【もっと知りたい(1)】CPUのスペックの見方が知りたい
CPUにはさまざまな種類があり、違いや特徴が分かり難いものです。主なMacに搭載されるCPUの世代やコア数、内蔵GPUの違いに注目し、CPUスペックの意味を理解しましょう。
Macに搭載されたインテルコアiシリーズはブロードウェル(Broadwell)世代のCPUがほとんどで、発熱量すなわち消費電力の少ないモバイル版CPUを採用したモデルが多いです。また、MacBookにはより小型で消費電力の少ないコアMシリーズが採用されています。
コアiシリーズはi3、i5、i7と数字が大きくなるほど性能が高く、多くのMacではi5、i7のデュアル/クアッドコアが採用されています。MacBookで採用されるコアMシリーズもm3、m5、m7と数字の大きさが性能を示し、MacBookではm5のシングル/デュアルコアが採用されています。基本的にコアが多ければ並列処理で全体の性能が上がり、発熱量を抑えるためクロック周波数が下げられるので、周波数だけを見ると4コアCPUのほうが低いこともあります。
また、内蔵GPUは数字が大きいほど高性能で、インテルHDグラフィックス(Intel HD Graphics)よりもインテル・アイリス・グラフィックス(Intel Iris Graphics)が高性能です。
主なMacに搭載されるCPUスペック
デスクトップ版とモバイル版
CPUにはデスクトップ版とモバイル版があります。デスクトップ版は処理能力が高い反面、発熱量も大きくなります。モバイル版は小型で省電力(=低発熱)という特徴があります。
【もっと知りたい(2)】
クロック周波数のターボブーストっていったい何?
CPUのスペック表にあるクロック周波数には「ターボブースト」という記載があります。通常のクロック周波数よりも高い数字が書いてあるのはいったいなぜでしょうか。
複数のコアを搭載したCPUでは、通常時のクロック周波数は控えめに設定されています。これはすべてのコアが常に高速で動作すると発熱量が増えるためです。マルチコアCPU搭載Macのクロック周波数が低く見えてしまうのはこのためです。
一方で、マルチコアCPUの性能をフルに活かすには、ソフト開発者が全部のコアを効率よく動かせるようにプログラムする必要があります。ところが、実際には完全にCPU性能を使いきってくれるソフトは少ないのが現実です。なお、マルチコア非対応のソフトでは1コアか2コアしか使わないことがあり、その際には先の低いクロック周波数で動作します。
こうした状況で威力を発揮するのが「ターボブースト」です。たとえば、クアッドコアのCPUで1コアしか使っていなければ、全体の発熱量には余裕があるので、稼働中の1コアのクロック周波数を一時的に引き上げ、処理速度を向上できるのです。このようにターボブースト時に引き上げられる最大のクロック周波数が、スペック表に記載されています。
通常のクロック周波数とターボブースト
マルチコアCPUでは、コア数が増えるほど通常のクロック数は低めに設定されます。全コアを効率よく使えれば問題ありませんが、1コアしか使えないソフトでは動作が遅くなります。ターボブーストは、こうした場合に一時的に動作速度を上げる技術です。
スペック表のここを確認!
アップルのWEBサイトにある「ターボブースト使用時」という記載はターボブースト時のクロック周波数です。平常時のクロック周波数を下げるのは省電力性能の向上も狙いの1つです。
ターボブーストの仕組み
CPUの発熱量は稼働中のコアの動作クロックで決まります。たとえば4コアCPUで2コア動作時の発熱量が全コアがフル稼働するよりも低ければ、ブーストされます。冷却が万全であれば、全コアがブーストされることもあります。
【もっと知りたい(3)】メモリ容量が足りているのか知りたい!
