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macOS Sierraのウインドウ操作・管理を極めよう!①

macOS Sierraのウインドウ操作・管理を極めよう!①

ウインドウを整理してデスクトップを有効活用

突然ですが、あなたの机は散らかっていませんか? 「書類や周辺機器が山積み!」「もっと広いスペースが欲しい」なんて声が聞こえてきそうです。では、Macのデスクトップはどうでしょう。仕事にもプライベートにもMacをフルに使っている人ほど、複数のウインドウを同時に開くことになり、実際の机と同じように「スペースが足りない!」と頭を抱えているのでは?

そこで今月は、Macでできるウインドウ管理を取り上げます。前号で触れたMacのファインダ構造の上位にあるのが、「ウインドウ」です。ファイルやフォルダを扱うファインダウインドウや、それぞれのソフトを操作するためのアプリケーションウインドウなど、Macでの作業はウインドウなしでは始まりません。そうはいっても、同時にたくさんのウインドウを開いて作業していると、行ったり来たりで落ち着きませんよね。そんなときにこそ活用したいのが「ミッションコントロール(Mission Control)」です。名前は聞いたことがあるけど、ソレって一体なんなの?と思った人は、この機会にしっかりおさらいしましょう。

ミッションコントロールという名前はピンときませんか? ひょっとすると、かつてOS Xパンサーに搭載されていた「エクスポゼ(Exposé)」が「スペーシズ(Spaces)」を経て進化したのがミッションコントロールだといったほうが、わかりやすいという人もいるかもしれません。

作業環境の鍵を握るミッションコントロール

ミッションコントロールは、macOSに標準で搭載されている機能で、操作スペースを追加することにより、それぞれのスペースで異なるソフトを操作できます。たとえば3つの操作スペースを作成した場合、1つ目のスペースでサファリのウインドウを開き、2つ目のウインドウではエクセルで請求書を作成して、3つ目のスペースではフォトショップでバリバリ画像処理を行う、といった使い方が可能になります。そこまで極端な使い方をしなくても、ウインドウだらけのデスクトップをスッキリさせる効果は十分見込めるでしょう。また、普段意識せずに使っているフルスクリーン表示も、操作スペースの1つにカウントされます。

このように、作業ごとに画面を切り替えるにあたっては、トラックパッドやマジックマウスによるマルチタッチジェスチャが威力を発揮します。ほかの操作スペースへは、ページをめくるように横方向にスワイプして移動します。あたかも隣に別のデスクトップがあるかのような操作感は非常に直感的で、慣れるに従って自然な動作で操作スペース間を移動できるようになります。ディスプレイのサイズ以上のスペースを使って、伸び伸び作業できる環境を利用しない手はありません。

ミッションコントロールを使いこなせば、ウインドウをソフトごとに整理したり、複数のデスクトップを使い分けたりすることが可能になります。上級ユーザなら知っておきたいテクニックです。

これだけは知っておきたいコトバ

[デスクトップ]

机の上に書類を広げて作業するように、Mac上でファイルやフォルダ、ソフトなどを操作する領域。複数のデスクトップを使い分けることも可能です。

[ウインドウ]

Macでは、フォルダやファイルを扱うファインダウインドウと、ソフトを操作するためのアプリケーションウインドウがあります。ミッションコントロールでは、そのどちらも扱います。

[エクスポゼ(Exposé)]

OS Xパンサー(10.3)に搭載された機能で、開いているウインドウを並べて俯瞰する機能。このエクスポゼとスペーシズを統合し、進化したのが、現在のミッションコントロールです。

[スペーシズ(Spaces)]

OS Xレパード(10.5)に搭載された、複数のデスクトップに作業領域(スペース)を割り当てる機能。その機能はミッションコントロールに引き継がれています。

 

【基本1】ミッションコントロールを活用しよう

ミッションコントロールでできることは?

前ページでは、ミッションコントロールが複数のデスクトップ(以下、操作スペース)を制御する機能であることを述べましたが、ここではどんなことができるのかを解説します。ぜひ、Macを操作しながら読んでください。

ミッションコントロールによる操作スペースの表示には、いくつかの機能が用意されています。たとえば、操作ウインドウを画面いっぱいに表示するフルスクリーンモードもその1つです。フルスクリーンモードで動いているソフトは、ミッションコントロールで確認すると、操作スペースとして扱われていることがわかります。

ミッションコントロールは、ドックやランチパッドの「Mission Control」アイコンやキーボードの「Mission Control」キーのほか、3本または4本指でトラックパッドを上方向にスワイプするマルチタッチジェスチャで呼び出します。なお、ミッションコントロールは、マジックマウスでの操作も可能ですが、本記事では直感的な操作が可能な、マルチタッチジェスチャを用いた操作を紹介します。

 

ファインダのインターフェイス

ミッションコントロール

画面の下部に、現在デスクトップで開いているウインドウが一覧表示されます。画面上部のスペーシズバーには、使用可能な操作スペースが並びます。目的のウインドウをクリックして、最前面に表示させます。

アプリケーションエクスポゼ

3本(または4本)指で画面を下方向にスワイプすると、現在アクティブになっているソフトのウインドウだけを一覧表示します。アプリケーションスイッチャーと連係すると、特定のソフトを選択できます。

フルスクリーン表示

普段意識せずに使っているフルスクリーン表示も、操作スペースの1つで、ミッションコントロールのスペーシズバーには、単独の操作スペースとして表示されます。

スプリットビュー

1つのフルスクリーンを2つのソフトで分割する「スプリットビュー」は、ウインドウのフルスクリーンボタンの長押しのほかに、ミッションコントロールの画面から開くことが可能です。

