペーパートイをロボットに付けて遊べることから、「紙」と「ロボット」を掛け合わせて「Kamibot(カミボット)」と名づけられた。

一方のロジックススクエア社は、CEOの莊司雅通氏が文氏とともに10年前に立ち上げた企業で、VRやIoTアプリなどの研究開発を事業として展開している。文氏の夢に共感した莊司氏は、カミボットを日本で販売するため、クラウドファンディングサイト「マクアケ(Makuake)」で支援を募集。予想以上のスピードで目標金額を達成し、国内での販売を開始した。

もっとも、プログラミング教育ビジネスは何年も前から市場が加熱しており、ライバルも多い。その中で学校や家庭で選ばれるにはどうすればいいのか。差別化のポイントは対象年齢だ。

「プログラミング教育ソフトやロボットの多くは10歳から12歳くらいから上の年齢を対象にしたものが多いのですが、カミボットは6歳から学ぶことができます」(莊司氏)

小さな子どもでも安全に遊べるよう、カミボットにはさまざまな工夫が凝らされている。円柱型の本体はシンプルでロボットにありがちな突起がなく、ケガの心配がない。部品がポロッと外れたりもしないので、幼児が誤って口に入れてしまうこともないのだ。

「小学校などで教材として使う場合、ある程度雑に扱われることも想定しなければいけません。カミボットのシンプルな造形は先生にとって大きな安心材料になります」(セールスマネージャ・福島公明氏)

見た目はシンプルなカミボットだが、中身は高性能だ。強力なDCモータやサーボモータに加えて、超音波センサと赤外線センサを搭載。障害物や地面に書かれた線などを認識して動き回ることができる。本体の模様部分にはLEDが仕込まれており、さまざまな色に光らせることもできる。こうしたカミボットの動作を、子どもたちはiOSアプリを活用してプログラミングしていく。

クラウドファンディングで開発資金を調達

日本最大級のクラウドファンディングサイト「Makuake」にて資金を調達したところ、目標金額50万円に対して125万7900円の金額が集まった。同サービス内では、「Kamibot基本セット」や法人向けのセット販売が行われた。

見た目はシンプルでも高性能なセンサ類を多く搭載

Kamibotは、本体前面に超音波距離センサを、底面に赤外線距離センサを搭載している。超音波距離センサは前方の障害物を認識するために使われるそうだ。また、RGB LEDを搭載しており、発光する色をアプリで自由に変更できる仕様になっている。

年齢や目的に応じてアプリが4種類用意されているのも特徴的だ。文字を読めない子どもでもプログラミング思考の基礎を養えるよう、記号がデザインされたカードを使ってカミボットの動きをプログラムできる「カミカード(KamiCard)」、米国マサチューセッツ工科大学で開発された学習用プログラミング言語「スクラッチ(Scratch)」ライクなインターフェースで本格的にプログラミングが学べる「カミブロック(KamiBlock)」、さらにゲームのコントローラのようにカミボットを操って遊べる「コントローラ(Kamibot Controller)」と、物心つく前からカミボットで遊ばせるための「カミリモート(KamiRemote)」である。

また、カミボットの見た目を自由にアレンジできる「ペーパートイ」もユニークだ。素材は公式サイトからダウンロードできるほか、自分たちで自由に作ることもできる。さまざまな方向から子どもたちのクリエイティビティを刺激できる教材なのである。

今後はペーパートイのさらなる充実、ロジックススクエア社が得意とするVRとの連係も視野に入れて展開されるというカミボット。プログラミング教育市場の台風の目になりそうだ。

ペーパートイを使ってロボットを自由にカスタマイズ

Kamibotはそのままでもシンプルでかわいらしい見た目をしているが、専用のペーパートイを使うことでさらに楽しく遊ぶことができる。戦車や飛行機といった乗り物から、猫やクマといった動物まで幅広い種類のデザインが用意されている。これらのペーパートイは公式ホームページから無料ダウンロードでき、プリントアウトした型紙に、自由にカラーリングを施して自分だけのKamibotをデザインすることもできる。

専用アプリ「KamiCard」でロボットに指示を出す

専用アプリの1つ「KamiCard」では、記号でデザインされたカードを使ってプログラミングすることができる。「うごき」「いろ」「おと」「くりかえし」の4つのカテゴリから、Kamibotをどのように動かしたいか、カードを組み合わせる。文字が読めない年齢の子どもにぴったりなプログラミング学習アプリだ。

Scratch風にデザインされた「KamiBlock」アプリ

学習用プログラミング言語「Scratch」のようなアプリ「KamiBlock」。画面左に用意されている指令を右画面にドラッグ&ドロップすることでKamibotを動かす。「KamiCard」アプリよりも深度の深いプログラミング学習を体験することができる。

学習用としてだけではなく普通のおもちゃとしても

本製品はプログラミング学習用としてだけではなく、通常のロボットトイとしても十分に楽しむことができる。「Kamibot Controller」アプリと「KamiRemote」アプリでは、ラジコン感覚でKamibotを操作できる。まずはこちらでKamibotおよびスマートフォン、タブレットの使い方に慣れ、次第にプログラミング学習へ移行する、といった活用も期待できる。

ロジックススクエア株式会社

左:代表取締役兼エンジニア:莊司雅通氏

右:セールスマネージャ:福島公明氏