メインメモリの使用状況は「アクティビティモニタ」で確認できます。またOS Xに標準で搭載されている「圧縮メモリ」機能も、アクティビティモニタからその状況がリアルタイムで見られます。
メモリの動作状況は[アプリケーション]→[ユーティリティ]フォルダにある「アクティビティモニタ」の[メモリ]でリアルタイムに確認できます。使用状況はプログラムが動作している単位であるプロセスごとに状況がわかります。
画面下部の[物理メモリ]がMacに搭載されているメモリの容量で、使用済メモリがOS Xとソフトが使っているメモリ容量です。この差が「空きメモリ容量」となり、空きが少なくなると処理速度が低下して動作が遅くなります。
この空き容量を増やすため、OS Xでは利用中のメモリを圧縮する「圧縮メモリ」機能が標準で搭載されています。
圧縮率は[メモリプレッシャー]のグラフで確認でき、グラフが緑のときは圧縮率が低く、空き容量を増やすため圧縮率が高くるとオレンジや赤に変化します。
十分な物理メモリがあればより安心ですが、OS X標準でメモリ不足を回避する機能があるので、メインメモリが不足する事態は減りました。また、同様の理由でメモリ解放ツールは不要です。
メモリの空き容量を確認
アクティビティモニタの[メモリ]でメインメモリの空き容量などを確認できます。起動中のソフト(プロセス)ごとに使っている容量がリアルタイムにわかります。
圧縮メモリの動作を確認
[メモリプレッシャー]はメモリの圧縮状態を確認するグラフで、リアルタイムに推移が確認できます。通常の緑から圧縮率が上がるにつれ、オレンジ→赤へと変化します。
メモリ解放ツールは不要
サードパーティ製のメモリ解放ツールは、非アクティブなデータを強制的に削除して空き容量を増やします。OS Xではバックグラウンドの非アクティブなプロセスのメモリから圧縮して空き容量を確保しています。
【これやっていいの?】ターボブーストを止めて動作時間を延ばせる?
ターボブーストは、CPUの発熱量に余裕があるときに自動的にクロック周波数を上げる機能と解説しました。それならば、発熱量に余裕があったとしてもターボブーストを使わなければバッテリの動作時間が延びるのではないでしょうか。
そこで、MBPRにターボブーストのオン/オフが切り替えられる「Turbo Boost Switcher」でターボブーストをオフにして検証してみました。
操作は簡単で、メニューバーアイコンから選ぶだけでターボブーストをオフにできます。この状態では、CPUの発熱量に余裕があってもクロック周波数は上がらず、結果的に発熱やバッテリ消費が抑えられる傾向が体感的に得られました。
アドビ・フォトショップCCなどのソフトを多数起動し、複数の仮想マシンを起ち上げたところ、オンの状態でCPU温度は84℃以上に達しました。一方、オフでは画面のカクつきが見られたものの、最高でも68℃程度に落ち着きました。
Disable Turbo Boost for OS X
【作者】rugarciap
【価格】無料
【URL】http://www.rugarciap.com/
(1)インストールは自己責任で
配布サイトからソフトをダウンロードします。最新バージョンは執筆時点で1.2.0です。
(2)ターボブーストをオフに
メニューバーアイコンから[Disable Turbo Boost]を選ぶとオフ/オンが切り替えられます。選択後に管理者パスワードを求められます。
(3)CPU温度は低く抑えられる
仮想マシンを複数起動するなど、酷使した状態で測定したところ、CPU温度は低く抑えられました。バッテリ消費も抑えられていると考えられます。
[ 検証結果 ]
ターボブーストをオフにすれば発熱量を抑えられる!
ターボブーストを使わないことで発熱量を抑え、バッテリ消費も抑えられていると考えられます。通常はファンが回っている作業も、オフのときはまったくファンが回らず、本体も熱くなりませんでした。
【もっと教えて】
CPUは、これらの情報以外にキャッシュ容量などでスペックが異なります。また、CPUのサイズもデザインを重視するMacにとっては重要です。こうした情報は、インテルのWEBサイトにまとめられているので、「なぜこのCPUが採用されたのか」などを想像してみるのも楽しいです。【URL】http://www.intel.co.jp/
【もっと教えて】
ターボブーストをオフにした際のバッテリ駆動時間ですが、特性上「普段利用しているソフトがマルチコアに対応していない」「プレゼンテーションなどで複数のソフトを起ち上げていない」「CPU負荷の小さいソフトを多く使う」などの場合、より大きな効果が得られると考えられます。