【NEW】15インチMacBook Pro シルバー/スペースグレイ(写真右)
【発売】アップルジャパン
【価格】Touch Bar搭載/2.6GHzプロセッサ/256GBストレージ:23万8800円(税別)、Touch Bar搭載/2.7GHzプロセッサ/512GBストレージ:27万8800円(税別)
【NEW】13インチMacBook Proシルバー/スペースグレイ(写真左)
【発売】アップルジャパン
【価格】Touch Bar非搭載/2.0GHzプロセッサ /256GBストレージ:14万8800円(税別)、Touch Bar搭載/2.9GHzsプロセッサ/256GBストレージ:17万8800円(税別)、Touch Bar搭載/2.9GHzプロセッサ/
3度目の船出
2016年10月27日、アップルによる新製品のスペシャルイベントが行われた。例年、この時期になるとメディア向けにイベントを開催し、クリスマス商戦に向けて数多くの新製品をリリースする。ここ数年の主役製品といえば、iPhoneやiPadなどのiOSデバイスだったが、今年はイベントのタイトルを「hello again」と題していた。
この「hello」というキャッチコピーは、1984年に発売された初代Macintoshを象徴するコピーライトである。また、低迷していたアップルを復活させた象徴であるiMacが98年にデビューしたときにも、「hello(again)」というコピーが使われていたことをご存じの読者も多いだろう。つまり、今回のイベントも「今までにない新しいMac」の登場が期待されて当然だった。
その3代目の「hello」を引き継ぐモデルとして選ばれたのが、MacBookプロだ。今年はアップルから初めてノートブック製品がリリースされてちょうど四半世紀という節目の年ということもあり、MacBookプロが選ばれた理由の1つとして、その記念碑的な位置づけがあることは間違いない。
しかし、それ以上に重要なのがマーケット全体でのコンピュータの利用率だ。ノート型製品のシェアはすでに過半数を超えており、70%近くまで伸びている。このことを考えると、今後もデスクトップを主流としていくのはアップルとしても合理的ではないのは明らかだ。
それを考えると、今回のイベントは単なる「新製品の発表会」なのではなく、サブマシンとして開発がスタートしたこのシリーズが次の「Mac」としての顔、製品の代名詞となっていくのだというメッセージが含まれていた「世代交代」の儀式だった、と考えれば今回のイベントがアップルにとって重要なターニングポイントとしてのメッセージを持っていたことが窺い知れる。
取捨選択の時代
アップルは洗練されたデザインだけでなく、その「先進さ」を失わないために率先して古いテクノロジーを切り捨てていくことでも有名だ。そしてこの思想は新しいMacBookプロにも色濃く反映され、ヘッドフォン端子以外のすべてのポートはサンダーボルト3に置き換えられた。
これによって旧来より慣れ親しんだマグセーフによる充電やSDカードスロットなどが廃され、普及が進んできたサンダーボルト端子の形状が変更になるなど、アップル製品を使い続けているユーザから悲鳴にも近い困惑の声が聞こえてきている。しかし、過去にも他社に先駆けてUSBを採用し、標準記録メディアだったフロッピーディスクを廃したiMacも、当初の懸念とは裏腹にあっという間にスタンダードな地位を確立したのも事実だ。
USB-Cタイプへと形状が変わったサンダーボルト3は、1つのコネクタにデータ転送、充電、ビデオ出力の機能が統合されている。端子が両面リバーシブルといったユニバーサルデザイン的なメリットもある。またUSB-Cは、先行するMacBookはもちろん、ウィンドウズやスマートフォンなどでも早いペースで普及が進んでいる。
より薄く、軽く、シンプルにといったノートに求められる魅力を追求するうえでは、このタイミングでの大胆な変更は決して間違いではないだろう。
レガシーを切り捨てたのはポートだけではない。新たに搭載された「タッチバー(Touch Bar)」は、従来までのキーボードの常識に一石を投じる新しい試みだ。上部にあったファンクション(機能)キーをタッチディスプレイに進化させることで、ボタンインターフェイスとしてだけでなく、ディスプレイとしても活用できる。開発者向けにはAPIも用意されているため、さまざまなサードパーティ製ソフトも対応する。
ハードウェアとソフトウェアの両方を開発しているアップルだからこそ実現できるこういった新たな挑戦は、MacBookプロがノートの革新を牽引していくだけでなく、Macを代表する顔としてこれからのコンピュータ世代を背負っていく存在になるからこその意味があるのだ。