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「OKARA oh.1 」でスピーカをワイヤレス化

著者: 大須賀淳

「OKARA oh.1 」でスピーカをワイヤレス化

“楽器の風格”を持つ高級感

今や音楽は、iPhoneなどのデバイスからブルートゥースを使ってワイヤレス再生するのが半ば常識的。ブルートゥースオーディオに対応しないコンポなどでは、音声入力に「ブルートゥースレシーバ」という機器を接続することでワイヤレス再生を実現できます。最近は数千円程度のレシーバも多いものの、チープな雰囲気のものが多く、こだわりのオーディオには不釣り合いな場合も…。一方、この「oh.1」は、木材の種類や、本物のピアノと同じものも含む表面仕上げなどの違いで5種類のデザインが用意され、組み合わせる機器やユーザの好みにベストマッチするものを選べます。

実はブルートゥースオーディオの音質は、オーディオ愛好家やミュージシャンにはあまり評判が良くありません。その中で登場した本製品の特筆点は、開発元のQUICCO SOUNDが浜松を拠点とする「電子楽器メーカー」であり、おそらく世界でも有数の厚さを持つ同地の音響・音楽系企業やエンジニアの協力を受けながら開発された品だということ。筆者の周囲でも、音にかけては一家言ある方々がその音質を認めています。一見地味ながら、実はブルートゥースオーディオの限界に挑戦する意欲的な製品なのです。

USBから電源供給

oh.1はバッテリを搭載していないものの、USBから電源供給できるので、モバイルバッテリ等を使えば使う場所を選びません。邪魔にならない極小サイズながら、質感、手触りともに高級感があります。

数値でわかる音の良さ

それでは実際に音質をチェックしましょう。クラブミュージックやクラシックなどさまざまな音楽ソースで、本製品と数千円のブルートゥースレシーバを比較しました(音楽制作用のスピーカとヘッドフォンを使用)。本製品は一つ一つのサウンドの“隙間”がはっきり感じられ、演奏の展開により自然に成分が増減するのがわかります。一方、比較した他製品は、一聴すると派手に聴こえるものの、音同士の分離が悪く、曲の表情がのっぺりしてしまいます。

この違いは「感覚」だけでなく、数値的なデータとして表せます。本製品と他のレシーバで同じテスト信号を再生して「アドビ・オーディションCC(Adobe Audition CC)」で録音したところ、本製品は人間の可聴域ギリギリまで自然に伸びるのに対し、他のレシーバはある帯域でバッサリと成分がカットされています。通販サイトのレビューもそこそこ良い製品ですが、いかに音楽の繊細なニュアンスが欠落しているかがわかります。

お気に入りのオーディオ装置と曲を末永く楽しみたい人には、是非ともおすすめしたい逸品です!

古いモデルでもワイヤレス化

外部入力が備わっていれば、作られた年代やメーカーを問わず、手持ちのスピーカがBluetooth対応に早変わり。oh.1は5種類のデザインがラインナップされていて、自分にベストマッチするものを選べます。

音の情報量が違う

右がoh.1、左が数千円のレシーバからの音声出力をAdobe Auditionでスペクトル表示したもの。自然に伸びるoh.1に比べ、比較製品は成分がカットされており、情報量の違いが明白です。

[SPEC]
OKARA oh.1
【発売】QUICCO SOUND
【サイズ】15.0(H)×44.0(W)×32.0(D)mm
【価格】6998円
【URL】http://quicco.co.jp/ja/oh1/

【その他スペック】
Bluetooth仕様:Bluetooth 4.2/Bluetoothプロファイル:A2DP/対応コーデック:AAC/aptX/aptX Low Latency/伝送距離:10m/電源・入力電圧:USB/5V、外装:ウォールナット無垢木材オイル仕上げ/ピアノ鏡面塗装(プレミアム仕様)/端子:ステレオミニジャック(TRS 3.5mm)/USB Type-A

私が紹介します!
大須賀 淳

映像作家・音楽家。シンセドキュメント映画「ナニワのシンセ界」監督。