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掲載日:

医療系IT企業の社長が使うTelegram

著者: 美崎栄一郎

医療系IT企業の社長が使うTelegram

見せる人/夏井淳一

バーズ・ビュー株式会社代表取締役社長。一般社団法人日本イスラエルビジネス協会理事。学生時代から数々のApple製品を愛用。独立に伴い長年の夢であったiPadを用いた医療ソリューション構築を果たす。医療の世界でのイノベーションを求めて、世界視野で活動中。現在、災害医療や在宅医療に対してのICT支援に注力。ヘルステックの講師として多数の講演実績あり。【URL】http://www.birdsview.jp

夏井淳一さんのiPhoneメイン画面にあるアプリ m3.com/Q助/チェックミー/Telegram/VoiceTra/Share

 

救急医療の現場をサポート

今月はバーズ・ビュー株式会社の夏井淳一社長がゲストです。バーズ・ビューは、救急医療の現場が抱える問題を、ICTのチカラを使って解決しようと試みている医療系スタートアップ。医療現場のIT化は急務といわれてますが、救急医療は地方行政や病院などの民間、または厚生労働省のような国行政が交差する部分なので、皆さん問題は認識しつつも、領域外に一歩踏み出すのが難しい問題です。夏井社長率いるバーズ・ビューは、ここにiPadを使ったITとクラウド活用で最適解を提供しようと日々挑んでいます。

バーズ・ビューが展開するサービスの1つが、「e-MATCH」という救急医療管制システム。救急患者が119番通報すると、コールセンターから出動する救急車のiPadに指令が飛びます。救急車が現場に到着すると、e-MATCHがインストールされたiPadを使って、救急隊員が患者の症状を入力。すると、病院にいる救急医療の医師たちのもとにリアルタイムで情報がいくのです。医師は救急隊員の入力した患者の状態と現在の病院の混雑具合を考慮しつつ、患者を受け入れるかどうかを判断します。このシステムを使えば、患者がたらい回しにされることがありません。現在は奈良県の全域、千葉市の全域、福島県の県北地域、三重県の一部地域にて運用されているそうです。

これまでの救急医療では、病院にどのような医師がいて、どのような状態でスタンバイしているのかは、救急隊員が個別に電話で病院に確認しなければなりませんでした。

「奈良県全域では、救急車の数は全部で88台。もちろん、救急車自体を増やすことができればベストなのかもしれませんが、県の予算は限られています。なので、無駄なオペレーションをできるだけ省いて、医療関係者が医療という現場に集中できる環境をサポートするのが、私たちの仕事です」

また、震災などの災害時では、通常時以上に医療現場の混雑・混乱が予想されます。そこで、バーズ・ビューではe-MATCHを「災害モード」に切り替える仕組みを検討しているそうです。確かに、普段使っている仕組みでないと、トラブルのときにサッと使えないですよね。

医療専門のニュースアプリ

バーズ・ビューでは、「チェックミープロ(Checkme Pro)」という指先だけで心電図と動脈血酸素飽和度を同時に測れる小型計測デバイスも販売しています。アップルウォッチにも心拍数等の健康測定機能が搭載されつつありますが、チェックミープロは医療器認定を受けた本格的な医療デバイス。普段から心拍数を計測しておくことで、突然死の兆候を予見したり、睡眠時無呼吸症候群の疑いをチェックするのに役立つそうです。また、計測データはブルートゥース経由でiPhoneの専用アプリに記録できます。毎日ログを取れば、小さな兆候を発見できるチャンスが増えますね。

さて、夏井さんのiPhoneには、総務省消防庁の全国版救急受診アプリ「Q助」や、医療に関するニュースをまとめた「m3・com」などの医療系アプリがいっぱい。特に、m3・comは最新医療の現場に詳しくなれるので、医療従事者は要チェックですよ。

また、国内外問わず複数の社外案件を抱える夏井社長。ホーム画面の下段には、「チャットワーク(ChatWork)」や「スラック(Slack)」などのアプリがズラリ。相手の国籍や効率に応じて、これらのツールを使い分けているのだそうです。

その中でも、「テレグラム(Telegram Messenger)」は高いセキュリティと高速通信が特徴のチャットサービス。医療系プロジェクトを、LINEなどの公私の混じったユルいツールで運用するのではなく、最新ツールで進めていくのは、バーズ・ビューの取り組みにも通じるものがあります。

超高齢化社会に突入している日本において、救急医療の改革は急務。日本中にe-MATCHのようなシステム導入が広がることを期待しましょう。

指先だけで心電図と動脈血酸素飽和度が計れる小型計測デバイス「Checkme Pro」。日頃からログを取っておけば、身体の重大な異変にも素早く気づけます。【URL】http://www.checkme.jp

m3.com

【開発】M3, Inc.

【価格】無料

【場所】App Store> メディカル

こちらは日本最大級の医療従事者専門サイト「m3.com」の公式アプリ。医療関係者向けのアプリですが、最新の医療ニュースや医薬品情報をいつでもチェックできます。

Telegram Messenger

【開発】Telegram LLC

【価格】無料

【場所】App Store>ソーシャルネットワーキング

複数のチャットツールを使い分けている夏井社長ですが、よりセキュアなやりとりが必要な場合は、ロシア発のメッセージアプリ「Telegram」を使っているそうです。開封期限付きでメッセージを送る機能もあります。

見る人/美崎栄一郎

『iPhoneバカ』『iPadバカ』などの著者。札幌から福岡までアップルストア全店舗、ソフトバンク本社などでも講演したiPhone大好き人間。『超速片づけ仕事術』(かんき出版)、『快速エクセル』(インプレス)が2冊同時に発売されました。【URL】http://note272.net/