Macの容量が少ない！
（カランカラン♪）
マスター●いらっしゃいませ。
客●ああ、どうも。こんな時間に喫茶店やってるなんて知らなかったよ。お店の“真夜中のジーニアス”ってどういう意味? とりあえずブレンドのホットをください。
マスター●ブレンドですね。…喫茶店は私の道楽のようなものでして、モバイルのよろず相談なども承っています。メニューの裏側をご覧ください。
客●おおっ? なんだこれ、質問が3つまでで1500円…ちょうどいいや、僕もMacBookエア使っているんだけど、相談に乗ってもらえるかな？
マスター●はい、何なりと。
客●数年前に買ったMacBookエアなんだけど、容量が128
GBしかないんだよね。今ってiPhoneでも256GBがあるのに少なすぎじゃない? それで最近になって容量が足りなくなって、頻繁にエラーが表示されるんだけど、なんとかならないかなぁ。
マスター●もしかして、こんなエラー（上図）じゃありませんでしたか？
客●そうそう、この「起動ディスクはほとんど一杯です。」ってやつ。それはわかったけど、じゃあどうすればいいのってことが知りたいんだよね。書類捨てろってことなの? ハードディスク交換したり新しいMacに買い換えろってことなの？
マスター●それでしたら内蔵ストレージを節約する方法を覚えておくのはいかがでしょう。ちなみにMacBookエアはハードディスクではなくSSDですけどね。
客●そんな方法あるの? だったらそれを教えてもらおう——
（カランカラン♪）
謎の娘●たっだいま～！ あ、お客さんいるんだ。ラッシャッセー。
新米アシスタント登場
客●マスターの娘さん？
マスター●娘が学校のあとにバイトをするって言い出したので、それならばと私の仕事を手伝ってもらうことになりまして。
客●そうなんだ。でも、この店だと普通のウェイトレスじゃなくて、Macのサポートのアシスタントもするってこと？
マスター●まだまだ見習いですが、そうなります。お転婆娘なので失礼なことを言うかもしれませんが、ご容赦ください…。
謎の娘●お待たせしました～。お客さんは裏メニューのご注文ですね? 今日はMacのご相談? あ、わたしユミコって言います、よろしく～。
客●なんだか変な店に来ちゃったような気がしてきたけど、よろしくお願いします。
ストレージ容量をパージするって何？
ユミコ●ブレンドお待たせしました～。じゃあ、MacBookの中身をスッキリさせる方法を紹介するね! あ、お客さんのMacは最新のmacOSシエラですか？
客●いや、1つ前のバージョンだったと思う。
ユミコ●そうなんだ。シエラにするとMacの容量を節約する機能があるからアップデートおすすめだよ。では、まずリンゴマーク、アップルメニューっていうけど、から自分のMacのストレージがどうなってるか確認します。そうすると、グラフが出てシステム、書類、App（ソフト）みたいにどのくらい使っているかがわかります。で、音楽や写真好きだと128GBでは足りないかもしれませんね。
客●なるほど、映画をレンタルしようと思ったらエラーが出たのはそういうことか。この「パージ可能」って書いてあるのはどういう意味？
ユミコ●ぱーじ…。ねぇ、パパじゃなかったマスター。「パージ」ってどういう意味だっけ？
マスター●「切り離せる」って意味ですね。この場合は設定次第で節約できる容量ということです。
ユミコ●あ～パパみたいな「窓際族」のことか。
客●コーヒー吹くわ!! けっこう言うね娘さん。
ユミコ●そうかな? じゃあ次に［管理］画面に移動します。ここではオススメのストレージ節約設定があるので、上から順番にチェックしてね。全部オンにするだけでも、さっきのパージできる分量だけ容量を節約できます。
客●設定するだけで何十GBも節約できちゃうんだ、すごいね。でも減った分はどこに行くの？
ユミコ●写真とビデオはオリジナルのファイルがアイクラウドにアップロードされているので、ストレージの空き容量が少ない場合、Mac内のデータはサムネイルに置き換わるんです。編集したりするときに、自動的にアイクラウドからオリジナルがダウンロードされる仕組みです。
客●アイクラウドってそんな機能があるんだ。
ユミコ●でも、アイクラウドって無料で使えるのは5GBまでなんですよお。写真やビデオが多い人は全然足りないですよね、ちなみに50GBで月額130円、200GBなら月額400円です。
客●なんだ、コーヒーより安いじゃないか。ところで、この設定ってオンにする方法はあっても、オフにする項目がないのね。やっぱりやめたいとなったらどうすればいいの？
ユミコ●オッケー、じゃあそれが2つ目の質問だね。
ストレージの容量を確認するには、アップルメニューから［このMacについて］を選び、［ストレージ］のタブをクリックします。しばらくの間、容量が計算されると使用状況が棒グラフで表示されます。
macOSシエラ以降の環境では［管理］ボタンをクリックすると「システム情報」が起動して、［おすすめ］で容量を節約するための設定メニューがいくつか表示されます。
ストレージを最適化する
（１）［iCloudに保存］では、［デスクトップと書類のファイルをiCloud Driveに保存］と［写真とビデオをiCloudフォトライブラリに保存］が選べます。後者は容量が足りないときにMacローカルの写真容量を最適化してくれます。
