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賢いバックアップでアップデート後も快適に使おう

著者: 海老原昭

賢いバックアップでアップデート後も快適に使おう

早くバックアップを取ってHigh Sierraにアップデートしたいのに、そのバックアップがなかなか終わらない…。でもそれって、もしかしたら無駄なデータをバックアップしているのかも。High Sierra移行後も快適に使い続けられるよう、起動ディスクはあらかじめシェイプアップしておきましょう。

[STEP 1]内蔵ストレージを見直そう

バックアップは、すべてのデータを丸ごと取っておくのが一番です。とはいえ、バックアップ完了までに時間がかかってしまうケースもあるでしょう。バックアップの前に、不要なデータを整理しておくのも1つの手です。

ただし、バックアップ前のデータ整理では、「疑わしいデータは削除しない」という原則を胸に刻んでおきましょう。もし日頃から完全なバックアップを取っているのなら、マシンから重要なファイルを捨ててしまっても復元が可能です。しかし、バックアップを取る前に捨ててしまったファイルは、あとで取り戻すことは決してできません。

捨てるかどうかの見極めは難しいことも多いのですが、その目安の1つに「あとで入手可能かどうか」という判断方法があります。たとえば、インターネットから入手したフリーウェア、購入履歴が残っていて再ダウンロードが可能なソフトや音楽コンテンツなどは比較的削除してもリスクが少ないといえます。逆に、自分で作成した書類や撮影した写真データなどは削除のリスクが高く、見極めには細心の注意が必要です。

(1)起動ディスクのストレージ使用量を見るには、[アップルメニュー]から[このMacについて]を選びます。

(2)開いたウインドウで[ストレージ]タブをクリックすると、現在の空き容量のほか、占有しているファイルの内訳を知ることができます。ここで[管理]ボタンをクリックしましょう。

(3)Sierraから、内蔵ストレージ内を監視して、空き容量が少なくなるとさまざまな方法で自動的にストレージの節約を実行する機能が搭載されています。前画面で[管理]ボタンを押すと「システム情報」が起動します。これがストレージ最適化を管理するソフトです。左側には項目別のデータ容量、右側には容量を節約するための方法が表示されています。

(4)たとえば、[不要なファイルを削除]を実行してみましょう。ファイルを容量の大きい順に並べて表示してくれます。これを参考に、不要なファイルは削除しましょう。ソフトの削除や、添付ファイルの削除も可能です。

ストレージ内のコンテンツを整理しよう

(1)まずはサードパーティ製のメンテナンスソフトの「OnyX」を使って、キャッシュファイルをクリアしましょう。[クリーニング]ボタンをクリックし、その中の[システム]および[ユーザ]のタブからキャッシュを削除します。

OnyX

【開発】Titanium Software 【価格】無料

【URL】http://www.titanium.free.fr/

(2)メール内の添付ファイルは、ストレージ容量をか占有するので、適宜選んで削除しましょう。

(3)また、メールのメッセージ自体も案外容量を占めます。古いメールマガジンなどは削除しましょう。

(4)iTunes Storeで購入した曲は、[ダウンロードしたものを削除]で削除してもいいでしょう。

(5)デバイスから削除しても、iTunes Storeの[購入済み]を選べば、再ダウンロード可能です。

使わないソフトはアンインストールしよう

(1)Macではほとんどのソフトが、[ソフトケーション]フォルダからソフトをゴミ箱に入れるだけでアンインストールできます。

(2)LaunchPadでソフトのアイコンをしばらくクリックしたままにしておくと、Mac App Storeで購入したソフトは「×」マークが表示されます。この「×」をクリックしてもアンインストールできます。

AppCleaner

【開発】FreeMacSoft 【価格】無料

【URL】https://freemacsoft.net/appcleaner/

(3)完全にアンインストールしたいのなら、「App Cleaner」というサードパーティ製のソフトを使いましょう。環境設定ファイルも含めて削除してくれます。

(4)オンラインウェアをダウンロードして使っている場合は、圧縮ファイルも削除しておきましょう。

iPhoneやiPadのバックアップファイルを削除

(1)複数のAppleデバイスを持っている場合、古いiPhoneやiPadのバックアップデータが残っていることがあります。これらもiTunesから削除しましょう。

(2)iTunesで環境設定を開き、[デバイス]タブを表示させます。そこに古いデバイスのバックアップを見つけたら、選択して削除ボタンを押しましょう。

[STEP 2]Time Machineでバックアップ

タイムマシンによるバックアップそのものは、極めて簡単です。新しい外付けストレージをつなぐとタイムマシンのバックアップ先にするかどうかを尋ねてきます。そこでバックアップ先として指定すれば、あとは勝手にバックアップしてくれるというわけです。

とはいえ、初回バックアップ時はかなりのデータを外付けストレージに転送することになるため、転送速度を低下させないよう注意が必要になります。転送速度が低下する理由はいくつかありますが、その1つに、ウイルス対策ソフトが原因になるケースがあります。その場合は、一時的にソフトを停止するなどの措置が効果的です。

