3月31日より発売!
iPhone SEのディスプレイはiPhone 5sと同じく1136×640ピクセルの4インチレティナディスプレイ。精細度は326ppiとなっており、iPhone 6sやiPhone 5sと同じだ。
期待に応えるiPhone
iPhoneの画面サイズは、初代の3.5インチから始まり、最新の6sプラスでは5.5インチに至るまで大型化してきた。しかし、発売から2年目となる5sが2015年に3000万台も売れたという事実が裏づけるとおり、4インチiPhoneを求める声は根強く、それに応える形でアップルが発表したのがiPhone SEだ。
見た目はほぼ5sといっていい。カラーリングにローズゴールドが追加され選択肢は増えたが、ストレージは16GBと64GBの2種類から選ぶ形になっている。
プロセッサは6sと同様に、64ビットA9チップを搭載し、メモリは2GBだと判明している。M9モーションコプロセッサを組み込み、いつでも「Hey Siri」が利用できる。そのうえ、バッテリライフはむしろ6sよりも良くなった。さらにアイサイトカメラの解像度は6sと同様の1200万画素を備え、フォーカスピクセルでピント合わせも高速化。ライブフォトの撮影も可能で、パノラマ撮影は最大6300万画素に拡張され、4Kビデオの撮影も実現した。
一方で、フェイスタイムカメラの画素数や、3Dタッチの非搭載、タッチIDが第一世代だったりと、5sから変わらない部分もあることは事実だ。しかし、それを余りあるほどの性能がある、理想的なiPhoneだといえる。
カラーバリエーションは4種類
iPhone 5sはゴールド、シルバー、スペースグレイの3色だったが、iPhone SEではこれにローズゴールドを加えた4色のラインアップとなっている。アルミニウムボディは、iPhone 6sと同様にビーズを吹きつけたサラサラした感触の仕上げ。エッジはダイヤモンドカットによる鏡面仕上げでなく、マットな質感になっている。
ストレージは16GBと64GB
内蔵ストレージは、16GBと64GBのフラッシュメモリを搭載。iPhone 5sでは32GBモデルもあったがこれは省かれた。メモリ(RAM)は非公開だが、iPhone 6sと同様に2GBだと判明している。
iPhone 5sのアクセサリが使える
iPhone SEのボディサイズは、iPhone 5sとまったく同一になっている。新しさがないという面もあるが、まだまだ大量に出回っているiPhone 5s用のスクリーン保護フィルム、ケースなどがそのまま使えるというメリットもある。
iPhone 5sとの違いは?
iPhone SEは、iPhone 6sの中身をiPhone 5sのボディに詰め込んだデバイスだといっていい。革新がないといわれるが、4インチボディにこれだけの機能を入れたことは驚き!
【Key Feature】プロセッサ
6s並みのパフォーマンスを5sのサイズで実現
4インチの需要があるとはいえ、iPhone 5sのハードウェアに焦点を当ててみると、やはり時代遅れの感が否めない。最新のアプリは現行機種に合わせて設計される傾向もあり、パフォーマンスにも影響を及ぼす。WEBサイトも、大画面スマートフォン向けにどんどんコンテンツが大容量化しているのだ。
そこでiPhone SEでは、6sシリーズ(6s/6sプラス)と同じA9チップを搭載することで、パフォーマンスをそれらと同等に引き上げた。つまり、iPhone SEは現時点ではもっともパフォーマンスの高いiPhoneであるといえる。
CPUパフォーマンスは5sと比べて2倍、GPUパフォーマンスは同じく3倍となるため、最新のリッチコンテンツなゲームアプリなどはなんなくプレイできるし、WEBサイトもサクサク表示できるはずだ。しかも、ディスプレイの画素数が少ないため、レスポンスはiPhone 6シリーズよりも速いかもしれない。
A9チップにはモーションコプロセッサとしてM9も組み込まれており、バッテリ消費を抑えながら歩数や移動距離などといったフィットネス情報の記録も可能なほか、手放しでSiriを呼び出せる「Hey Siri」にも対応している。
