MacBook Pro(Late 2016)で新たに搭載されたインターフェイス規格、Thunderbolt 3(サンダーボルト3)。転送速度の向上や、USB 3.1(Type-C)と共通化された端子形状といった部分が目立つが、注目すべきはこの規格が持つ多様性と高いパフォーマンスだ。それらを活かし、エッジの効いた周辺機器が増え始めている。
新しい次元への進化
近年のアップル製品に搭載される外部高速通信ポートといえば「サンダーボルト」が定番となりつつあるが、昨年リリースされたMacBookプロからはその第3世代(以下、TB3)の採用が始まっている。TB3は前世代の2倍となる最大40Gbpsの通信が可能になっただけでなく、USB 3.1もオルタネイティブモードで利用可能になり、ポートの形状もUSB 3.1と共通の「タイプC」へと変更になった。
この規格が転送可能な通信プロトコルは前述のUSB 3.1に加え、ディスプレイポート、そしてPCI Express(PCIe)。内蔵グラフィックスカードやフラッシュストレージなどの情報をCPUへ高速転送するために開発されたPCIeをそのまま扱えるTB3は、RAIDで高速化された外付けストレージのデータ転送を行いながら、同時に5Kサイズの外部ディスプレイ出力を可能にする驚異の性能を持つ。
このことから、TB3対応をうたう製品には従来とは次元の異なるものが続々と現れている。ノートブックでもデスクトップと同様に拡張カードを扱えるようにするボックスキット、10Gbのイーサネットや16Gbのファイバーチャネルを使ったSAN(ストレージ・エリア・ネットワーク)を構築可能にするアダプタ、ハイエンド向けグラフィックスカードを増設できるeGPU(拡張グラフィックカード)ボックスなど。TB3の登場によって、コンピュータの「使うカタチ」そのものが変わろうとしている。
MacBook Proをフル活用できるハイエンド系の周辺機器
SANLink3 F2
【発売】PROMISE TECHNOLOGY
【価格】オープンプライス、市場予想価格15万円前後
【URL】https://www.promise.com/jp/Products/SANLink/SANLink3-F2
ファイバチャネル接続を用いるSANの構築に必要なSPFポートに変換するためのホストバスアダプタ変換ユニット。Thunderbolt 3が40Gbpsまでの転送に対応したことにより、制作の現場で求められていた16Gb FCポートが2つ使えるようになったことが大きい。また、Thunderboltデイジーチェーンにも対応するため複数の機器と組み合わせて利用できる柔軟性も兼ね備えているのが特徴だ。
T-Share Thunderbolt Storage A12T3-Share
最大4台のクライアントと接続可能なSANが構築可能な共有ストレージを目的としたドライブ。同一製品をもう1台増設することで最大8台のクライアントが約1PB(960TB)のストレージプールにアクセスすることが可能。また、MacBook Proの左右のポートにA12T3-Shareをそれぞれ接続することで2倍の転送速度を実現するモードも備えている。
BISON BOX3
【発売】BISON
【価格】649ドル(直販価格)
【備考】別途グラフィックカードが必要、日本への発送に対応
グラフィックスカードを外付けにする「eGPU」に対応した拡張キット。内蔵のGPUよりも高い性能を求めるゲーム用途として外付けディスプレイへの表示補助のほか、ディープラーニングと呼ばれる人工知能計算を行う際に使われる「GPGPU」といった手法を用いる際に有用な手段となる。別途グラフィックスカードが必要になるが、メーカー直販で同時購入のセットも注文可能(12~27万円前後)。
ThunderLink NQ 3401
【発売】ATTO
【価格】1595ドル(直販価格)
【実売価格】25万円前後(国内代理店:クォーレスト)
【URL】https://www.atto.com/products/thunderbolt-devices/thunderlink/thunderbolt3-to-40gbe/TLNQ-3401-D00
次世代の高速通信と呼ばれる40Gbpsベースでのネットワーク通信を実現するためのEthernet(イーサネット)変換アダプタ。IEEE802.3ba規格に準拠した「カテゴリ8」と呼ばれる4芯または10芯の光ファイバケーブルを使うことでデータ転送を行う。データセンターなどではここ数年メインストリームになっているが、データの並列転送などフラッシュストレージへのデータ書き込み高速化とも相性がいい仕様でもある。
LG UltraFine 5K Display 27MD5KA-B.AJLA
【発売】LG Electronics
【価格】14万4800円(税別)
【URL】https://www.apple.com/jp/shop/product/HKN62J/A/lg-ultrafine-5k-display
27インチモデルのiMacが採用するパネルとまったく同じクオリティを提供する5K解像度ディスプレイ。最大85Wまでの給電に対応するため、MacBook Proとの接続時にはケーブル1本で充電も可能。背面には3つのUSB-C(5Gbps)ポートを備えているので、複数の周辺機器への接続や電力供給にも対応できるなどAppleとの共同設計で作られたノウハウが活きている実用性の高い一品。
UltraStudio 4K Extreme 3
【発売】Blackmagic Design
【価格】33万9800円(税別)
【URL】https://www.blackmagicdesign.com/jp/products/ultrastudio
ケーブル1本での4Kディスプレイの出力や、マルチオーディオ、タイムコード、リファレンス、シリアルデッキコントロールといったプロのビデオ編集環境に必要なものをすべて兼ね備えるラックマウント型インターフェイス。FInal Cut Proといったプロ向け編集ソフトに標準で対応するほか、次世代映像技術であるH.265へのハードウェアエンコードも搭載するなど高い将来性が約束されているのも魅力だろう。