たかくらかずき
ビジュアルクリエイター。1987年生まれ。ドット絵、イラスト作品をはじめ、グラフィックデザイン、ゲーム制作、舞台美術など、デジタルな表現手法をベースにジャンルを横断し活動している。近年の仕事に、範宙遊泳「われらの血がしょうたい」アートディレクション、PUFFYシングルCD「パフィピポ山」ジャケットグラフィックスなど。
僕はフォトショップでドット絵を描くことが多いのですが、フォトショップって「フォト」っていうくらいだから、もともとドット絵を描くためには作られていないはずなんです。でも、これでドット絵が描けるって発見したとき、すごく面白かったですね。アドビのソフトは、自分で使い道をいくらでも開発できるのでどんなに使っても飽きないし、人によって使い方が全然違う。同じソフトでもほかの人の使っているところを見ると、こんな使い方あったの!?っていうテクニックが無限に出てきます。筆や絵の具、文房具や工具みたいに工夫して使うのが楽しいです。
高瀬裕介
映像作家。1980年生まれ。京都精華大学映像学科卒業。アニメーション制作会社STUDIO4℃に入社。CGI監督、演出を経て、THE DIRECTORS GUILDに所属。CM、ショートフィルム、MVを中心に活動。
参天製薬 サンテPC
学生のときに出会い早10年。今も変わらず大好きです!!
今野千尋(PARTY)
デザイナー。2011年PARTY入社。グラフィックデザインをベースにデジタル、プロダクト、空間、映像の仕事に横断的に携わる。最近の仕事に、成田国際空港ターミナル3のサインデザインなど。
LIFE COLOR WINDOW(CL:資生堂)
アドビ製品は、今や毎日触れるツールになりました。私はアナログで絵を描いてきた時間が長いのですが、アドビ製品の登場で、光のパレットが増えたような感じです。イメージに対して思いもよらない効果を提供してくれるので、あれこれ試してみたくなって、ついついレイヤーもバージョンも増えてしまいます。モノをつくる人間にとって、アドビはいろいろ試してみたくなる気持ちを引き出してくれる、素晴らしいパートナーだと思います。
前田定則(Bascule)
アートディレクター。1979年香川県生まれ。日本大学商学部卒業後、独学でデザインを学び、グラフィックのデザイン会社を経て、2010年よりBasculeに所属。カンヌ広告祭やD&ADなど、国内外での受賞歴多数。
TOKYO CITY SYMPHONY
フォトショップさん、イラストレータさんとのお付き合いが始まってから、早15年。いつも私の思いを形にしてくれる、いえ、思っていた以上の形にしてくれるかけがえのないパートナーです! これからもさらなる進化を遂げられることと思いますが、私も負けないよう、精進していかねばと思っております。今後とも、良いお付き合いを何卒よろしくお願いいたします!