なお、iPhoneに搭載されるA9チップはRAMが一体となっている。iPhone SEでは6sシリーズ同様、2GBのRAMを搭載していることが判明している。つまり、より多くのアプリを起動しても快適に利用することができるということだ。
6sシリーズと同じA9チップを搭載
iPhone SEには、M9モーションコプロセッサを内蔵したA9チップを搭載。これによりCPUパフォーマンスを2倍、GPUパフォーマンスを3倍に引き上げられた。これはiPhone 6sシリーズと同じ性能である。
Hey Siriに対応
iPhone 5sでは、電源に接続されていないと「Hey Siri」機能が利用できなかった。それがM9モーションコプロセッサのおかげで、電源接続していなくてもこの機能を使用することができる。
【Key Feature】カメラ
1200万画素の写真撮影と4Kビデオの録画をサポート
iPhone SEのアイサイトカメラ(背面カメラ)は、プロセッサ同様、6sシリーズと同等の機能を搭載する。1200万画素で、写真を撮影する前後の音や動きを記録するライブフォトの撮影も可能だ。ピント合わせも6シリーズで初めて採用されたフォーカスピクセルによって高速化しており、よりシャープな写真が撮影できる。さらに、パノラマ撮影では6300万画素という高精細な写真が撮影できる。これはハイエンドの一眼レフカメラよりも多い画素数である。
ビデオ撮影では、4Kビデオの録画、再生、編集をサポート。まだ4K動画の再生環境は整っているとはいえないが、いずれ当たり前となったとき、このiPhoneで撮影しておくことで思い出が高精細に甦る。今はオーバースペックでも、デジタル動画はフィルムのようにリマスターして解像度を増やすことは困難であり、決して無駄にはならない。
なお、1080pのフルHDビデオでは60fpsと動きがより滑らかになり、スローモーションは240fps(720p)までになった。よりスムースなスローモーションビデオが撮影できるわけだ。ただし、これらのビデオデータは容量が大きいため、16GBモデルではすぐにいっぱいになってしまうだろう。存分に楽しみたいのなら、64GBモデルをおすすめしたい。
また、フェイスタイムHDカメラ(前面カメラ)は、画像数は5sと変わらず120万画素であるものの、ディスプレイのバックライトをフラッシュとして使うレティナフラッシュをサポート。暗いところでのセルフィーがより美しくなる。
Live Photosに対応
ライブフォトの撮影に対応。3Dタッチを搭載していないため、再生は画面長押しで代用することになっている。
レティナフラッシュでセルフィーをきれいに
レティナディスプレイを一時的に3倍の明るさで光らせることでフラッシュ代わりにするレティナフラッシュに対応。周囲の色温度に合わせて色を調整するトゥルートーンフラッシュ機能も備えている。
【Key Feature】ワイヤレス
ボディデザインの制約か? 6シリーズ並みの通信速度
A9チップや1200万画素のアイサイトカメラは、完全に6sシリーズの機能と性能を備えたiPhone SEだが、ワイヤレス機能は1世代前の6シリーズ程度に留まっている。もちろん、5sと比べれば、LTEでは2倍(150Mbps)、Wi-Fiは3倍(433Mbps)になっているので、十分高速化は果たされている。しかし、言い替えると6sと比べていずれも半分でしかない点には気をつけてほしい。
おそらく、筐体デザインが5sを踏襲しているため、アンテナ設計の都合で半分のスピードになっていると考えられる。わかりやすいのは、Wi-FiがIEEE802・11acに対応したのに最大433Mbpsであることから、2本のアンテナを利用するMIMO(multiple-input and multiple-output)に非対応であることがわかる。実際、仕様にもMIMOの記載がない。MIMOでは、複数のアンテナが必要なのだが、iPhone 5sのデザインではそれが不可能だったのだろう。
そして、次世代通信規格LTEアドバンスド(LTE-Advanced)に対応していないため、高速通信を可能にする「キャリアアグリゲーション」が使えなくなっている。そのため、キャリアによって最大速度が変わってくるだろう。
