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置くだけでiPhoneを簡単充電!ワイヤレス充電の正しい知識

著者: 吉田雷

置くだけでiPhoneを簡単充電!ワイヤレス充電の正しい知識

iPhone 8/8 PlusやiPhone Xの新機能として搭載された「ワイヤレス充電」。国際標準規格「Qi(チー)」が採用されており、すでにこの充電方法に対応する充電器は数多く存在する。来年発売予定のApple純正充電器「AirPower」を前に、ワイヤレス充電のポイントを押さえておこう。

アップルウォッチの充電は?

iPhone 8/8プラス/Xに新機能として搭載され、話題となったワイヤレス充電。対応する充電器の上にiPhoneを置くだけで充電でき、従来のようにライトニングケーブルを接続する必要がない。

この充電機能の規格には国際標準である「Qi」が採用されている。まず、アップルが採用したQiについて、詳しく見てみよう。ワイヤレス充電を行う技術は、電磁誘導方式と呼ばれるものを基本としていて、電力の送信側と受信側にそれぞれコイルを置き、送信側に電流を流すことで受信側コイルとの間に「磁束」を発生させ、2つのコイルを結合させて電力を送る仕組みだ。実用化されたばかりの頃は、各社が独自にワイヤレス充電機器を開発していたため、異なる企業や製品間で互換性がなく、機器ごとに充電器を設置する必要があった。そんな中、2008年にワイヤレスパワーコンソーシアム(Wireless Power Consortium、以下WPC)が起ち上げられ、相互利用可能な国際標準規格を策定することになった。そこで2010年7月にされたのがQiだ。

Qiは給電能力を大きくするべく現在も規格のバージョンアップが進んでいる。最初に策定された「Volume I Low Power」では最大5W、磁界共振を一部取り入れた「Standard Power Profile」では最大7.5>W(5V/1.5A)の電力を供給できる。現状、iPhone 8/8プラス/Xは5Wでのみ充電可能だが、将来的にiOSのアップデートによって7.5Wの電力で充電できるようになる。iPhoneに付属している電源アダプタは5W(5V/1A)なので、その時点でワイヤレスながらライトニングケーブルでの給電能力を凌駕することになる。しかし、非接触充電のために有線に比べると効率が悪く、単純に充電時間が早くなるわけではないことを覚えておこう。

アップルは以前にもワイヤレス充電に対応した製品をリリースしている。そう、アップルウォッチだ。初代アップルウォッチからアップルウォッチも・シリーズ2はQiの「マグネット方式」を採用しているが、MFiライセンスを取得した充電器による充電のみをサポートしているため、残念ながらQi規格の汎用充電器では充電できないそうだ。

ただし、アップルウォッチ・シリーズ3に限っては、来年発売予定のアップル純正ワイヤレス充電器「エアパワー(AirPower)」に対応する、とアップル公式WEBサイトにてアナウンスされている。しかし、アップルウォッチ・シリーズ3がQi規格のサードパーティ製充電器で充電できるかというと、そうではない。その理由は不明だが、確かに多くのサードパーティ製充電器ではうまく充電できない。エアパワー自体がQi規格かどうかも明らかになっていないが、アップルウォッチ・シリーズ3をiPhoneと同じワイヤレス充電器で充電するためには、エアパワーの発売を待つか、サードパーティから両デバイスに対応した製品が発売されるのを待ったほうがよさそうだ。

充電器にiPhoneの中央が配置されるように置くだけで充電が開始される。3mm程度の樹脂やプラスチック製のケースであれば装着した状態でも充電可能だが、アルミニウム製など、金属製の場合は充電ができないため、充電時には外す必要がある。

iPhone 8/8 Plus/Xでついに対応したワイヤレス充電機能。ワイヤレス充電器自体はiPhoneに同梱されていないため、ユーザ自身で購入しなければならない。現状、Apple純正のワイヤレス充電器はリリースされていないので、サードパーティ製のQi対応ワイヤレス充電器が選択肢となる。

7.5Wモデル以上がおすすめ

さて、出力や充電速度を測るため、アンカーのQi対応ワイヤレス充電器「パワータッチ10(PowerTouch10)」を使ってiPhone 8プラスを充電してみた。本製品は最大で1Wを給電できる仕様だが、出力結果は5V/1A(5W)。これは、iPhone側が現状5W以上のワイヤレス充電に対応していないからである。

気になる充電時間だが、ケースに入れていない状態では、有線での充電に比べて特別遅いという印象はなかった。10~30%までの充電で検証した結果、ワイヤレスの場合は39分程度、有線では28分ほど。なお、アルミ製のバンパーを付けた状態でも結果は変わらなかった。

