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Macが動くしくみってなんだろう?●Macのしくみ大図鑑

著者: 栗原亮

Macが動くしくみってなんだろう?●Macのしくみ大図鑑

コンピュータの構成要素

Macを含め、現代のデジタルコンピュータは「電子計算機」とも訳されます。コンピュータは瞬時に複雑で膨大な計算を行い、文字や画像、映像や音楽なども扱える「魔法の箱」のように思えますが、ハードウェアとしての基本原理は、実は「そろばん」と同じなんです。つまり、数値を数えたり足し算を行うことしかできないということ。

しかし、そろばんとの大きな違いは、計算の手順(アルゴリズム)をコンピュータ自身に覚えさせて計算の作業を自動化できる点です。人間は計算に必要なデータを用意して命令を与えるだけで、あとは計算機が手順に沿って計算を超高速に繰り返し、その計算結果を出力機器を通じて返してくれます。この手順書を一般的に「プログラム」、入力するデータと合わせて「ソフトウェア」と呼びます。このソフトウェアを複数搭載することで、さまざまな処理を実現しています。

そのためにさまざまな装置がMacに内蔵されていますが、「はたらき」という視点から見ると「入力」「記憶」「演算」「制御」「出力」の5つの装置に分類されます。ただし、これは概念的に把握しやすくするための考え方になります。

5装置それぞれのはたらき

さて、この5装置のうち演算と制御は主にCPU(中央演算処理装置)が担っていて、動作のタイミングは一定間隔のクロック信号によって制御されます。このクロック周波数の数値が高いほど高速に動作します。たとえば、2GHzのCPUは1秒間に20億回の動作が行われることを意味します。現在のCPUは、複数のコアが1つのマイクロチップ内に実装される傾向にあり(マルチコア)、画像処理を担当するGPUもまた統合されることがあります。

前述のプログラムやデータを一時的に格納するのが主記憶装置(メインメモリ)で、このメモリで記憶しきれない分をハードディスクやSSD(フラッシュストレージ)など、より大容量な補助記憶装置で保管しています。かつてはこの補助記憶装置の速度はメインメモリに比べて低速だったのですが、最近の高速なフラッシュメモリを搭載するSSDではその差が縮まり、メモリ上の処理を補助記憶装置上で行う「仮想メモリ」を展開してもパフォーマンスの低下が起こりにくくなっています。そのため、「メモリ不足になると不安定」という、かつてのコンピュータの常識は過去のものになりつつあるのです。

そして、これらのコンピュータ内部の処理を表示するための出力機器としてのディスプレイやプリンタ、コンピュータに命令やデータを与えるための入力機器としてキーボードやトラックパッドなどが接続されて“Mac”というハードウェアを構成しているのです。

コンピュータを構成する5大装置とデータの流れ

コンピュータを「はたらき」という視点から見ると、5つの装置に大別できます。入力装置、記憶装置(主記憶装置、補助記憶装置)、演算装置、制御装置、出力装置の5つは、コンピュータの基本的な構成になります。

概念的なコンピュータの構成は下記のとおり。5つの装置に分類することができます。装置ごとにそれぞれの役割があり、それぞれの装置がMacのデータをやりとりしているのです。

制御装置

主記憶装置(メインメモリ)に格納されたプログラムの指示に従って、入力装置、演算装置、補助記憶装置、出力装置のそれぞれをコントロールする役割を担います。具体的な装置としては、CPUの一部がこれらの制御を担当しています。

演算装置

主記憶装置(メインメモリ)から呼び出されたデータを高速に計算する装置で、演算の結果を主記憶装置に戻します。CPUの主要な機能であり、「0」と「1」の2進数の処理を足し算(加法)のみで、あらゆる演算を超高速に行っています。

出力装置

システムで処理された計算結果や操作の応答が出力される外部装置全般を指します。具体的には、OSやソフトのインターフェイスを表示するディスプレイや、紙に印刷するプリンタなどが含まれます。また、外部のネットワークと接続するWi-Fiやブルートゥースも含まれます。

主記憶装置

CPU内の演算装置や制御装置で利用するプログラムやデータを一時的に格納する領域で、メインメモリ(RAM)とも呼ばれます。CPUとの間で高速な読み出しと書き込みが行われ、一般的にメモリ容量が大きいほど同時に実行できるソフトの数が多くなり、動作も安定します。

補助記憶装置

主記憶装置を補う記憶装置で、ハードディスクやフラッシュメモリを利用したSSDが内蔵されているのが一般的です。また、このSSDとハードディスクを組み合わせて双方の利点を引き出す「フュージョンドライブ」も補助記憶装置の一形態といえます。そのほか、CD/DVDなどの外付けストレージも補助記憶装置の一形態です。

入力装置

外部から人間が処理すべきデータや命令を入力するための装置として、キーボード、トラックパッド、マウスなどがあります。また、環境光センサやマイク、フェイスタイムHDカメラなども入力装置で、外部ストレージは入出力を兼ね備えた装置とみなすこともできます。