（２）［ストレージを最適化］の項目では視聴済みのiTunesの映画を自動的に削除して空き容量を確保してくれます。テレビ番組については国内で配信されていないので特に効果はありません。
（３）［ゴミ箱を自動的に空にする］はゴミ箱に入れてから30日後に自動的に削除してくれる機能です。SSD搭載のMacでは、いったん消去されると取り戻すことはほぼ不可能です。
（４）［不要なファイルを削除］は、容量が大きい順にファイルを表示したり、［ダウンロード］フォルダ内を表示してくれる機能です。ここから手動で選択してファイルを削除して容量を節約します。
オフにする設定の場所はバラバラ
ユミコ●容量を自動で節約する設定をオフにするのは、ちょっとだけ大変です。もともとバラバラの場所にあった設定をまとめたものなので仕方ないですけどね。でも、アイクラウド関係の設定はシステム環境設定の［iCloud］パネルにありますし、iTunes、写真、ファインダはそれぞれの環境設定にありますから、いつでも元の設定に戻せます。ただし、手動で削除してしまったファイルは、タイムマシンバックアップをしていないと復活できないので気をつけてください。
客●元に戻せるんだったら安心だね。でも、なんだかこの［Macストレージを最適化］って機能はよく考えると不思議だね。容量が足りなくなったらファイルの実体が消えてしまうってこと？
ユミコ●アイクラウド・ドライブに保存したものはそうですね。ワープロ文書とか表計算のように単体で開ける書類は問題ないのですが、いくつか異なった場所に保存されたファイルを使うプロ向けソフトのプロジェクトファイルの場合はアイクラウド・ドライブには保存しないほうがよいみたいですよ。
客●僕はシステムエンジニアでもクリエイターでもないし問題ないかな。うーん、そうするとやっぱりOSをシエラにアップグレードして、ファイルはアイクラウド・ドライブに保存するのが一番なのかな、書類を全部合わせても100GBは行かないだろうし。
ユミコ●でしたら、それでよいと思いますよ～。普段は使わないけど大事なファイルは外付けハードディスクにも保存しておいたほうがよいかもしれません。
客●ドロップボックスとかではダメなんですか。
ユミコ●そうですねえ…それは3つ目の質問になりますね。
システム情報でストレージの最適化機能などをオンにすると［実行済み］と表示されて、この画面からオフに切り替えることはできません。
最適化設定をオフにする
［iCloudに保存］をオフにするには、システム環境設定の［iCloud］パネルから［オプション］を選択し、［Macストレージを最適化］のチェックを外します。ここでデスクトップと書類フォルダの同期も無効にできます。
アイクラウド・フォトライブラリの機能をオフにするには、［iCloud］パネルの［写真］から［オプション］を選択し、［iCloudフォトライブラリ］のチェックを外します。ここで［iCloud写真共有］も無効にできます。
視聴済みのレンタル映画の自動削除をオフにするには、iTunesの環境設定から［詳細］を選び、［視聴済みのムービーとテレビ番組を自動的に削除］のチェックを外します。
オンラインストレージは容量節約にはならない
ユミコ●あのう…これはよくある誤解なんですけど、ドロップボックスのようなタイプのオンラインストレージって、別にMacのストレージを増やしてくれるというわけではないんですよ。
客●あれっ、そうなの? 容量が増えるわけではないんだ。
ユミコ●完全に同期するには、クラウドストレージとMacのストレージの空き容量が同じだけ必要なんです。お使いのMacBookエアの空き容量がもし10GBしか残ってなければ、ドロップボックスは10GB未満、実際にはもうちょっと少ない容量しか使えないんです。あるいは、容量の大きな別のMacと同期しているのであれば、「選択型同期」で最低限必要なファイルだけをMacBookエアに置いておくことはできますけどね。
客●コンピュータやスマートフォンを複数持ってないと意味がないというわけか～。そうすると外付けハードディスクを買うか、新しいMacBookを買うしかなさそうだ。マスターが最初に言ってた話に戻っちゃった。
マスター●アイクラウド・ドライブを利用した容量節約術も限度がありますので、次にMacを買うのであれば最初からストレージ容量に余裕のあるモデルを選ばれるとよいですね。
アイクラウド・ドライブでは、契約したプランの容量内であれば内蔵ストレージの退避先として利用できます。ただし、ストレージの空き容量によって自動で行われるので、どのファイルが退避されたのかはアイコンの表示を確認するしかありません。
ドロップボックスは有料版にすると1TB（1000GB）まで容量を拡張できます。しかし、Macの物理的なストレージ容量が増えるわけではないので、必要なフォルダだけ「選択型」の同期をする仕組みです。
ドロップボックスの選択型同期でMacと同期させていないフォルダへはWEBブラウザでアクセスし、必要に応じてダウンロードしたりほかの人と共有したりできます。
ユミコの日誌
今日のお客様はMacBookの容量不足にお悩みのおじさまでした。3つのオーダーは
・ストレージの節約設定
・設定をオフにする方法
・オンラインストレージに関する疑問
についてでした。大きな内蔵ストレージも便利だけど、トラブルが起こるとバックアップからの復元に時間がかかります。普段からできるだけシェイプアップしたほうがいいんだぞ。それに、SSDは空き容量が減るとどんどんおそくなっちゃうからね！