また、樹脂製の1ミリ厚程度のケースに入れた状態でも正常に充電でき、同条件で50分程度だったが、背面がアルミ製のケースでは充電できなかった。さらに、ライトニングケーブルを接続したまま充電器に置くと、充電器には5V/0.2Aが流れ、ケーブルと同時に充電できているのかは不明だが、26分かかった。ディスプレイを点灯させたままで短時間の検証だが、参考になれば幸いだ。ちなみに、ワイヤレス充電では充電器がiPhoneのほぼ中央にくるよう配置しなければ充電開始されないため、ヘッドフォンなどを有線で接続したまま充電するときには、iPhoneの位置がずれないよう注意が必要だ。また、手帳型ケースは装着したままでも置き方次第で充電できるが、クレジットカードやSuicaなどを挟んでいる場合はカードに不具合が起きる恐れがある。手帳型ケースを使っているユーザはケースを外して充電したほうがよいだろう。

現在アップルストアで購入できるサードパーティ製のQi規格対応ワイヤレス充電器は、モーフィー(mophie)の「ワイヤレスチャージングベース(wireless charging base)」とベルキン(Belkin)の「ブーストアップ・ワイヤレス・チャージング・パッド(Boost Up Wireless Charging Pad)」の2つ。どちらも将来的に可能になる7.5Wでの充電に対応する。また、サードパーティからも多数製品がリリースされており、たとえばアイキューラボからは利用用途に合わせて選べるさまざまなタイプが販売されている。

ワイヤレス充電の一番の利点は、これまで以上にシンプルに、置くだけで簡単に充電できることだ。もちろん充電中にiPhoneを利用する場合や急いで充電する必要があるならライトニングケーブルを接続して充電することになるが、仕事中にiPhoneをデスクに置いているようなときは圧倒的にワイヤレス充電が便利だ。エアパワー登場の前に、サードパーティ製充電器を使って、この便利さを体験してみてはいかがだろうか。

厚めの手帳型ケースでは、置き方によって充電できないこともあり、サッと気軽に充電器に置くような運用は難しいだろう。また、ケースにクレジットカードなどを挟んでいる場合は、カードに不具合が起きる恐れがあるために注意が必要だ。なお、金属製のバンパーの場合、充電器の形状によって充電できないことがあった。

Apple純正のワイヤレス充電器「Air Power」は来年登場予定(価格は未定)。iPhoneだけでなく、Apple Watch Series 3やAirPodsなど、対応デバイスを3台同時にワイヤレス充電可能だ。

iPhone 8/8 Plus/Xで使える主なQi対応ワイヤレス充電器

Belkin Boost Up Wireless Charging Pad

【発売】Belkin

【価格】6980円(税別)

【URL】https://www.apple.com/jp/shop/product/HL802ZM/A/belkin-boost-up-wireless-charging-pad

充電が開始されると、LEDが点灯して充電開始を教えてくれる。3mm程度までのケースに対応し、iPhoneの仕様に合わせた7.5Wの出力が可能。Apple Storeで購入できる。

 

mophie wireless charging base

【発売】mophie

【価格】6980円(税別)

【URL】https://www.apple.com/jp/shop/product/HL812ZM/A/mophie-wireless-charging-base

薄型でコンパクトな充電台で表面はラバー製のため、iPhoneが滑りにくくなっている。最大出力はiPhoneの仕様に合わせた7.5W。Apple Storeで購入可能。

 

RAVPower Alpha Series Fast Charge Wireless Charging Pad

【発売】ソフトバンクC&S

【価格】7980円

【URL】https://www.softbankselection.jp/cart/ProductDetail.aspx?sku=4589616080706

QCアダプタが付属したRAVPowerのワイヤレス充電器。側面に搭載されたLEDインジケータでモードが急速充電モードなどを確認できる。出力電力は10W。

 

Spigen F301W

【発売】Spigen

【価格】39ドル99セント

【URL】https://www.spigen.com/products/essential-f301w-wireless-charger-ultra-slim

9V/1.8A出力に対応するAC充電器を使うことで最大の出力が得られるワイヤレス充電器。形状が平面でなく山なりになっていることも特長だ。出力電力は10W。

 

NILLKIN Qi 車載ワイヤレス充電器

【発売】NILLKIN

【価格】2499円

【URL】http://amzn.asia/apHs7Kp

iPhoneの背面に金属部品を貼り、磁石によって固定するiPhoneホルダーと充電器が一体となった車載用ワイヤレス充電器。

 

Anker PowerPort Qi 10

【発売】アンカージャパン

【価格】3999円

【URL】https://www.anker.com/jp/products/variant/PowerPort-Qi-10/A2513011

最大出力が10Wのワイヤレス充電器で、側面の配された青色LEDにより、充電状態がひと目で分かる。厚さが7mmと非常に薄いのも特長だ。

 

IKEA NORDMARKE

【発売】IKEA

【価格】3999円

【URL】http://www.ikea.com/jp/ja/catalog/products/40308309/

家具などで有名なIKEAがラインアップする充電台は、最大出力は5Wと控えめだが、スタイリッシュな外観が魅力的だ。