ベゼルが狭いって素晴らしい
イラストを描くために初代iPadプロ12.9インチを購入して約1年半。もうこれとアップルペンシルなしでは仕事にならないほど使いまくってきました。僕の場合、イラストの仕上げはMacで行うことが多いので、iPadプロはほぼ下描き担当マシンです。大量に描いてPDFファイルとして出力し、クライアントに確認してもらうまでの作業を効率良くこなせるので、とっても重宝しています。
しかし、タブレットとしてはあまりに巨大なため、打ち合わせに持っていくと「でかっ!」って言われることもしばしば。重量もそれなりにあるので、とりまわしやすさを考えるともう少し小さく軽いほうがいいかな…と思っていました。そんな矢先、アップル愛の強い僕の気持ちが遠くカリフォルニアにあるアップル本社まで届いたのか、ちょうどいい大きさの10・5インチ版iPadプロが発売されました。愛の力ってすごい。
本体は小さく軽いほうがいいけど、画面は小さいと嫌だなぁという無茶振りに、いったいどう答えるんだアップル。ジェントルなティム・クックCEOだってこんなわがままに激昂するんじゃないかと不安に思っていましたが、iPadプロ10.5インチはそれを上手に解決しています。ベゼルを細くするという割とシンプルな方法で、9.7インチのiPadを気持ち縦長にしたかなという程度のサイズ感にまとめています。それでいて画面のサイズは9.7インチよりも明らかに広くなったのを実感できました。画面は大きく、本体は小さくという禅問答のような問いかけを見事にクリアしています。
重量も12.9インチiPadプロ(初代)が700グラム以上あったのに比べると、400グラム台後半に抑えてくれたのでかなり軽く感じます。これなら普段カバンに入れて持ち歩いても苦にならないので、手帳やノート代わりに使う人も増えるかもしれません。もし僕が大学生だったら、レポート用紙は捨ててこれ1台で授業に臨みますね。
ただ、皆が期待していた夢の「4辺すべてが狭額縁」ではありません。いずれはタッチIDをディスプレイに埋め込んで、さらにベゼルレスを進めてほしいものです。カリフォルニアへ届け、僕の気持ち!
ヌルヌル動くディスプレイ
液晶パネルのリフレッシュレートが従来の60Hzから120Hzに上がったのも、大きな特長です。サファリのスクロールは以前からなめらかで不満はなかったのですが、スペックが倍に上がったことでさらにヌルヌル感が増して、触って気持ちいいディスプレイに進化しています。いったい人間はどこまで飽くなきヌルヌルの追求を続けるのでしょうか。もうこれで十分でしょと思っていても、いやもっともっとヌルヌルだとアップル社の人たちは考えているのかもしれません。昨年発売された9.7インチのiPadプロで採用されたトゥルートーン(True Tone)ディスプレイももちろん搭載。どのような環境でも画面の色調を調整して美しい色合いで表示してくれます。ディスプレイ周りはこれで完璧じゃないでしょうか。
とても完成度の高いiPadプロ10・5インチですが、1つだけ大きな不満があります。それは、背面のカメラが出っ張っていること。手で持って使うことが多いiPhoneと違って、机の上に置いて絵を描いたりするので、本体の裏側がフラットではないのはとても気になります。別に、本体を置いたときに指で押すとぐらぐらするということはないのですが、カメラ部分が接地して負荷がかかるのは精神衛生上よくありません。置いた状態で本体がほんの少し傾いているのも気持ち悪いです。そういうの、なんだかアップルらしくないなぁと思うのは僕だけでしょうか。タブレットにもメモやスキャン的な用途でカメラは必要ですが、皆スマートフォンを持っているので、それほどハイスペックなものじゃなくてもよい気がします。iPhone 7と同じ1200万画素で6枚構成のレンズは、明らかにオーバースペックなので、もう少し性能を下げてでも本体裏をすっきり平らに仕上げてくれたほうがうれしかったです。
文書作成もお絵描きもOK
12.9インチのiPadプロに比べるとひとまわり以上コンパクト。その分画面サイズも小さくなっていますが、10.5インチあれば文書作成やちょっとしたお絵かきにもほぼ対応できそうです。額縁が狭くなったのもグッド。
[SPEC]
【発売】アップルジャパン
【価格】Wi-Fiモデル:6万9800円~10万2800円(税別)、Wi-Fi+Cellularモデル:8万4800円~11万7800円
【サイズ】174.1(W)×6.1(H)×250.6(D)mm
【URL】https://www.apple.com/jp/ipad-pro/
【その他スペック】
【重量】Wi-Fiモデル:469g、Wi-Fi+Cellularモデル:477g 【備考】容量:64GB、256GB、512GB/プロセッサ:A10X Fusionチップ&M10コプロセッサ/ディスプレイ:10.5インチ(対角)、2224×1668ピクセル解像度、264ppi、Pro Motionテクノロジー、広色域ディスプレイ(P3)、True Toneディスプレイ、耐指紋性撥油コーティング、フルラミネーションディスプレイ、反射防止コーティング/オーディオ:4スピーカオーディオ√iSightカメラ(背面):12メガピクセルカメラ、f/1.8の開口部、最大5倍のデジタルズーム、光学式手ぶれ補正、6枚構成のレンズ
私が紹介します!
大野文彰
イラストレーター兼デザイナー。いつのまにかリンゴマークだらけ。