もっとも、現行のスマートフォンとしてLTEが150Mbps、Wi-Fiが433Mbpsというのは必要十分なスペックなので安心してほしい。おそらく、6sシリーズのユーザがiPhone SEに乗り換えたとしても遅いとは思わないはずだ。
19バンドに増えたLTE
iPhoneは地域によって、販売されるモデルが異なる。iPhone 5sでは13バンドまでだったLTEが、19バンドまで拡張されている。国内のみで使うときの恩恵はあまりないが、海外で利用したいユーザにはありがたいところだろう。
スピードアップしたワイヤレス
iPhone SEは、最新のWi-Fi規格であるIEEE802.11acに対応。1ストリームまでのサポートなので最大433Mbpsに留まっているが、従来の11nと比べると約3倍になった。LTEも最大速度が下り75Mbpsから150Mbpsへ2倍となっている。
【Key Feature】バッテリ
バッテリのスタミナは5sよりも、6sよりも向上
筐体が小さいiPhone SEのバッテリ容量は一見小さく思える。しかし、5sから性能をアップしながら、バッテリライフは6sよりも延びている。これは、バッテリ自体の密度も向上しているかもしれないが、ディスプレイが小さくて画素数も少ないことからバックライトやGPUの負荷が軽減しているためだと考えられる。5sを発売当初から使っているユーザは特にバッテリ劣化で容量が半減している頃と思われるので、iPhone SEのバッテリライフはかなり魅力的ではないだろうか。
バッテリライフ一覧
iPhone SEとiPhone 5s、iPhone 6sシリーズのバッテリライフを比較したのが上記の表だ。iPhone 5sとの比較では、あらゆるシーンでバッテリライフが延びているかわかる。
【Key Feature】NFC
中国市場をコミットするアップルペイにも対応
iPhone SEにはNFCチップが搭載されており、モバイル決済システム「アップルペイ」に対応する。今のところ日本市場では関係のない話ではあるが、アップルペイは中国でもサービスインしており、本年中の日本上陸の声も上がってきている。中国に話を戻すと、同国では古いiPhoneユーザが多い。そこでiPhone SEにNFCを搭載し、機種転換を促したいのだと予想できる。iPhone SEが登場した理由の半分くらいが中国市場へのコミットなのかもしれない。
アップルペイに対応
中国でサービス開始後、72時間で300万件のアクティベーションがあったというアップルペイ。アップルは、iPhone SEの投入で対応デバイスの増加を狙っているのだろう。
iPhoneシリーズ ラインアップ
iPhone 5sは販売終了
iPhoneシリーズのラインアップの主なスペックをまとめた。簡単にいえばiPhone SEは、5sのボディに6のワイヤレスと6sのプロセッサ・カメラを詰め込んだような存在だ。ストレージは16GBと64GBの2つのみで32GBモデルは省略されている。そして、約3年半もの間ラインアップの一員だった5sは、その役目を終え、販売が終了した。
iPhone SEのSIMフリーモデルの価格は、16GBで5万2800円、64GBで6万4800円(すべて税別)と、値ごろ感がある。また、6sシリーズと同様に3大携帯キャリア、ドコモ、au(KDDI)、ソフトバンクでの取り扱いも決まっており、本稿執筆時点では各社未発表ではあったが、本体価格などの詳細については各社異なるものとなるはずだ。ちなみにワイモバイルで3月から取り扱っている5sについては継続して販売していくそう。
さらに、格安SIMを販売するMVNO業者にも追い風となる。SIMフリーのiPhoneは一括購入となるため、16GBの6sプラスはやはり10万円を超えるなどかなりハードルが高いのだが、2年縛りなしで5万円台なら検討するユーザは増えるはずだ。iPhone SEは、新鮮味はないものの停滞気味なスマートフォン市場に刺激を与えるデバイスといえるだろう。
※上記表はiPhoneの機能のすべてを掲載しているわけではありません。詳しくはアップルWEBサイトをご覧ください。【URL】 http://www.apple.com/jp/iphone/compare/