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Bluetoothヘッドフォンの新トレンドはケーブルレスにあり!

著者: 山田昇

Bluetoothヘッドフォンの新トレンドはケーブルレスにあり!

ケーブルの煩わしさから解放

「次期iPhoneで3.5ミリヘッドフォンジャックが廃止される」という噂が巷を騒がせ始めたのは、昨年11月頃のことだ。代替の接続インターフェイスとしてはライトニングとブルートゥースがあるが、主流になるのは果たしてどちらだろうか。そんな話題も聞こえ始めた昨年12月、ヘッドフォンイベント「ポタフェス2015」でモダニティがケーブルレスのブルートゥース・イヤフォン「EARIN」を展示して多くの人々の注目を集めた。

それから時が過ぎること半年、今年7月16/17日に開催された「ポタフェス2016東京」では、ケーブルレスのブルートゥース・イヤフォンがいっそう勢いを増してきた。

たとえばオンキヨーは、昨年5月にドイツで発表したケーブルレスのブルートゥース・イヤフォン「W800BT」を展示。左右合わせて125グラムと軽量ながら、内蔵バッテリで約3時間の連続使用ができる製品だ。

また、香港のサンワ・グローバル・リミテッドという企業も、やはりケーブルレスのブルートゥース・イヤフォン「アリア・ワン(Aria One)」を展示した。この製品は、「IPX5」という保護等級の防水性能を持つという。

さらに、シンガポールのAAW(アドバンスド・アコースティックワークス)というメーカーは、カスタムインイヤーモニタ(周辺ノイズを高レベルで遮断する音響チェック用イヤフォン)をケーブルレス化するためのブルートゥース・オーディオレシーバ「AAWジェミナス(AAW Geminus)」を参考展示していた。カスタムインイヤーモニタ用のワイヤレスレシーバは、現在ソニーの「MUC-M2BT1」ぐらいしかない。しかし、このAAWジェミナスを皮切りに、今後徐々に製品が増える可能性もある。

昨年モダニティが発表した「EARIN」。本体内部にブルートゥースのチップ・アンテナを実装した基盤と充電式のリチウムイオンバッテリ(容量60mAh)が収められている。現在、同社オンラインストアなどで販売中だ(税込み価格3万2184円)。

オンキヨーの「W800BT」は、本体2個合わせて125グラムで、内蔵バッテリで約3時間連続使用することが可能だ。ケースが、バッテリ機能も兼ねた充電台になっていて、本体を5回充電できる。価格は未定で、日本では9月頃を目処に発売する予定だ。

サンワグローバル・リミテッドは、香港fFLAT5社製のケーブルレス・ブルートゥース・イヤフォン「アリア・ワン」を展示。古河電気工業の超微細発泡光反射板「MCPET」をベースに開発したスピーカを採用している。

AAWの「AAWジェミナス」。ポタフェス2016で展示されていたのは3Dプリンタで製作した試作段階の製品で、受信ユニットの位置によって片側が聞こえにくくなることが多かった。今後の改良に期待したい。

噂の真偽やいかに

ケーブルレスのブルートゥースイヤフォンは、片側がブルートゥース信号を受信し、同時にもう一方のヘッドユニットに信号を送る必要があり、遅延が発生することが課題となっていた。しかし現在では、左右の遅延発生時間を計算することでこの問題を回避した。前述のアリア・ワンなどはすでに購入可能な製品であり、ケーブルレスのブルートゥース・イヤフォンはすでに実用的なものになっている。

一方で、ケーブルレスのブルートゥース・イヤフォンには、簡単には解決できない課題も存在する。連続再生時間の短さだ。ケーブルレスのブルートゥース・イヤフォンは構造上バッテリサイズを抑える必要があり、現在の製品では連続再生時間が約3時間前後とかなり短い。ケーブルレスの利便性と連続再生時間の短さは、しばらくトレードオフの関係であり続けるだろう。

次期iPhoneでヘッドフォンジャックが廃止されるかどうかの真偽はまだはっきりと言えないが、もし現実となれば、ケーブルレスのブルートゥース・イヤフォンは今後ますます注目される存在になっていくだろう。

【News Eye】

ポタフェス2016での出展はなかったが、独ブラギ社の「ザ・ダッシュ(The Dash)」や、バーブライフ(モトローラ)ブランドの「バーブワンズ+(VerveOnes+)」といった製品も発表されており、ケーブルレスのブルートゥース・イヤフォンは確実に数が増えてきている。