カスタムアプリ開発プラットフォームの「FileMaker」は、日本国内のユーザが全世界の25%を占めており、日本での注目度も高いソリューションだ。その背景にはフレキシブルにビジネスアプリを開発し、マルチプラットフォームで展開できる柔軟さがあり、とりわけiPadのビジネス利用の面で関心を集めている。
FileMaker 16 プラットフォーム
【発売【ファイルメーカー
【価格】FileMaker Pro 16個人向けシングルライセンス:3万8000円ほか各種。チーム向けのFileMaker Licensing for Teams(FLT)は5ユーザ:9万6000円/年より提供
変わりゆく提供形態
データベース作成ソフトとして生まれた「ファイルメーカー(FileMaker)」は、今やカスタムアプリを開発するためのプラットフォームとして裾野を広げている。顧客管理や商品管理、業務マニュアル、商品カタログなど、さまざまな用途のビジネスアプリが開発でき、しかもそれをPCやiOSデバイス、WEBブラウザといった複数のプラットフォームに展開できる点が注目を集めている。
そんなファイルメーカーの最新版となる、ファイルメーカー16プラットフォームが5月10日に発表となった。最新バージョンでは、視覚的なトランジション効果をカスタムアプリに追加可能になったほか、WEBブラウザでのデータ共有が500人まで拡大されるなど数多くの新機能が追加された。
この新バージョンの発表に合わせ、同社は報道関係者や開発者向けに製品説明会を開催。製品概要のみならず同社のビジネス動向についても説明され、ファイルメーカー市場の変化を読み取ることができた。
ファイルメーカーは、昨年5月から「ファイルメーカー・ライセンシング・フォー・チームズ(FLT)」というライセンスプログラムを提供している。これは、複数のユーザでファイルメーカープラットフォームを利用するためのもので、Mac/ウィンドウズ用のデスクトップ製品「ファイルメーカー・プロ(FileMaker Pro)」、サーバソリューションの「ファイルメーカー・サーバ(FileMaker Server)」やWEBブラウザアクセスができる「ファイルメーカー・ウェブダイレクト(FileMaker WebDirect)」、iOSアプリ「ファイルメーカーGo(FileMaker Go)」が利用可能で、最大500人までのチームでフレキシブルに活用できる柔軟性が特長だ。FLTの利用者は過去1年で順調に増えており、今や日本における利用者の15%がFLTだという。また、FLT利用者の増加に伴い、ウェブダイレクトを導入するユーザやiOSでのファイルメーカーGoの接続台数も増加しているそうだ。
さらに、FLTを含む年間ライセンスの契約数は、2011年から昨年までの5年間で5倍へと成長。ライセンス契約数の増加に合わせパッケージ版の売り上げも上昇したが、2011年にパッケージとライセンスのユーザ比率は逆転したという。
柔軟なアプリ開発の選択肢
ファイルメーカープラットフォームの魅力は、ビジネス向けのカスタムアプリを比較的低いハードルで開発できることにある。自社アプリの開発を検討している企業は多いと思うが、ファイルメーカープラットフォームならすべてを開発業者に頼り切るのではなく、自分たちで迅速に内容のメンテナンスや更新が行える。ファイルメーカーを導入する企業が増えているのは、そうした導入のしやすさとFLTによる柔軟性が今の日本のビジネスにフィットしているからではないだろうか。
実際、カスタムアプリの需要増加に伴いiOS向けのハンズオンセミナーの開催数も増え、セミナー参加者も増加している。また、ファイルメーカーを利用したソリューションの開発や開発サポートを行うFBA(FileMaker Business Alliance)の数も、2009年の54社から2017年には177社まで増え、今では40の都道府県をカバーしている。
自分たちの使うものを自分たちの手で。フレキシブルなビジネスアプリ開発の選択肢として、ファイルメーカープラットフォームは、今後もさまざまなビジネスの現場で利用されていくことになりそうだ。