本当にiPhoneだけで十分?
iPhoneのオペレーティングシステム(OS)である「iOS」の最新バージョンはiOS 10です。この10世代にも渡るアップデートにより、機能がどんどん充実し、既存のコンピュータで行っていたほとんどのことが、iPhoneだけでできるようになりました。
仕事で使うコンピュータとして見た場合でも、メールやメッセンジャによるコミュニケーションから情報収集、文書の作成に至るまで、業務のほぼすべてがiPhoneだけで完結するといっても過言ではありません。さらに、プライベートなライフスタイルをサポートするデバイスとしては、手軽に使える高品質なカメラやLINEなどの充実したコミュニケーションツール、寝転がっても動画の視聴や読書を楽しめるというメリットなどがあり、むしろ既存のパソコンよりも身近で使い勝手のいい存在だといえます。
とはいえ、デジタルライフのすべてのシーンにおいて、iPhoneだけですべてを「快適に」こなせるかといえば、それはまた別の話です。iPhoneはポケットに収まるサイズでありながらマルチに活躍してくれる頼もしいツールですが、そのコンパクトさが不自由さにつながる状況もあります。
たとえば企画書作成の場合、キーノート(Keynote)やパワーポイント(Power Point)といったツールは、iPhoneにもアプリが用意されていますが、現実問題、iPhoneだけで一から書類を作り上げるのは大変です。また、WEBサイトで調べものをしながら文章を書くといった「〇〇しながら〇〇する」といった作業は、iPhoneにあまり向いていません。
iPhoneにはiPhoneの、MacにはMacの得意・不得意を見極めることが大事です。つまるところ、「iPhoneとMacのどちらが優れているか」という話ではなく、使うシーンに合わせて最適なツールを使い分けていくことこそが、快適なデジタルライフを送る秘訣なのです。
相乗効果を生み出すエコシステム
状況によってツールを使い分けるという観点では、iPhoneとMacはもっとも相性のいい組み合わせだといえます。たとえば、iPhoneとMacは「ハンドオフ(Handoff)」というデバイス同士の連係機能によって、片方でしていた操作の続きをすぐにもう片方へと受け渡すことができます。iPhoneで開いていたWEBページをMacで開いたり、iPhoneで書き始めたメールをMacで仕上げて送信するといったことが行えるのです。また、同様に連係機能であるエアドロップ(AirDrop)を使えば、iPhoneのカメラで撮った写真やiPhoneのマップアプリで調べた場所を簡単にMacへと送信できます。さらには、ユニバーサルクリップボードの機能により、コピー&ペーストの情報まで、iPhoneとMacで共有できるようになっています。
iPhoneとMacの連係というと、アイクラウド(iCloud)によるデータ連係に目が行きがちですが、それ以外にもたくさんの機能が存在します。こうした連係のしやすさは、アップルがiPhoneやMacをはじめ、自社の製品全体を俯瞰して捉え、1つのエコシステム(生態系)として考えているからこそ実現しているのです。
こうしたエコシステムを意識しながらデバイス連係の知識を深めていけば、単体の製品の使い方を極めるよりずっと効率的な作業ができるようになります。それこそがアップルが与えてくれる最大の恩恵といえるでしょう。
1・画像、ファイルのやりとり
AirDrop
画像をはじめさまざまな情報をデバイス間で即座にやりとりできるのが「エアドロップ」の機能です。同じWi-Fiネットワークにいれば、ほかの人のアップルデバイスにも簡単にデータを送れます。
2・作業の続きを再開
Handoff
iPhoneで行っている作業の続きをシームレスにMacへと受け渡せる「ハンドオフ」機能。メールの作成やWEBブラウジングの閲覧など、多くのことが双方向で行えます。
3・コピー&ペーストを簡単に
ユニバーサルクリップボード
同じWi-Fiネットワークにいれば、コピーした文字列や画像をデバイス間で同期します。ちょっとした文字入力なども、この機能でますます快適になるでしょう。
4・Macで電話を受信/発信
iPhoneセルラー通話
iPhoneの通話回線を使って、Macで通話できる機能です。iPhoneにかかってきた電話をMacでとったり、Macの連絡先ソフトから電話を発信することができます。
5・指紋認証でお買い物
Apple Pay
「アップルペイ」に対応しているオンラインストアなら、Macのサファリで目当ての商品を探して、iPhoneのタッチIDで認証し決済を完了するといったことが可能です。
6・iPhoneがモバイルルータに
Instant Hotspot
iPhoneをモバイルルータ代わりにして、Macをインターネットにつなげられる「インスタント・ホットスポット」機能。通信キャリアとのオプション契約によって実現します。
7・なくしたデバイスを探し出す
iPhoneを探す
万が一アップルのデバイスを紛失しても、この機能を使って場所を突き止めることができます。iPhoneでは「iPhoneを探す」アプリから、MacではWEBの「iCloud.com」から呼び出します。
8・写真も書類もシームレスに管理
iCloud
アップルのデバイス連係といえば、まず思い浮かぶのが「アイクラウド」。連絡先、写真、ファイル、カレンダーなど、非常に多くの情報をクラウドで同期できます。