高効率コアで省電力
では、次にiPhoneの内部に目を向けてみましょう。まずはプロセッサです。iPhoneはモデルチェンジするごとに搭載プロセッサが新しくなっており、今回もiPhone 6s/6sプラスが採用していたA9から、最新のA10フュージョンにグレードアップしています。
最新世代のプロセッサであればそれだけ高性能・高効率化が見込め、普段の操作速度やバッテリの接続時間などに影響が出てきます。現にA10フュージョンでは高性能な処理が必要ないときは、高性能コアの5分の1の電力で動作する高効率コアを使って消費電力を抑えています。内部構造が変わったことで内蔵バッテリの容量もアップしており、iPhone 7では約14%、7プラスでは5%ほどのバッテリ容量が増えています。結果、iPhone 7では最長2時間、7プラスでは最長1時間、バッテリ駆動が伸びています。
バッテリがどれだけ持つかは、実に重要な部分。iPhoneの使い方や環境によって大きく左右されますが、実際に数日使っただけでもバッテリの持ちがよくなっていることは実感できます。
なお、センサ類に関して違いを調べてみましたが、指紋センサや3軸ジャイロ、加速度、近接、環境光、気圧計といった各種センサ類に変わりはありません。
[ARCHITECTURE]バッテリ容量アップと電力セーブで駆動時間も延長
搭載プロセッサの違い
各種センサ類は、A10の内部に組み込まれたモーションコプロセッサのM10が管理します。
センサ類に変化はなし
近接センサは、iPhoneを耳に近づけたとき誤動作しないように、画面をオフしたり画面タッチを無効にするためのものです。周囲の明るさに応じて画面の輝度を変える際に用いるのが環境光センサです。
NFCにFeliCaが追加
Wi-Fiやブルートゥースは、6s/6sプラスから変わりありません。6/6プラス以降、iPhoneにはアップルペイ用としてNFCが搭載されていましたが、日本国内ではサービスが利用開始されていなかったので無用の長物でした。今回、NFCにフェリカが追加されたことでスイカが使えるようになり、やっとアップルペイのサービスが利用できるようになります。
バッテリ容量の変化
iPhone 7には、iPhone史上最大量のバッテリが搭載されています。一方、iPhone 7プラスでは、6sプラスで減少したバッテリ容量が、6プラスと同等に戻っています。
約35%前後の性能アップ
アップルでは今回のiPhone 7のプロセッサ性能を「iPhone 6より最大2倍高速」、グラフィックス処理は「iPhone 6より最大3倍高速」と表現しています。iPhone 6sが登場したとき、プロセッサは6の1.7倍、グラフィックスは6の1.9倍と称していたので、iPhone 7はiPhone 6sよりのプロセッサ性能が17・6%、グラフィックス性能は57・9%アップしたということになります。
では、実際の処理速度はどうなのでしょうか。「3D Mark」ならびに「ギークベンチ(Geekbench)」といったベンチマークアプリで計測してみました。
結果はグラフのとおり。3D性能では27~34%アップ、CPU性能では35~37%アップという驚きの結果です。実際、iPhone 7/7プラスを操作すると、iOS 10を搭載した6sや6sプラスよりサクサク反応するのがわかります。見た目は変わりなくても、確実に性能アップしています。
[CPU/GPU]処理能力を従来モデルと比較
3D Mark(3D性能:Ice Storm Unlimited)
3Geekbench 4(CPU性能)
A8/A9/A10パフォーマンス比
ネット環境によって数値は異なる
iPhone 7/7プラスではWi−Fiや携帯電話通信(データ通信)の性能もアップしています。アップルによると、「iPhone 6sと比べて50パーセント以上、iPhone 6と比べて3倍速い、最大450Mbpsのデータダウンロード速度を誇るLTE Advancedが搭載されています」とのこと。今回はLTE以外を実測してみました。
まずはジャバスクリプトの性能を「サンスパイダー(SunSpider)」で計測してみたところ、6sから7では約28%、6sプラスから7プラスは約18%ほどスコアが増しています。
また、Wi-Fiの速度に関して、AirMacエクストリームとiPhone間のデータ伝送速度を測定したところ、6sから7ではほとんど速度差はありませんが、6と比べると違いが出ました。iPhone 6から対応するWi−Fiの規格は802・11acで変わりませんが、6s以降はMIMOに対応しているのが大きな理由です。
[NETWORK]データ通信の速度もアップ
SunSpider 1.0.2 JavaScriptBenchmark Results
【作者】WebKitチーム 【価格】無料 【URL】https://www.webkit.org/perf/sunspider/sunspider.html
Wi-Fi SweetSpots(Wi-Fi接続速度)
響き渡るシャッター音
iPhone 7/7プラスでは、通話時に耳を当てる部分のスピーカも再生用として加わりました。iPhone単体で音楽をやムービーを再生すると、iPhone中心から音が出ているように感じます。iPhone 7のサイズでも横置きにすれば、それなりのステレオ感が楽しめます。
スピーカが2つになったことで、操作系の音も両方から聞こえてきます。電話やメール、メッセージの着信音などもステレオスピーカで再生されますので、今までより大きく聞こえます。カメラのシャッター音も大きく響き渡るので注意が必要です。
3.5ミリヘッドフォンジャックが廃止になったことで、従来のイヤフォンなどが使えなくなることを危惧するユーザもいるようですが、付属のイヤポッズもライトニングコネクタ接続に変わっているし、付属品以外のものを利用しているユーザも、同梱しているライトニング─3.5ミリヘッドフォンジャックアダプタがあるので心配いりません。
従来のイヤポッズをライトニング─3.5ミリヘッドフォンジャックアダプタを介して使ってみましたが、大きな違いは感じられませんでした。一説によると高級なヘッドフォンをライトニング─3.5ミリヘッドフォンジャックアダプタにつなげると、音質の劣化がわかるという意見もあります。
[AUDIO]スピーカがステレオ化! 操作の音量まで大きくなる
内蔵スピーカがステレオ化
本体の両端から音が聞こえるようになったiPhone 7/7プラスの内蔵ステレオスピーカ。音楽によっては、横置きにすることでより一層のステレオ感が得られます。
着信音やシャッター音が大きく響く理由は?
