インターネットを見たり、ファイルを共有したり、Macを毎日快適に使ううえで大事なのはネットワーク接続です。Macにおける有線/無線ネットワークやAirMac、AirPlayなどについて理解して快適なMacライフを送りましょう。
©A. and I. Kruk
Macとその周辺を取り巻くネットワーク
今や、一家に1回線は当たり前のインターネット。iOSデバイスはいうに及ばず、インターネットにつながっていないパソコンはただの箱などといわれる今日ですが、その回線は有効活用できていますか? パソコンやスマートフォンユーザにとってインターネットは、WEBページの閲覧やメールの送受信、オンライン配信やネットショップの利用など、確かに生活の一部になっています。
インターネットから受けられる恩恵は、それだけではありません。たとえば、家族が1つ屋根の下でそれぞれ自分のパソコンやタブレット、スマートフォンを使っているとします。家中のパソコンやスマホと、プリンタやテレビなどの家電を共有できたら便利じゃありませんか? あるいは、家族みんなで楽しめる動画や写真、音楽データなどを1つのファイルサーバにまとめて、誰もがどこの部屋からでもアクセスできたらどうでしょう? また、小規模オフィスやホームオフィス、いわゆるSOHOでは、作業効率化を図るうえで、こうしたネットワーク環境作りが欠かせません。
ひと昔前までは、オフィスネットワークといえば、イーサネットケーブルを使った有線LANが主流でした。大規模オフィスでは、現在も安定性や安全性を重視して有線接続を採用しているケースがほとんどでしょう。一方で、SOHO型のオフィスや家庭内ネットワークの場合、家中にLANケーブルを這わせるのは現実的ではなく、スマートとはいえません。
そこでおすすめなのが、すでに家庭内に引いているインターネット回線を使ったWi-Fiネットワーク(無線LAN)の構築です。
手軽に始めるWi-Fiネットワーク
パソコンと周辺機器をつなげるネットワークには、大きく分けて有線LANと無線LANの2つがあります。ケーブルを使って物理的に機器をつなげる有線LANの代表的なものが「イーサネット(Ethernet)」で、一般的に利用されているネットワークの代表格です。そして無線LANは、LANケーブルを介さず電波による通信を行うもの。「Wi-Fi」が無線LAN規格の1つであることはご存じのとおりでしょう。
これまでいわれてきたような、無線LANの通信速度が有線LANより遅いというのは昔の話。現在は、同等のスピードが得られることがわかっています。そして環境によっては、無線のほうが速いことも十分あります。
各部屋が独立した住宅で、電波の死角になる部屋がある場合でも、中継機を設置することでカバーできます。家庭内ネットワークなら、前述のとおり配線が不要なWi-Fiを使った無線LANが手軽というわけです。
ホームネットワークを始めるにあたってまず必要なのは、インターネットとWi-Fiルータです。次のページからは、アップル純正のベースステーション「AirMac」を例に、ルータのセットアップから無線ネットワーク作りの基本を紹介します。
有線LANと無線LANの違いは、一目瞭然、ケーブルの有無です。以前は安定性や速度の点から、仕事で使うなら有線LANといった傾向が強くありました。しかし現在では無線LANの信頼性も上がり、オフィスでも広く活用されています。
これだけは知っておきたいコトバ
[LAN]
Local Area Networkの略で、限られたエリア内でパソコンや周辺機器をつなぐコンピュータネットワーク。有線LANと無線LANがあります。
[NAS]
Network Attached Storageの略で、ネットワークに接続したハードディスクなどのストレージを指します。簡易ファイルサーバとして使用することもできます。
[SSID]
Wi-Fiネットワークのアクセスポイントの識別名のことで、Service Set Identifierの略。「ネットワーク名」と呼ばれることもあります。
[ファイル共有]
ネットワーク上のMac間またはMacとウインドウズ間でファイルを共有するmacOSの機能。管理者アカウントで接続した場合は、Mac全体にアクセスが可能。
[無線ルータ]
ネットワーク間を無線でつなぐ通信機器。家庭で多く使われているWi-Fiルータは、親機のモデムに無線機能がない場合でも、中継機として利用することで無線環境を実現します。また、1度に複数の機器との通信が可能です。
【基本1】AirMacベースステーションの基礎を理解しよう
AirMacとは何か?
