レティナモデルの価格は驚異的
本特集では、さまざまな角度からiMacのパフォーマンスを念入りに検証しているが「価格」もまた性能の一部である。もちろん自分の利用スタイルに合っているモデルを選択することが前提だが、iMacはすべてのMacのラインアップの中でもっともコストパフォーマンスが高いのは論を待たない。もちろん絶対的な価格だけで比較すれば、ディスプレイを搭載していないMacミニのほうが低価格だが、これには高解像度なディスプレイやマジックキーボードなどの価格は含まれていない。サードパーティ製の4K/5Kディスプテレイを購入するのであれば、素直にiMacのレティナディスプレイモデルを選択したい。
しかし、iMacの標準価格が一番安いモデルに目を奪われるのは考えものだ。なぜなら、外見こそ21.5インチのディスプレイではあるが、レティナではない標準解像度モデルであり、ストレージもフュージョンドライブではない通常のハードディスクだからだ。よほどのライトユースであればともかく、クリエイティブ用途では不満を覚えてしまうシーンもあるだろう。とはいえ、オフィスや教室での利用など、場合によっては活きてくる場合もある。
iMacの標準構成とフル構成の価格帯比較
iMacシリーズの各モデルの標準構成の価格と、カスタマイズでメモリ、ストレージ、CPUを選択可能な最上位モデルを搭載したフル構成の価格帯を表示した。上位モデルほど構成価格が跳ね上がる傾向があるので、慎重に選択したい。
ローエンドモデルはお得か?
Retinaディスプレイを搭載していない21.5インチのiMacは12万800円(税別)からという低価格が魅力。主に教育市場など大量一括導入を想定したモデルのため、あえて一般ユーザが積極的に選ぶ理由を見いだすのは難しいだろう。
iMacの価格を左右するもの
では、実際にiMacの本体価格を左右しているものは何であろうか。一番大きく影響する要素は21.5インチか27インチか、実質的には4K Retinaか5K Retinaかという選択だ。さらに、MacBookシリーズであればiOSデバイスと同様にストレージのサイズによって、モデルが分かれるが、iMacではCPUのクロック周波数など「パソコン」的な視点からグレーディングされている。
購入時にはCPU、メモリ、ストレージの速度や容量が選択できるが、あとから分解して交換する組み立てPCの常識は通用しないので、最初にコストと性能のバランスを考えながら数年間後悔しない選択が求められる。例外は27インチモデルのメモリで、こちらはあとからスロットに増設できる。
ただし、モデルごとの標準価格とフルカスタマイズ時の価格のレンジを比較すると、上位モデルになるほど選択できるパーツのグレードや選択肢が増える一方で、価格が割高になることが見て取れる。これは主にSSDに用いられるフラッシュメモリが世界的な供給不足の影響で高止まりしていることが原因と考えられる。
なお、為替レートによる内外価格差が問題になることもあるが、iMacに関しては米国で1799ドルのモデルが19万8800円で販売されており、原稿執筆時の実効レート(1ドル=111円)と比べて大きく乖離していない。
金利0%24回払いもある
よく「欲しい時が買い時」と言われるiMacだが、現金一括払いが厳しいタイミングもあるだろう。自分の契約するクレジットカードで分割払いするという方法もあるが、アップルのショッピングローンでは期間限定で金利0%キャンペーンを実施している。もちろん契約には別途提携ローン会社の審査が必要だが、24回払いまでであればかなりお得なキャンペーンだ。たとえば、27インチの5K Retina/3.4GHzモデルであれば、税別19万8800円なので、ボーナス併用なしの普通分割であれば初回が1万200円、2回目以降は毎月8200円の分割支払いとなる。iPhoneなどよりも長く利用することが多いiMacでは利用価値が高いといえそうだ。
アップルのショッピングローンでは2017年8月31日まで24回払いの分割金利の0%キャンペーンを実施している。利用には提携するオリコ(オリエントコーポレーション)の審査と契約が必要だ。
残存価値の高いiMac
iMacの特徴の1つが購入してから時間が経過しても、その価値が下がりにくいことだ。たとえば、2015年10月に発売された前モデルの中古買取価格の上限を調べると、ショップによって1万円程度の開きはあるものの、発売時の価格と比べて平均40%以上の価格を保っている。発売から1年8カ月が経過して「型落ち」となっているにも関わらず、この水準は驚きだ。iMacは3~4年使い続けることも珍しくないが、この製品としての寿命の長さが残存価値を支えているとも言える。買い替えを検討しているiMacユーザはこうした点も視野に入れておくとよいだろう。
中古iMac(Late 2015)の買取価格
2015年10月に発売されたiMacシリーズの発売当時の価格と現在の現金買取上限額(2017年7月現在のソフマップ.comを参照)。1年半前に発売されたモデルにも関わらず、約42~44%程度の残存価値を保っている。