着信音やカメラのシャッター音も、ステレオスピーカから聞こえてくるため、大きく感じます。従来のiPhoneでは、底部のスピーカ部分を指で塞ぐことでシャッター音が響かないようにする小技が使えました。ところがiPhone 7/7プラスでは両スピーカからシャッター音が聞こえてくるので、この方法は使えません。2カ所のスピーカ穴を塞いだとしても、ライトニングコネクタ左横にある穴から音が聞こえてきます。この穴は、iPhone内部と外部の気圧差を調整するベント(換気口)で、iPhone内部のスピーカからの音がこちらからも漏れてきます。
従来のヘッドフォンジャックもつながる
iPhone 7/7プラスには、3.5ミリヘッドフォンジャックをライトニングコネクタに変換するアダプタが同梱しています。アダプタ部分で多少の信号劣化があるようで、ハイクオリティのイヤフォンやヘッドフォンをつなげると音質の違いに気づきますが、付属のイヤポッズ(EarPods)クラスであれば違いはわかりません。
Bluetoothでの接続もオススメ
ブルートゥース接続のイヤフォンやヘッドフォンを使うと、ヘッドフォンジャックやライトニングなどコネクタで悩むことがなくなります。エアポッズをはじめとする最近の製品なら、音質もある程度のレベルですし、ノイズや音の途切れなどもなく快適に使えます。
ワイヤレスの課題を克服
10月登場予定のアップル純正ワイヤレスイヤフォン「エアポッズ(AirPods)」は、イヤポッズのワイヤレス版。耳に装着する部分の形状はまったく同じですが、ケーブルがなく、W1プロセッサと、このチップがコントロールするノイズキャンセリングズームマイク、モーションセンサ、明度センサが備わっているのが違いです。
iPhone 7と組み合わせて1週間を過ごしてみましたが、その体験は初日から快適でした。エアポッズとiPhoneのペアリングはエアポッズのケースを開いてiPhoneの画面をタップするだけと非常に簡単。また、ワイヤレスのもう1つの課題であるバッテリの充電も、実にスマートな方法で解決されています。エアポッズ単体では5時間のステレオ再生が可能で、ケース内蔵のバッテリと合わせて24時間音楽が楽しめます。夜充電すれば、1日の途中でバッテリ切れになることはありませんでした。
iPhoneでエアポッズをペアリングすると、同じアイクラウドアカウントでログインしている他のデバイスにも設定情報が共有されます。アップルウォッチ、iPad、Macからエアポッズを選ぶだけで、耳に装着したまま切り替えられます。2つ以上アップルデバイスを使っている人は、エアポッズの快適さを120%堪能できるでしょう。
[EAR PHONE]驚く機能を満載したワイヤレスイヤフォン「AirPods」
EarPodsとAirPodsの比較
iPhone 7に付属するイヤポッズ(右)と、別売りのエアポッズ(左)は、ほぼ同じデザイン。この独特の形状は多くの人々の耳にしっくりなじみます。イヤポッズは若干低音が弱いものの、バランスの良いクリアな音質を楽しむことができます。一方のエアポッズはイヤポッズと同じかけ心地で軽く、ケーブルがない分より軽快に音楽を楽しむことができます。音質は、中高音を若干強調してるように感じました。ダブルタップするとSiriが起動します。
近づけるだけでペアリング完了
エアポッズをケースに入れた状態でそのフタを開き、iPhone(iOS 10以上)に近づけるだけでペアリングが完了します。それ以降は、耳に装着すれば、自動的にオンになったことを知らせる効果音が鳴り、iPhoneの音楽はエアポッズから聞こえてきます。耳に装着されたことを感知するので、耳から外すと一時停止します。
充電はライトニングで
このサイズのワイヤレスイヤフォンとしては、1回の充電で5時間再生はなかなかのもの。また、付属の充電ケースに収納することで複数回充電でき、24時間以上聴き続けられるようになっています。急いでいるときは、充電ケースで15分充電するだけで3時間再生可能。エアポッズをiPhoneに近づけると、バッテリ残量がわかります。
さまざまな設定が可能
エアポッズの詳しい設定は、環境設定の[Bluetooth]からエアポッズを選択することで可能です。使用するエアポッズのマイクを左から右に変更・固定したり、エアポッズをダブルタップして行うアクションを設定できます。
どんな場所でも、どんなデバイスでも
iPhone片手に通勤するとき、職場でMacを開いたとき、アップルウォッチだけでランニングに行くとき、iPadでベットに寝そべっているとき…、どんなシチュエーションでも、どんなアップルデバイスを使っていても、アップルデバイスからエアポッズを選択するだけで切り替えられることができます。