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Mac片手に世界を回る 25回目「ネパール・ルクラ」

著者: 鈴木陵生

Mac片手に世界を回る 25回目「ネパール・ルクラ」

2017年の僕らの旅は、カトマンズの空港から始まった。目的地はネパール東部の山あいにある町、ルクラ。エベレストを目指す登山家やトレッカーのスタート地点となる場所だ。そこは、飛行機が苦手な僕らにとっての、今年最初の難関でもあった。

ルクラのテンジン・ヒラリー空港は、危険な空港として有名だ。標高2860メートルの高所にあり、強風や濃霧といった悪天候に見舞われる確率が非常に高い。そして山肌から崖へと延びる坂道の滑走路は、信じられないほど短いらしい。はたして、僕らは無事スタート地点に立てるだろうか。

カトマンズを飛び立ちしばらくすると、夜が明けてきた。空の上から見る初日の出だ。朝日に照らされ、この飛行機より高いヒマラヤ山脈が白く光り始める。絶景だ。だが、その感動的な風景を、乗客全員が真顔で見つめていた。機体が激しく揺れ出し、皆生きた心地がしないのだ。窓から見える山がみるみる近づいてくると思った瞬間、飛行機は着陸した。機内からは盛大な拍手が起こった。隣を見るとヨメが、涙目で笑っていた。

飛行機から降りて、町のロッジでシェルパ族のガイドとポーターを紹介してもらい、トレッキングの装備を整えたら、荷運びのヤクとともに、このはじまりの町を早々にあとにした。目指すは、標高5364メートルのエベレストベースキャンプ。今年初の難関を越えた僕らは、次の難関、高山病に挑む。

鈴木陵生(Ryosei Suzuki)

映像作家。2011年より夫婦で世界一周を始める。旅の様子を発信する映像サイト「旅する鈴木」が、平成26年度文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品に。2014年11月、DVD&Blu-ray「World TimeLapse」(KADOKAWA)をリリース。 【URL】http://ryoseisuzuki.com