すでに巷では、次期iPhoneに関するさまざまな情報が飛び交い、流出図面とされる画像なども出回っている。そんな中、中国のオンラインショッピングサイト「アリババ」では、iPhone 8用とされるケースが出品された。入手したこのケースを元に、次期iPhoneの実像に迫ってみよう。
ニーズをマルチに満たすサイズ
中国のオンラインショッピングサイト「アリババ」で、iPhone 8用とされるケースが販売されていた。この製品が本物の次期iPhone(以降、仮にiPhone 8と呼称する)に対応するかどうかは断言しきれないが、実際に入手して触れたことで、その実像についてさまざまな推察を行うことができた。
まず、このケースからは、高さ143・4ミリ、幅70・7ミリ、厚さ7.4ミリというiPhone 8のサイズが読み取れる。iPhone 6以降では、液晶サイズが4.7インチのモデルと5.5インチの「プラス」モデルの2種類が存在していたが、iPhone 8はその中間になると考えられる。既存の4.7インチモデルのサイズ感と、プラスが実現していた大画面、この両方の魅力を満たす意欲的な製品になりそうだ。また、iPhone 7プラスで横並びだった2つの背面カメラが、iPhone 8では縦に並ぶこともケースから読み取ることができる。
iPhone 8ついては、これまでも流出図面と見られる画像をはじめさまざまな情報が出回っている。たとえば、前面・背面ともにラウンドエッジ仕様の強化ガラスを用いた新しいデザインになるというものや、ホームボタンが非搭載となり、全面が液晶ディスプレイ化されるという噂などだ。今回入手したケースは、流出した図面とサイズも一致しており、こうした情報の信憑性も俄然高まってくる。
また、先日開催された世界開発者会議(WWDC)2017では新iPadプロをはじめ数多くの製品が発表されたが、それらに搭載されているテクノロジーからもiPhone 8の仕様を予測できる。まず、iPadプロ(10・5インチ)に搭載されたA10Xフュージョンチップは、これまでのA9Xチップと比較して約1.8倍もの性能向上を果たしたが、おそらくiPhone 8のCPU(A11フュージョンチップと予想される)も、これに近い性能を実現すると考えられる。ポケットの中にMacBookプロ並みの性能を収められる日も、それほど先のことではないのかもしれない。また、iPhone 8の背面カメラは、iPhone 7やiPadプロ(10・5インチ)が搭載する1200万画素裏面照射型センサを採用し、f/1.8の開口部、6枚構成のレンズ構成を2つ並べたデュオカメラへに変わる可能性が高いと考えられる。
見えてきた1つの仮説
これらの情報をまとめていったとき、筆者は1つの仮説に辿り着いた。
WWDC2017の基調講演後のインタビューでは、ティム・クックCEOが「VR/ARがアップルにとっての将来の基盤技術になる」とコメントした。それも含めて考えれば、ズバリ、iPhone 8は本体を横にすることで、2つ並んだレンズを使ってVRコンテンツの撮影が可能になるのではないだろうか。
VRコンテンツの作成/編集はマシンパワーを必要とするが、A11フュージョンチップがもたらす圧倒的な性能がそれを可能にするだろう。アップルは、ハードウェアとソフトウェアの両方を開発する強みを活かし、マシンパワーを存分に発揮できる機能を搭載することでライバルを引き離そうとしているのだろう。
ちなみに、前面のフェイスタイムカメラも、背面カメラと同様にデュオカメラ化し、現在の32ミリ相当レンズのほかに、24~28ミリ相当の広角レンズを搭載する可能性がある。iPhone 8は、スマートフォン初の3D顔認証システムを採用するといわれている。フェイスタイムカメラはこの認証に使われるほか、高性能な自撮りカメラとしてもアピールしてくると考えられる。フロントカメラに高画素・高広角レンズを採用した既存アンドロイド端末に対抗するものになるのではないだろうか。
気になる発表時期だが、アップルの新社屋「アップルパーク」内に設置されるイベントスペース「スティーブ・ジョブズ・シアター」のオープニングイベントとして、今年9月に発表されると考えられる。予想がどこまで的中するか、期待したいところだ。