AirMacベースステーションは、アップルが開発・販売する無線LANルータ製品の一群を指します。現行販売されているAirMacには、3種類の製品があり、それぞれに特徴があります。ちなみに、日本以外の国では「AirPort(エアポート)」が正式名称です。日本ではすでに「AirPort」が他社の登録商標となっていたことから、「AirMac」として販売されることとなった経緯があります。
さて、AirMacには、現行3製品がラインナップされています。コンパクトで小回りが利く「AirMacエクスプレス(Express)」、高速かつパワフルなワイヤレスの管制塔「AirMacエクストリーム(Extreme)」、そして無線ルータとバックアップストレージの両方の機能を兼ね備える「AirMacタイムカプセル(Time Capsule)」となります。
それぞれ三種三様の個性を持っており、電波が届きづらい部屋にはAirMacエクスプレスを中継機として設置したり、今まで直接つないでバックアップしていた外付けストレージをAirMacタイムカプセルに置き換えたりと、目的に合わせて選べる製品構成になっています。
AirMacのメリット
AirMacを使う最大の理由は、パソコンや家電のワイヤレス化ではないでしょうか。家庭や小規模オフィスにワイヤレスネットワークを設置することで、複雑な配線が簡略化され机周りもスッキリ!また、今まで各部屋に設置していたプリンタを1台に削減できたり、それぞれのハードディスクにある音楽データをネットワークストレージに集約することも可能です。
もちろん、同様のワイヤレスネットワークは、他社の製品でも作れます。しかしながら、設定の容易さにおいて、AirMacの右に出る製品はありません。それがAirMacを使うもう1つの理由といえます。
すでにインターネット回線を使っている自宅やオフィスなら、AirMacを箱から取り出して親機につなげるだけのお手軽さ。あとは、macOS標準の「AirMacユーティリティ」でネットワークを作成するだけなんです。
どのAirMacを選んだらいいの?
冒頭にも書いたとおり、3種類のAirMacはそれぞれタイプが異なります。設置する住宅の間取りによっては、複数のルータが必要になることもあるでしょう。AirMacは、親機としても子機としても使えるので、メインのWi-FiルータとしてAirMacエクストリーム、中継用の子機としてAirMacエクスプレスを設置することもできます。
また、家中どこでも音楽が聴ける環境を構築したいというときには、オーディオジャックを装備したAirMacエクスプレスが活躍します。エアプレイ(AirPlay)対応のスピーカとAirMacを用意すれば、iTunesの音楽をスピーカから流すこともできます。
そして仕事でネットを使用するのなら、ギガビット対応のAirMacエクストリームやタイムカプセルで、高速Wi-Fiネットワークを構築し、快適なワイヤレス環境を目指すのがおすすめです。
ベースステーションをコントロールするAirMacユーティリティとは?
