過去最高の画質は本当か
「P3」という広い色域を備えたiMacのレティナディスプレイモデルは、旧来のMacとは一線を画す高画質を実現している。
このP3とは、2015年に登場したiMacの4K/5Kモデルから採用されているカラースペースで、アップルは「sRGBよりも25%広い色域」だと謳っている。最新のiPhone 7/7プラスではカメラ自体がP3を使ったカラーマネジメントが行われているが、Mac側のディスプレイもP3に対応することで撮影した写真を本来の品質で表示できるようになる。
また、iMacのディスプレイ性能を語るうえでは、500ニト(nit)という明るさも見逃せない。たとえば2016年まで発売されていたアップル・サンダーボルトディスプレイは375ニトという明るさなので、そこから比べても大幅な向上だということがイメージできるだろう。この500ニトという明るさを実現したことで、微妙な階調の変化も逃さず表現できるようになったのだ。
さらに実機で見比べてみると、スペック上は同じ「P3対応、500ニト」の現行MacBookプロよりも、iMacレティナディスプレイモデルのほうが暗部のディテールをはっきり確認できた。現行iMacのディスプレイが、過去最高の画質を誇るMacであることは間違いないだろう。
sRGBより25%広い色域
P3のカラースペースは、sRGBと比べるとひとまわり色域が広い。もちろん、P3を採用していない旧来のMacの標準ディスプレイプロファイル(カラーLCD)のカラースペースよりも広く、アドビRGBの色域の大半をカバーできる。 白:sRGB/グレー:旧来のカラーLCD/黒:Adobe RGB
明度を落としてもよく見える
iMacレティナディスプレイモデルは、明度を最小まで落としても、これまでのMacに比べても階調を十分に見分けられる。たとえ暗い時場所で輝度を落としたときでも、操作がしやすいということだ(画像はイメージ)。
コントラストをコントロール
iMacレティナディスプレイモデルで輝度を最低まで落とし、それから再び輝度を一気に上げると、一瞬コントラストが低い状態で明るくなり、少し間を置いて高コントラストな画面になる。どんな輝度でも快適な操作ができるように細かな制御をしていることが伺える(画像はイメージ)。
ナイトシフトモードも見やすい
さらにiMacレティナディスプレイモデルは、ナイトシフトモードで画面の色温度が変わったときでも、階調が判断しやすい。ナイトシフトモードで写真補正を行うという状況は考えにくいが、夜にWEBブラウジングしたりちょっとした動画を視聴したときでも、表示されているもののディテールをしっかりと確認できるようになる。
P3の色域は画像編集に活躍
iMacがP3という広い色域を持っていても、そもそも扱う画像の色域が狭ければあまり意味をなさない。iPhone 7/7プラスはP3に対応したものの、P3に対応したデジタルカメラはまだ限られているのが現状だ。また、画像のアウトプットの面でも、印刷物のデザインでは色域の狭いCMYKが最終的なデータになるし、WEB制作でもやはり色域の狭いsRGBに落とし込む場合が多い。その点で、いくら自分の画面上でキレイに見えてもあまり意味がないと考える人もいるだろう。
しかしその考えは、実機を触ることで一変するはずだ。iPhone 7で撮影した写真を開くと、旧来のMacだと見逃してしまうような階調の変化もしっかり確認できることに気づく。500ニトという明るさによるところも大きいが、写真の暗い部分に隠れている階調をしっかりと自分の目で認識できるようになる。
この「微妙な階調の違いを目で判断できる」ことは画像編集においては重要なポイント。存在しているはずのディテールに気がつかないと、スタンプツールやブラシツールを使った画像レタッチでうっかり塗りつぶしてしまう危険があるからだ。それをiPhoneなどで表示した時に露見する可能性もある。画像の加工・編集を行うなら、iMacの画質は断然魅力的だといえる。
iPhone 7/7Plusとの連係で高画質が活きる
iPhone 7/7PlusはP3対応
iPhoneで撮影した写真の情報をMacで確認すると、[カラープロファイル]に「Display P3」が埋め込まれているのがわかる。
iMacレティナディスプレイで開くと、細かな色の階調や明暗のディテールが判別しやすくなっているのに気がつく。誌面では伝わりにくいが、P3非対応のマシンと見比べてみれば一目瞭然だ。
暗いところの階調が目で見てわかるため、スタンプツールなどを使ったレタッチでも、誤って階調を潰してしまうということがないのは大きなメリットだ。