もっとも快適なトラックパッド
MacBookのトラックパッドは、クリックによって前面が沈み込む既存のトラックパッドと違い、物理的には一切可動しない。その代わりに感圧センサが指の圧力を計測し、クリックしたときはリニアアクチュエータが振動してユーザにフィードバックする。この振動の加減が絶妙で、前提知識がなければ下に沈み込んだと信じて疑わないほどだ。
この感圧タッチトラックパッドが、MacBookの薄さに貢献しているのは間違いない。しかしこの技術は単にそれだけでなく、クリックの強さを段階的に判断できるという新しい可能性を見出した。もちろん、現状のOS Xはこの技術をまだそれほど活かせているとはいい難く、「強めのクリック」によるジェスチャや一部のソフトでの筆圧検知など使い道は限られている。しかしこの技術の本質は、これまでになかったアナログ的な入力をMacで実現したという点にある。かつてゲーム専用機がこぞってアナログの操作体系を導入し今では当たり前のものになったように、いずれはこれがスタンダードになり、感圧タッチを前提としたインターフェイスや活用法が次々と採用されていくと期待できる。
さて、MacBookのトラックパッドを語るときは、とかく感圧センサの話題が中心となるが、もう一つ見逃してはならないポイントがある。トラックパッドの物理的な大きさだ。
実はMacBookのトラックパッドは、今までのMacBookシリーズの中でもっとも面積が広い。サイズはおおよそ縦7センチ横11センチで、MacBookプロの縦7.5センチ横10・5センチを超えている。これがこれまで以上の使いやすさを生んでいるのだ。
トラックパッドの物理的な大きさは、細かな操作のしやすさに直結する。これは、小さい紙に絵を書くより、大きな紙に書いたほうが書きやすいのと同じことだ。マジックトラックパッドを使ったことがあるノートブックユーザなら、すでにそのことを実感しているだろう。
実際、MacBookはファイル操作をはじめ、写真をレタッチしたり、PDF上で手書きのサインを入れたりといった操作も、これまでよりぐっとやりやすくなっている。さらに、3本指でのスワイプや4本指のピンチといったマルチタッチジェスチャも断然快適になった。
これまででもっとも大きなMacBookのトラックパッドは、これまででもっとも快適に使えるトラックパッドといって間違いないだろう。