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【WWDC2017】HomePod③

著者: 大谷和利

【WWDC2017】HomePod③

部屋の間取りをデジタル解析して最適化した音を的確に届ける

一般のオーディオ機器で最良の音場再生を実現するためには、室内におけるスピーカの位置や周囲の壁の素材、家具の配置など、さまざまな要因が絡み、突き詰めると専用のリスニングルームを設けなければ満足できないという人さえいるほど、シビアな環境づくりが求められる。アップルは、これをデジタル処理によって解決すべく、HomePodが発した音を内蔵マイクで拾って解析することによって、音の反射具合や障害物の位置などを割り出す空間認識技術を組み込んだ。

自動で行われるこの認識結果に基づき、HomePodはウーファとツイータ合わせて8個のスピーカの音量やレスポンスのバランスをダイナミックかつ精密に調整し、ごく普通のリビングでも極上のリスニング体験を実現するのである。

HomePodのサウンド

Full Mix

一般オーディオ機器のイコライザ機能はボーカルや各種楽器の音色を周波数帯のみで調整するが、ホームポッドでは空間認識と精緻な音の分析結果を融合し、ボーカルや伴奏が部屋に合わせた最良のバランス(フルミックス)で再生される。

Center Vocals

フルミックスの音には、ボーカルを中央定位でビームフォーミングする「センターボーカル」のほか、伴奏中心の「ダイレクトエナジー」や、反射音とバックボーカルなどを含む「アンビエントエナジー」などの要素が含まれている。

HomePodは音楽をかけながらでも、また、ある程度離れていても、人の声を判断して聞き分けることが可能だ。

HomePodは1台だけでもイージーリスニング的な用途には十分な役割を果たすが、基本自体はモノラルとなる。もし、ステレオ再生を楽しみたい場合には、HomePodをもう1台用意することで対応可能だ。2台の連携は自動で行われ、個々のHomePodが、互いの位置関係や距離を認識して役割を分担する。

AirPlay 2で複数のストリーミングに対応!

HomePodと同時に、オーディオ関連の新技術として発表されたのが、AirPlay 2(エアプレイ2)だ。現行のAirPlayは、1台のスピーカやApple TVなどに対するオーディオあるいはビデオストリーミング技術だが、iOS 11に実装されるAirPlay 2はマルチルームオーディオ機能を備え、複数のスピーカに対するオーディオの同時ストリーミングがサポートされる。また、同一のWi-Fiネットワーク上の複数のユーザーがパーティ用のプレイリストを共有して再生することも可能となる。

さらに、APIがサードパーティに公開され、HomeKitにも対応するため、様々なアプリや機器でマルチルームストリーミングを楽しめるようになる予定だ。