STORY Ⅰ @IBM
佐々木 志門 Simon Sasaki
2013年よりモバイルアプリ開発ソフトウェアのセールス・エンジニアとして従事。15インチMacBookプロとiPad、iPhoneを持ち歩いているので、カバンがいつもパンパン状態。「ひらくPCバッグ EVERNOTE Edition」を愛用
「次世代のビジネスはクラウドとコグニティブで上書きする」
私は日本IBMというIT企業に勤めています。IBMといってもアニメ「亜人」の黒いゴーストみたいなヤツではありません。IBMは世界中で約40万人の社員が働いているIT企業で、最近は多くのクラウド関連のIT企業を吸収しています。たとえば動画共有サービスのUstreamや、気象情報サービスのThe Weather Companyなど。先日、米国から研修の講師として来日した同僚は「ボクは社員が数十名の企業で働いていて、アメリカは土地が広いからWEBセミナーばっかりしていたけど、入社して半年でIBMに吸収されてこうやって日本に来るチャンスができたよ。実はアニメが好きなので秋葉原にも行けてラッキー」なんて話も。
IBMはBluemixというクラウドサービスを2014年から提供しています。クレジットカードで契約できるのでThinkPadやホームページ・ビルダー以来、ひさびさに一般の方が買えるIBMの製品ともいえます。どんなサービスかというと、話題の「IBM Watson」というコグニティブ・プラットフォームを使えるWatson APIを始め、プッシュ通知などのモバイルアプリ開発やビッグデータ、IoT、先ほどの気象情報サービスなどアプリ開発を豊かにするAPIがたくさん用意されています。サーバでSwiftだって動いちゃうんです。iOSアプリ開発が、どんどん学びやすくなって来ているので、多くの若い開発者に知ってもらい、このIBM Bluemixで使えるAPIを組み合わせて便利でワクワクするアプリが増えていくことを夢見ています。
わたし自身楽しいアプリ開発ができるように、日々、いろんなアプリを使ってみているのですが、UberやAirbnbに代表されるようなシェアリングエコノミー関連のアプリがとても楽しいことに気がつきました。ただUberは日本では白タクがNGなので「全国タクシー」も併用したり、カーシェアリング関連のアプリを使ったり。仕事柄、地方に出張することもあるのですが、空き時間などに少し離れたレストランでご当地B級グルメを食べて、すぐ職場にリターンなんていうのも、このアプリがあるからできるんだよなぁ、と。今後オリンピックで海外からのお客さんも増えると思いますし、海外出張でもアプリは欠かせません。
少し前、リオオリンピックがありましたね。どのアスリートも金メダルを目指して頑張る姿に感動しました。学生の頃アーチェリーをしていたのですが、たとえばアーチェリーで金メダルを取れても、レスリングでは金メダルを取れるかわかりません、それは種目によってルールも違えば、鍛える身体も違うから。そしてスポーツのルールも、どんどん改訂されます。同じようにIT業界の世界も、どんどんルールや常識が変わっています。iPhoneやiPadが登場した衝撃に続き、最近はAIが注目されています。今やクラウドで誰でもAIを使えます。
東京オリンピックが開催される頃にはどんな感動的なアプリがあって、世界のルールが変わっているのでしょうか? クラウドで前例がないものを創り出し、何かを変えられるかもしれない。その頃、IT業界で求められるスキルは、技術ではなくて人情やココロの豊かさかもしれない、そんな気がしています。
STORY Ⅱ@Adobe
西山正一 Nishiyama Shoichi
2001年にアドビ システムズに入社。WEB製作アプリやDTPアプリの製品担当を経て、現在はCreative Cloudのエンタープライズマーケティング部門を統括。新しいガジェット類にはすぐに飛びつくタイプ。食いしん坊でお酒呑み。
「モノのインターネットっておいしいの?」
た しか7~8年前のとあるイベントでパネルディスカッションに参加していたときに、登壇者の一人が「これからはパソコンだけでなくありとあらゆるものがインターネットにつながる時代が来る」と熱弁していました。その人は続けて「そう、たとえば水道メーターや電気メーターなどが」と言っていたので、そのときは「そんなものイラネー」と強く思ったことを覚えています。ほかに良いたとえはいくらでもあっただろうに。
そして現在、僕はIoT(Internet of Things = モノのインターネット)大好き人間となりました。経済的に許される範囲で、さまざまな機器をIoT対応デバイスに買い換えています。リビングルームの照明、温度計、体重計などは直接自宅のWi-Fiに接続されていますし、腕時計と活動量計とメガネはブルートゥース経由でスマートフォンと接続しています。
そもそも僕はライフロガー気質で、さまざまな行動をデータに残すことが大好きなのです。たとえば撮影した写真には1枚残らずジオタグ(GPSの位置情報)を埋め込んでますし、iTunesで再生した音楽は、すべての曲の再生回数をサーバに記録しています。一方で大変なものぐさなので、データに残す作業は極力自動化したいのです。僕にとってはさまざまな機器がIoT化され、その情報が自動的に記録されていること自体が「快感」だったりするのです。
そして、これらのIoT機器を「IFTTT」というサービスで連携させることができるのですが、これがまた面白い。ベランダに設置した温度計の気温が30度を超えたらリビングルームの照明の色を赤く発光させたり、体重が70kgを超えると僕のiPhoneあてにメールを送信したりできます。IoTデバイスがなくても、IFTTTではさまざまなWEBサービス同士を連携させることができるので是非遊んでみてください。
さて、このIoTがこれからどんどん普及するといったいどうなるのか? 僕の身につけたモノの数々が大量の情報を送り出し、その情報から僕の生活に役立つことをフィードバックし、僕の生活をさらに快適にしてくれます。行きつけのバーのドアをくぐると、入り口に設置されたセンサがiPhoneと通信して「僕」という存在を認識し、僕がまだ飲んだことがない新作ウイスキーを勧めてくれます。バーから出ればセンサが働き、お会計も自動で完了です。
一方でウイスキーのメーカーは新作ウイスキーの売上状況をリアルタイムで知ることができ、品切れにならないよう出荷量を常に最適化できます。ウイスキーの瓶をIoT化すれば、僕が飲み干した瞬間にアマゾンで追加購入させることもできるでしょう。IoT化が進めば「誰がいつどこで何をしているのか」が正確にわかるようになり、一人一人に適切な情報を届けることが可能になります。IoTによって集められた膨大なデータがあれば、将来のことも予測できるようになるのですが、それは次回のお話ということで。