「AirMacユーティリティ」は、AirMacベースステーションをMacからコントロールするためのソフトで、macOSには標準でインストールされています。さらにMacのほかにも、ウィンドウズ用ソフトとiOSデバイス用アプリが公開されており、後者はアップストアで入手できます。Mac以外のデバイスでAirMacの管理や設定を行う場合は、それぞれのデバイス専用のAirMacユーティリティをインストールしましょう。
AirMacユーティリティは、AirMacベースステーションを運用するうえで必要なすべての設定を司ります。また、AirMacのファームウェアアップデートもAirMacユーティリティから行います。ファームウェアアップデートには、無線ルータのセキュリティアップデートが含まれるので、インターネットを安全に使うためにも、定期的にチェックしましょう。
AirMacユーティリティは、[アプリケーション]フォルダ内の[ユーティリティ]にインストールされています。またランチパッドでは、[その他]フォルダの中に収納されています。
iOSデバイス用のAirMacユーティリティは、アップストアから無償でダウンロードできます。
AirMacを工場出荷状態に戻すには、本体で操作する以外に、AirMacユーティリティから実行する方法もあります。メニューバーにある[デフォルト設定に復元]を選択しましょう。
AirMac Express
価格:9800円(税別)
サイズ:98×98×23mm/240g
Wi-Fi規格:IEIEEE 802.11n/同時デュアルバンド2.4GHz/5GHz/最大データ転送速度300Mbps
インターフェイス:10/100BASE-Tイーサネットポート(DSLモデム、ケーブルモデム、イーサネットネットワーク接続用)/10/100BASE-Tイーサネットポート(コンピュータ、イーサネットハブ、ネットワークプリンタ接続用)/USB 2ポート(USBプリンタ接続用)/3.5mmミニオーディオジャック(アナログ/オプティカルデジタルサウンド用)
現行のAirMac製品の中ではもっともコンパクトなベースステーション。小回りが利くので、限られたスペースでの使用はもちろん、中継機としても利用できます。また、スピーカをネットワークに接続することでワイヤレスでの音楽再生を実現するエアプレイが目的なら、オーディオジャックを備えた本機は最善の選択肢です。
AirMac Extreme
価格:1万9800円
サイズ:98×98×168mm/945g
Wi-Fi規格:IEEE 802.11ac/同時デュアルバンド2.4GHz/5GHz/最大データ転送速度1.3Gbps
インターフェイス:ギガビットイーサネットポート(DSLモデム、ケーブルモデム、イーサネットネットワーク接続用)/ギガビットイーサネットポート x 3(コンピュータ、イーサネットハブ、ネットワークプリンタ接続用)/USB 2ポート(USBプリンタ、ハードドライブ接続用)
最高速度1.3Gbpsに対応した最新のワイヤレス企画802.11acや、対象のデバイスに狙いを定めて電波を送るビームフォーミングにも対応。ホームネットワークをこれから構築しようと考えているなら、候補の筆頭にあげたい機種です。USB 2ポートを2つ備えているので、プリンタのほかにハードディスクをつないでNASとして使うことも可能です。
AirMac Time Capsule
価格:2TB 2万9800円/3TB 3万9800円
サイズ:98×98×168mm/1480g
Wi-Fi規格:IEEE 802.11ac/同時デュアルバンド2.4GHz/5GHz/最大データ転送速度1.3Gbps
インターフェイス:ギガビットイーサネットポート(DSLモデム、ケーブルモデム、イーサネットネットワーク接続用)/ギガビットイーサネットポート x 3(コンピュータ、イーサネットハブ、ネットワークプリンタ接続用)/USB 2ポート(USBプリンタ、ハードドライブ接続用)
AirMacエクストリームのすべての性能を備え、さらに大容量ストレージ(2TBまたは3TB)を搭載したのがAirMacタイムカプセル。その名前からもわかるように、macOSのバックアップソフト「タイムマシン」に対応したワイヤレスバックアップを実現します。1台で2度おいしい全部入りなら、この1台を選ぶべし。
【ホームネットワーク】
パソコンや周辺機器、デジタル家電を有線または無線で結び、ネットワーク化するシステムやネットワークを指します。たとえばすべてのパソコンからネットワーク上のプリンタやストレージなどを共有できます。
【AirPlay】
MacやiOSデバイスで再生中の音楽やムービーを、ネットワークを通じて、テレビやスピーカといったほかのエアプレイ対応機器でストリーミング再生する機能。iOSデバイスの画面をミラーリングすることも可能です。
【ギガビット】
通信速度1ギガビット/秒を仕様とするイーサネットの規格。従来のイーサネットよりも広帯域のネットワークに対応した規格で、高速通信を実現します。AirMacシリーズでは、エクストリームとタイムカプセルがギガビットに対応しています。