操作スペース間を移動する

操作スペースの追加や削除の基本操作から、スペース間の移動方法を説明します。ここでいう「移動」には、スペースの表示切り替えや閲覧中のウインドウを別の操作スペースに移す操作が含まれます。いずれの操作も、ミッションコントロールの画面を使う方法と、マルチタッチジェスチャで行う方法があります。

スワイプで隣の操作ウインドウに移動するマルチタッチジェスチャは非常に便利ですが、3つ以上の操作スペースを利用している場合は、1度ミッションコントロールに切り替えて目的のスペースを選択するほうがスムースです。

 

操作スペースの追加と削除

ミッションコントロールを表示し、画面上部のスペーシズバーにマウスポインタを乗せます。続けて右端に表示される[+]ボタンをクリックして操作スペースを追加します。

スペーシズバーに操作スペースが追加されました。同じ方法で、さらにスペースを増やすことも可能です。追加した操作スペースは自動的に「デスクトップ2」と名付けられます。

操作スペースを削除するには、ミッションコントロールの画面を表示した状態で[オプション]キーを押し、サムネイルに表示された[×]をクリックします。

 

別の操作スペースを開く

ミッションコントロールを表示し、画面上部のスペーシズバーで、移動したいスペースのサムネイルをクリックすると、即座にそのスペースに移動します。

マルチタッチジェスチャが使える環境なら、3本(または4本)指で左右にスワイプするだけで、隣接する操作スペースに移動できます。

 

ウインドウを移動する

デスクトップに開いているウインドウを隣の操作スペースに移動する場合、もっとも簡単な方法がドラッグ&ドロップです。ウインドウ上部のタイトルバー部分を横方向にドラッグして移動させます。

離れたスペースにウインドウを移動するなら、ミッションコントロールを使うと素早い操作が可能です。移動させたいウインドウをスペーシズバーのスペースにドラッグすれば完了です。

各ソフトにスペースを割り当てる

ミッションコントロールを使う理由の1つに、「作業ごとに操作領域を分けること」が挙げられます。メールやサファリはデスクトップ1、オフィス系ソフトはデスクトップ2といった具合に、毎日使用するソフトを特定の操作スペースに割り当てられたら便利と思っている人もいるでしょう。

実は、ドックを使えば簡単に設定できます。また、すべての操作スペースで常に表示させることもできます。自分の環境や用途に合わせて設定すれば、使い勝手の向上が期待できるでしょう。

サファリを例に操作スペースを「デスクトップ2」に固定します。まずミッションコントロールを開いて、デスクトップ2が開いていることを確認します。

ドックのサファリアイコンを2本指でタップ、または[コントロール]キーを押しながらクリックし、開いたメニューの[オプション]から[このデスクトップ]を選択すると、次回からサファリのウインドウが「デスクトップ2」で開くようになります。

同様の操作で、今度はiTunesに「すべてのデスクトップ」を割り当てます。以降、どの操作スペースに移動しても、iTunesのウインドウが表示されます。

2つのソフトを1画面に分割表示する

フルスクリーン表示の拡張版ともいえる「スプリットビュー(Split View)」は、1つの操作スペースを2分割し、それぞれの領域で異なるソフトを動かせる機能です。サファリで調べ物をしながらテキストエディットでレポートを作成したり、動画を見ながらチャットしたり、といったことが1つのフルスクリーン画面で行えるというわけです。かくいう私も、左で図版を確認しながら右でキャプションを書くときなどに重している機能です。

スプリットビューを開始するにはいくつか方法がありますが、ここではミッションコントロールを使ったスプリットビューに挑戦してみましょう。ほかには、ウインドウ左上のフルスクリーン表示のボタンを長押しする方法があります。スプリットビューが開始されない場合は、システム環境設定の「Mission Control」で[ディスプレイごとの個別の操作スペース]をチェックしましょう。

スプリットビューで開きたい2つのソフト(ここではサファリとテキストエディット)を開いておきます。ミッションコントロールを起動して、まずサファリのウインドウをスペーシズバーにドラッグします。

続けて、同じ操作スペースのサムネイルにテキストエディットのウインドウをドラッグすると、スプリットビューに切り替わります。

スプリットビューは、中央線をドラッグして左右の表示領域を調整したり、タイトルバーをドラッグして左右を入れ替えたりといった操作ができます。

スプリットビューを解除するには、ミッションコントロールのスペーシズバーを使うか、それぞれのウインドウでフルスクリーン解除ボタンをクリックします。

【マルチタッチジェスチャ】

2本以上の指を使って行う操作方法で、マジックトラックパッドやマジックマウスなどの入力インターフェイスで用います。システム環境設定の「トラックパッド」や「マウス」で設定できます。

【マジックマウス】

アップル純正のマジックマウスを利用している場合は、マウスの上を2本指でダブルタップして、ミッションコントロールを呼び出せます。マルチタッチジェスチャの3本指を2本指に置き換えることで、ほかの操作も可能です。

【デスクトップピクチャ】

記事中の図でもわかるように、操作スペースのデスクトップには、個別にデスクトップピクチャを設定できます。自分が今どの操作スペースで作業しているかを識別する、もっとも簡単な方法といえます。

【フルスクリーン】

ウインドウを全画面で表示する機能。フルスクリーンモードの初期設定ではメニューバーが非表示ですが、マウスポインタを画面上部に移動すると表示できます。また、スプリットビューも、フルスクリーンの動作に準じます。