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ゆったりとした時間が流れるビジネス茶道で気分リフレッシュ!

著者: 山田井ユウキ

ゆったりとした時間が流れるビジネス茶道で気分リフレッシュ!

名だたるIT企業が導入するマインドフルネスを、日本の伝統文化である茶道と組み合わせた「ビジネス茶道」が注目を集めています。社内の会議室を使って行えるので、忙しいビジネスパーソンにもうってつけ。そこで、実際に茶道×マインドフルネスで精神のリフレッシュを体験してみました。

会議室が茶室に早変わり

アップルやグーグルといったIT企業が取り入れたことで世界的にブームとなった「マインドフルネス」。あるがままの「今」を受け入れて集中することで、心を穏やかにして精神をリフレッシュする効果があるといいます。また、ビジネスの現場ではマインドフルネスによってチームワークやパフォーマンスの向上、生産性が上がることが期待できます。

このマインドフルネスと同じような効果が期待できるのでは…とひそかに注目を集めているのが茶道です。落ち着いた雰囲気の茶室でゆっくりといただくお茶は、たしかに心を癒やしてくれそう。とはいえ、普段忙しく仕事をしている社会人は、なかなかお茶会に通う時間がとれませんよね。そんな人におすすめなのが、「ビジネス茶道」。表千家茶道講師の水上繭子先生が提案する、「会社でできるお茶会」なのです。今回、水上先生をお招きして、実際に編集部の会議室でお茶会を実施してみました。ごく普通の会社の会議室ですが、はたして効果のほどはいかに…?

日常の空間に毛氈(もうせん)(獣の毛を加工して仕上げた敷物)が敷かれ、季節の花と禅語の短冊、そして茶器が設置されると…あら不思議! あっという間に「茶室」という非日常空間の出来上がりです。さらに非日常感を高めるのに重要なアイテムが、白い靴下。最初にお話を聞いたときは「えっ?」と戸惑いましたが、たしかに大人になると普段、白い靴下って履かないですよね。服装は普段着のままでも、白い足元が厳かな気持ちを高めてくれる気がします。

表千家茶道講師として茶道教室を主宰する傍ら、「ビジネス茶道」の普及に努めている水上繭子先生。毛氈、茶器、そして着物の水上先生がいるだけで何の変哲もない会議室が茶室に早変わり! 【URL】http://business-sadou.com

電子機器は持ち込み禁止

さて、いよいよお茶会がスタート。参加した筆者、そして編集部員は誰もお茶の作法を知らないので、ひとつひとつ水上先生に教えていただきながらの挑戦です。たとえば、本物の茶室は入り口が非常に狭いため、くぐるようにして入室するのですが、今回もその作法を実践。水上先生が「ここが入り口です」と定めた場所から、正座したままぐぐっと体を移動させて入室していきます。何だかもうすでに気持ちが引き締まって、入室を待つ編集部員も皆、真剣な面持ち。ここは単なる会議室ではなく、茶室なのです。おっと、もちろん、iPhoneなどの電子機器類は持ち込み禁止です。

全員が入室したところで、水上先生がひとりひとりのためにお茶菓子をふるまってくれます。さっぱりとした甘さで、編集部員からも「おいしい!」という声が上がりました。続いて、水上先生がお茶を点ててくれます。シューッという静かな音とともに鉄瓶に入れた水が沸き、陶器のお椀に熱いお湯がそそがれます。優雅な手つきでお椀をぬぐい、抹茶を入れて茶せんでシャカシャカシャカ…とリズミカルに点てる水上先生。その所作の美しさに思わず見とれてしまいます。目の前に出されたお茶を手に取り、隣の人に「お先に」と声をかけてから一口。緑色の液体が流れ込んできて、何ともいえない香りと苦味が口いっぱいに広がりました。徐々に緊張がほぐれ、お茶とお菓子をいただきながらの談笑へ。会社の会議室とは思えない優雅でゆったりとした時間を過ごすことができたのでした。

こうしてお茶を楽しんでみると、日頃からどれだけ時間と情報に追われていたのかがわかりますね。たまには電子機器から離れて、周りの人との会話を楽しんでみることがリフレッシュのコツなのかも。ビジネスでも注目されている理由がわかります。非日常空間を手軽に作り出せるビジネス茶道、まさにマインドフルネスにぴったりのイベントだと思いました。

お茶とお茶菓子は、水上先生自ら全員にふるまっていただきました。隣の人に「お先に」と挨拶してからいただくのがマナーです。お茶の種類によってお茶菓子の甘さが変わるのだとか。ちなみに、体験当日は「和菓子の日」でした。

「茶道」というと、少しハードルが高いイメージを抱く人も多いと思いますが、決してそんなに堅苦しいものではありません。作法などは丁寧に教えていただけるので、この機会に基本を身につけておくのもよさそうです。