未来はここから始まる
教育分野で高まっているムーブメントの1つに「プログラミング教育」があります。従来は、高等教育において選択式で限定的に取り入れられる程度にとどまっていましたが、ITが社会全体に与える影響度が高まるにつれてその価値は重視されていきました。今では欧米を中心に、低学年の段階からでもプログラミング教育をカリキュラムに組み込む事例が増えています。近い将来には、子どもたちにとって「プログラミング」という分野が算数や図工と同様に、ごく自然に教科の1つとして受け入れられるようになっているでしょう。
さて、iOS 10と同時にアップストアにリリースされたアプリ「スウィフト・プレイグラウンズ(Swift Playgrounds)」は、まさにこのプログラミング教育に重点を置いて作れています。6月13日にサンフランシスコで開催された「WWDC(世界開発者会議)2016」において発表されたこのアプリは、発表当初からそのコンセプトに注目が集まっていました。このアプリの土台でもあり、アップルが2014年に発表したプログラミング言語「スウィフト(Swift)」を筆頭に、近年ではシンプルで覚えやすい優れたプログラミング言語がいくつもありますし、その環境を構築する「IDE」と呼ばれるソフトウェアツールも格段に改善されています。
プログラミング思考を学ぶ
とはいえ、プログラムは文法やツールの使い方を覚えれば誰でも優れたアプリケーションを作れるわけではありません。「その仕組みがどうやって動いているのか?」を理路整然と理解・説明できるスキル、いわゆる「プログラミング的思考」を持つことが何よりも重要だと言われています。これは英単語や、数学の公式だけを丸暗記しても実生活で役に立たないのと同じ、と考えるとわかりやすいかもしれませんね。
スウィフト・プレイグラウンズが優れているのはこの部分で、実際にプログラミングコードを記述しながら実行することで、すぐに狙ったとおりの動作をしているかどうかトライ&エラー方式で学べるインタラクティブな教材コンテンツとして提供できるのです。アルゴリズムについて学んだり、特定のジャンルに特化した機能を学んだりと、その教材のバリエーションはとても豊富。このアプリはまさにプログラミングを効率的に学ぶための最適なツールの1つだと言って間違いないでしょう。
もう1つ、スウィフト・プレイグラウンズが画期的なのが、このアプリが「iPadで動作すること」なのです。従来まではコード書き、実行するためのハードウェア環境は必ずコンピュータ、つまりMacに限られており、iOSデバイスでは開発アプリは(サードパーティも含め)提供しないというのがアップルのポリシーでした。今回はこれを改めて、タブレットデバイスであるiPadにプラットフォームが提供されることで、私たちはより安価に、そしてどんな場所にでも持ち運んでプログラミングを楽しみながら学ぶことができるようになったのです。
【Swift & Playgroundsのポイント1】
論理的思考
単に文法を覚えるのではなく「どうやって動かすのか」を理解できる教材が添付されています。
【Swift & Playgroundsのポイント2】
インタラクティブ
自分で書いたコードをすぐに実行して、結果が確認できるので試行錯誤しやすいのです。
【Swift & Playgroundsのポイント3】
豊富なバリエーション
誰でも教材を作って自由に配布できるオープンプラットフォームです。
【Swift & Playgroundsのポイント4】
フレキシブル
iPadで動くアプリなので時間や場所に制約がなく、自分の好きなスタイルで学べます。
アプリを使う準備をしよう!
まずは、スウィフト・プレイグラウンズを始める準備をしましょう。条件を満たしたiPadさえあれば、誰でも遊ぶことができます。さぁ、アプリをインストールをしてみましょう。
iPadでプログラミング
スウィフト・プレイグラウンズは、iOS 10以降で動作するiPad専用アプリとしてアップストアより無料で提供されています。まずは必ずiOSを最新バージョンにアップデートしておきましょう。
利用するiPadに関しては、12インチiPadプロなど、画面サイズは大きければ大きいほど見やすくはなりますが、iPadミニでも操作できるように工夫されているため、持ち運びを重視したいなど、スタイルに合わせて選んで大丈夫です。条件としては、下記に掲載された条件のiPadならば、問題なくプレイすることができます。
ただし、コンテンツによってはグラフィックス性能をフル活用する「メタル(Metal)」など、ハードウェアが持つ機能をふんだんに活用した教材も作ることができるため、なるべく新しい世代のiPadを使ったほうが快適に利用できるでしょう。
また、アプリが使用するストレージサイズも比較的大きく、コンテンツを保存する領域などを考えると2GB程度用意しておくことをおすすめします。また、コンテンツ内で作成したデータはアイクラウドドライブを使ってほかのiPadへ同期、バックアップが可能になっています。
Swift Playgroundsを使うために必要なもの
ソフトウェア条件● iOS 10.0以降(最新バージョンを推奨)
ストレージ空き容量●約2GB程度(アプリ約260MB+コンテンツ使用領域)/データはアイクラウド・ドライブに保存可能。
ハードウェア条件● iOS 10が動作するiPadシリーズ ・iPadミニ(2以降)/iPad(第4世代)/iPadエア(全世代)/iPadプロ(12.9/9.7インチ)
Swift Playgroundsをインストールしよう
(1)App Storeを開く
スウィフト・プレイグラウンズをiPadにインストールしてみましょう。まず、ホーム画面からアップストアアプリを開いて「Swift Playgrounds」のキーワードで検索します。
(2)Swift Playgroundsを入手
すると、アップルから配布されているスウィフト・プレイグラウンズのアプリが見つかります。これは無料のアプリなので「入手(もしくはダウンロード)」をタップすると自動的にダウンロードが開始されます。
(3)ホーム画面にアイコンが表示される
ダウンロードが開始されると、ホーム画面にアイコンが表示されます。最初は薄暗い色になっていますが、明るいアイコン表示になればダウンロードは完了です。タップしてアプリを起動してみましょう。
(4)Swift Playgroundsを開く
次に、「Featured(フィーチャード)」と呼ばれるページが表示されます。ここでは、公開されている学習コンテンツ「Playground(プレイグラウンド)」がブラウズできます。
(5)Playgroundをダウンロードする
プレイグラウンドは選択すると[GET]ボタンが表示されるので、タップすればダウンロード開始です。また完了したコンテンツはボタンが[OPEN]に変化しています。
(6)Playgroundを管理する
ダウンロードしたプレイグラウンドは「My Playgrounds」で一覧表示、起動、名前の変更、削除などを行うことができるようになっています。