また、アップル製のAirMacタイムカプセルや、AirMacのUSBポートに外付けストレージを接続した場合などではワイヤレスでのバックアップができますが、その場合はやはりUSB接続に比べて時間がかかってしまいます。普段はワイヤレスでバックアップを行うとしても、初回バックアップだけはなるべく有線接続で行うことをおすすめします。

バックアップするときのポイント

【Point 1】USB3.0やThunderbolt接続の製品を使おう

古いUSB2.0接続の外付けストレージは、USB3.0接続の製品に比べ時間がかかります。また、USB3.0に非対応のUSBハブを経由するとやはりスピードが落ちてしまいます。

【Point 2】AirMac TimeCapsuleを使った初回バックアップは有線で

タイムカプセルを使っている場合、初回バックアップの時はMacと有線で接続するようにしましょう。タイムカプセルとMacは、ギガビットイーサネットでつなぐことができます。

【Point 3】ウイルス対策ソフトに注意

ウイルス対策ソフトの中には、タイムマシンによるバックアップ速度に影響を及ぼすものがあります。初回バックアップの時は一時的にオフにしておきましょう。

【Point 4】仮想化ソフトのイメージは除外

継続的にタイムマシンバックアップを利用するときは、仮想化ソフトのディスクイメージを除外しておくのがおすすめ。除外しておかないと、仮想化OS上でちょっとした変更を加えるたびにディスクイメージ全体をバックアップしてしまいます。

 

Time Machineバックアップに必要なハードウェア

AirMac TimeCapsule

【発売】アップルジャパン

【価格】2TB:2万9800円/3TB:3万9800円(税別)

または他社製の外付けストレージ

My Passport for Mac 1TB

【発売】ウエスタンデジタルジャパン 【価格】1万6000円前後

Time Machineバックアップの手順

(1)Time Machineのバックアップ先が指定されていないMacに外付けストレージを接続すると、バックアップ先に指定するかどうかを尋ねてきます。

(2)あるいは、システム環境設定の[Time Machine]パネルで、バックアップ先のストレージを選択することも可能です。

(3)ストレージを指定してからしばらく経てば、バックアップは自動で始まります。

(4)[Time Machine]パネル中央下の[Time Machineをメニューバーに表示]にチェックを入れると、バックアップ状況を確認しやすくなります。

部分的にバックアップ

(1)Time Machineから特定のフォルダやファイルを除外したいときは、[オプション]ボタンを押します。

(2)たとえば、仮想化ソフトのディスクイメージを除外したいときは、そのファイルをドラッグ&ドロップして登録しましょう。

(3)また、DropboxやGoogle Driveなどのクラウドストレージは、あとでクラウドと同期すればデータを取り戻せます。初回バックアップを早く終わらせたいときは除外するのも1つの手です。

(4)[アプリケーション]フォルダを除外して、いざとなったら必要なソフトはインストールし直すという考え方もあります。

(5)メインのユーザフォルダ以外をすべて除外すると、初回バックアップは比較的早く済むでしょう。ただしこの場合、High SierraにアップデートしたあとでSierraに戻すということはできません。

ディスクイメージで保存・復元する方法

タイムマシンのバックアップとは違い、起動ディスクを丸ごと1つのディスクイメージとして保存しておき、いざというときは起動ディスクの中身をごっそり元に戻すという方法もあります。ハイ・シエラにアップデートしたあとで、以前の状態に戻したくなった場合も、この方法ならOSのバージョンも含めて完全に元に戻すことができます。

また、起動ディスクを丸ごとタイムマシンでバックアップするより、ディスクイメージ化するほうが若干時間を短縮できるでしょう(起動ディスクの利用状況により時間は変わります)。

ただし、タイムマシンとは違い、この方法は日常的なバックアップには利用できませんし、フォルダごとに除外設定を行うこともできません。あくまでも「万が一のときに状態を復旧するためのもの」という感覚で利用しましょう。

なお、ディスクイメージの作成手順ですが、通常の起動時だと起動ディスクの作成ができません。作成するためには、いったん復旧ディスクまたはインターネットリカバリモードで起動し、それから「ディスクユーティリティ」を起動して作成するという手順になります。復元する際も、やはり復旧ディスクまたはインターネットリカバリモードから行います。

(1)[コマンド]キー+[R]キーを押しながら起動すると「復旧ディスク」からの起動になります。

(2)「macOSユーティリティ」が表示されたら、[ディスクユーティリティ]を選択。Macには外付けストレージをつないでおきましょう。

(3)ウィンドウ左側のパネルで起動ディスクを選択してから、[ファイル]メニュー→[新規イメージ]→[Macintosh HDからイメージを作成]を選択します。

(4)復元する際も、復旧ディスクまたはインターネットリカバリーから起動し、ディスクユーティリティを開きます。起動ディスクを選択してから、[編集]メニュー→[復元]を選択します。

(5)このようなダイアログが出てくるので、[イメージ]ボタンを押してから、外付けストレージに保存したディスクイメージを指定し、準備ができたら[復元]ボタンで復元を開始します。