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医療機関から生まれた「健康アプリ」を試してみよう●iPhoneで教えてカラダ診断

医療機関から生まれた「健康アプリ」を試してみよう●iPhoneで教えてカラダ診断

医学研究をより進めるために「ResearchKit(リサーチキット)」

iPhoneを医療研究に役立てるための仕組み(フレームワーク)、それがリサーチキットだ。アップルは2015年4月にリサーチキットの提供を始め、翌2016年3月にはオープンソースとしてより幅広い医療機関や研究施設で利用できるようにした。

このリサーチキットでは、ユーザがアプリで入力した情報、あるいは加速度センサ、ジャイロスコープ、マイク、GPSなどで取得した情報、さらには「ヘルスケア」アプリで記録している情報などを医療研究機関に送信できる(もちろんユーザの許可を得たうえでの送信となる)。リサーチキットで送信されるデータはアップルを経由しないため、アップルが情報を蓄積するというプライバシー上の心配もない。

リサーチキットの魅力とは、世界中のiPhoneユーザが研究に参加し、これまでとは比べ物にならない量の研究データを収集できることにある。それによって、病気の症状の引き金となる因子を発見したり、治療や状態改善のための糸口を探ることができるようになる。

つまりは、iPhoneとユーザの協力が、人々を救う医療の発展に役立つということ。国内のユーザが参加できるアプリも複数リリースされているので、ぜひアプリをインストールし、参加してみてはいかがだろうか。

自分の健康をもっと深く知れる「CareKit(ケアキット)」

リサーチキットが医療研究のためのフレームワークなのに対し、ケアキットは包括的な医療ケアのためのフレームワークだ。ケアキットを使ったアプリ開発によって、アプリ使用者自身が自身の健康状態を把握できることはもちろん、家族や医師、看護師も健康データを共有し、健康維持に役立てることができる。

ケアキットを活用すると、薬の服用状況やその日の気分などを記録したり、iPhoneやアップルウォッチのセンサで収集した活動データを記録するアプリを効率的に開発できる。また、それらの情報をグラフ化して治療の経過が順調かどうかを確認したり、医療チームに送ったりすることも可能になる。こうした仕組みを提供することで、医療アプリ開発のハードルを下げることがケアキットの狙いだ。

今後ケアキットを使ったアプリが揃っていき、各地の医療機関がそうしたアプリを採用していくことで在宅医療や訪問医療が進み、患者をチームとして見守っていけるようになる。また、患者との診療回数が限られていても容体を把握できるようになるため、患者や医師の負担軽減にもつながっていく。在宅医療や訪問医療を支えてくれるこの仕組みは、とりわけ高齢化社会を迎えた日本にとって大きな恩恵をもたらすことになるだろう。

ResearchKitから生まれたアプリ

インフルエンザの疑問を解明する

インフルレポート

【作者】順天堂大学

【価格】無料

ワクチンの効果やインフルエンザ罹患の危険因子といった、インフルエンザに関する重要な科学的疑問の解明を目的とするアプリ。ワクチンの接種状況や罹患時の症状など、主にアンケート調査からユーザデータを収集する。ユーザは、収集データを元にした地域ごとのインフルエンザ発生状況をアプリ内で確認できる。

日本の健康寿命を延ばすために

ロコモニター

【作者】順天堂大学

【価格】無料

ロコモとは、「運動器の障害により移動機能が低下した状態」のこと。ロコモは寝たきりや要介護の要因になり、予防することが健康寿命の延伸につながる。このアプリはアンケートなどにより人々の「ロコモ度」を調査することを目的にしている。ユーザはこのアプリを使うことで自分のロコモ度を把握することも可能だ。

ドライアイと生活習慣の関係を調査

ドライアイリズム

【作者】順天堂大学

【価格】無料

このアプリは、ドライアイと生活習慣の関連性を調査し、ドライアイの新しい治療方法を開発することを目的としたもの。データの収集は、アンケートとiPhoneに内蔵されたカメラやセンサを利用した計測を組み合わせて行われる。ユーザは3分でできるドライアイ測定のほか、ドライアイ予防に関する記事を閲覧できる。

CareKitから生まれたアプリ

抗うつ薬の経過観察に

Start

【作者】Iodine Inc.

【価格】無料

投薬により、うつ病の症状が改善しているかどうかを確認するためのアプリ。ユーザは質問に回答する形で自分の心の状態などを記録していく。投薬の状況と照らし合わせて変化をチェックすることで、薬がうつ病の改善に役立っているか、副作用がないかを確認し、医師と共有できる。

食事を記録して糖尿病ケア

One Drop for Diabetes Managemen

【作者】Informed Data Systems, Inc

【価格】無料

自分の活動や食事内容を記録して糖尿病ケアに役立てるためのアプリ。豊富な食品データベースを元に、自分が食べたものの炭水化物量などを割り出してくれる。また、ブルートゥース対応の血糖値モニターを使って血糖値を記録することも可能だ。

生活習慣と糖尿病の関係を明らかに

Glow Nurture

【作者】Glow, Inc.

【価格】無料

出産をサポートするためのアプリ。妊婦が自分の状態を入力していくことで、健康な出産のためのアドバイスを提供してくれる。また、妊娠時に役立つヒントやユーザ同士のコミュニケーション、薬やケアの予定を忘れないためのリマインダなど機能が充実しており、出産までの道のりを心身ともにサポートしてくれる。