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日本語が10倍使いやすくなるMacのとっておきテクニック●Macで極める日本語デザイン

日本語が10倍使いやすくなるMacのとっておきテクニック●Macで極める日本語デザイン

先進的な技術が生んだ表現力

もともとMacは米国で生まれ育ったコンピュータ。日本語の扱いでは不自由な点も多い…。そんな風に考えている人もいるのではないでしょうか。

結論からいえば、それは大きな間違いです。Macは日本語を快適に扱うために数多くの先進的な機能を採用し、進化してきました。

かつてOS X 10.1では、「APGS(アップル・パブリッシング・グリフ・セット)」という文字規格を採用しました。APGSでは、それまでのコンピュータで一般的に使われていた日本語の文字規格を大幅に拡張した「JIS X 0213」がベースになっており、10.1に標準採用されたヒラギノフォントは実に2万296種の字形を収録していました。つまり、それまではコンピュータで表現することができなかった旧字体などが、OS Xによって表示・入力できるようになったのです。

加えてOS Xでは、ヒラギノフォントをはじめ数多くの日本語フォントを標準で搭載しているというのも大きな魅力です。そもそもヒラギノフォントは、OS Xの登場に合わせてゴシック体と明朝体、それぞれ2種類のウエイトが収録されました。ユーザは作る文書に合わせてゴシック体か明朝体かを自由に選ぶことができ、しかも見出しと本文とで異なるウエイトの文字を利用することができます。OS X登場以前の日本語環境と比べると大きな進化であり、標準フォントだけでも日本語の表現力が大きく広がったのです。

OS Xはその後、ヒラギノ丸ゴシックや游明朝体など収録書体を徐々に追加していきました。さらにエルキャピタンではヒラギノ角ゴシックの収録ウエイトを10種類に拡張したほか、「游明朝体+36ポかな」「筑紫A丸ゴシック」「筑紫B丸ゴシック」「クレー」といったフォントも追加。現在のOS Xでは、標準フォントだけでも自由に文字を選ぶことができ、制作物に応じてさまざまな表現を行えるのです。

加えてOS Xでは、オープンタイプフォントをはじめ、古くから使われているMac用のトゥルータイプフォント、そしてウィンドウズ用のトゥルータイプフォントなど、数多くのフォント形式に対応しています。市販されているフォントはもちろんWEB上で公開されているフリーフォントも含め、形式を心配することなく自由に使うことができるのです。これもMacでの文字表現の幅を広げるポイントといえるでしょう。

Macと文字の深い関係

このようにMacは、以前から文字の表現力に力を注いできました。これはそもそも、故スティーブ・ジョブズが文字に対して特別な思いを抱えていたというのが大きく起因しています。

ジョブズはリード大学に通っていたときにカリグラフィの授業を受け、そこから文字に対して深い関心を持つようになりました。大学を中途した後もカリグラフィの授業にコッソリ顔を出していたというエピソードは、知っている人も多いでしょう。ジョブズのこうした経験が、初期のMacで非等幅フォントを搭載したことなどにつながっているのです。さらには、OS Xの画面上で文字にアンチエイリアスがかかりギザつくことなく文字を表示できるというのも、ジョブズの影響が大きかったのではないかと想像します。

OS Xでは、入力メニューにある[関連文字に変換]の機能を使って、旧字体などを簡単に入力することができます。

OS X標準のテキストエディットでは、縦書きの文書を作成することも可能です。縦書きにするには[フォーマット]メニューから[レイアウトを縦向きにする]を選びます。