中村至男
グラフィックデザイナー。日本大学藝術学部卒、ソニー・ミュージックエンタテインメントを経て独立。代表作に、PlayStation「I.Q」、みんなのうた「テトペッテンソン」映像、「勝手に広告」、絵本『どっとこどうぶつえん』など。NY ADC賞、文化庁メディア芸術祭優秀賞、ボローニャ・ラガッツィ賞など受賞。
21_21 DESIGN SIGHT「単位展 あれくらい それくらい どれくらい?」
1990年、僕は社会人1年目で、その頃世の中はまだ手作業の版下でデザインを作っていた。実は僕は、まっすぐな線も引けないほどの不器用で、そのひどさは、自分はデザイナーに向いてないのでは?と、早くも人生の大きな悩みとなっていた。アイデアを考えるのは好きだが、手先が追いつかず、くすぶった日々が続いた。その頃、新品のMacintosh Quadraが会社の隅で、あまり使われず暇そうに放置されていた。ふと、自分のハガキのアイデアを、これで作ってみようと思った。イラストレータのバージョンはいくつだったろう? その理想的な線は、手先をすっ飛ばして、頭の中をダイレクトに定着させてくれた。出来上がった図版を見て、僕はデザイナーに向いている! と思った(笑)。
CREATOR'S TALK 01
ブックデザイナー
新上ヒロシ(ナルティス)
1968年生まれ。桑沢デザイン研究所に進学後、エディトリアルデザイン事務所を経て、1989年独立。1997年よりナルティスとして「本」にまつわるデザインを中心に活動中。講談社「モーニング・ツー」のアートディレクション、幻冬舎コミックス「月刊バーズ」の表紙デザイン、その他コミック単行本など、マンガ周辺の実績多数。【URL】http://www.nartis.co.jp/
イラストレータの自由度の高さは日本語に合っている。
アドビ、特にイラストレータとの付き合いは長くて、もう20年以上になります。デザイナーになって最初の事務所で僕の師匠がMacintosh Plusを買ってきて、「これからデザインはこれになるよ」と言ったのが出会いでした。そのときは何言ってるんだろうって思ったのですが(笑)、そのとおりになりましたね。
といっても、今のようにすべてのことができたわけではありません。アドビソフトはあくまでも一部の作業を担う存在でした。ターニングポイントになったのは、カラーでプレビューができるようになったとき。そこから完全にデジタルに切り替わり、DTPの時代がやってきました。
おもしろいのは、日本におけるイラストレータの使われ方の幅がかなり広いことです。そもそもは名前のとおり、イラストを描くためのソフトだったはずですが、日本では昔からエディトリアルデザインに使われているし、僕も何にでも使う。それこそ企画書を書いたり、年賀状を作るのだってイラストレータを使うのです。たぶん、イラストレータの自由度の高さが日本語に合っているのでしょう。座標にとらわれず、横組み縦組みを組み合わせて文字を配置していけるのは、書道にも似た感覚です。
イラストレータはずいぶん進化して、今では自動保存機能もあります。昔は保存で待たされるのが億劫で、保存ボタンを押さずに作業してソフトが落ちてしまうことがよくありました。起動時の絵が「ヴィーナスの誕生」だったことから、仲間内では「ヴィーナスのお告げ」と呼んでいましたよ。ソフトが落ちると「お告げがきちゃった!」ってね(笑)。だけど、不思議とお告げ後に、まったく新しく作り直したデザインのほうがいいものになることが多かったんですよね。今は安定性も高くめったに落ちませんが、あえて「お告げ」機能を入れてみてもおもしろいかもしれませんね(笑)。 (聞き手/山田井ユウキ)
新上さん率いるデザイン会社、ナルティスが装丁を担当した書籍や雑誌。マンガ家によるイラストが強い分、それに合わせて最適な文字のフォントやレイアウトをデザインするのが新上さんの腕の見せドコロ。左上から時計回りに「月刊モーニング・ツー」©講談社、「月刊ヒーローズ」©ヒーローズ、「月刊バーズ」©幻冬舎コミックス、「しまなみ誰そ彼」1巻©鎌谷悠希/小学館、「ちひろさん」4巻©安田弘之/秋田書店、「ランド」2巻©山下和美/講談社、「聖☆おにいさん」12巻©中村 光/講談社
いすたえこ(NNNNY)
グラフィックデザイナー/アートディレクター。北海道生まれ。デザインユニット「NNNNY」メンバー。紙、WEB、プロダクツ問わず活動中。物理世界の店舗=「PHYSICAL TEMPO」運営。いとうせいこうの「親愛なる」企画でTDC2015 RGB賞受賞。
蛭子能収日めくりカレンダー「生きるのが楽になる まいにち蛭子さん」
自分の脳内のクリエイティブを表現するための手段として、日々家族よりも長い時間一緒に過ごしているアドビ製品。ここ最近は多くのスタッフとともに、WEBや映像など同時進行で作業を進めることが多いので、さまざまなデータを共有しながら最終形態までもっていくという作業方法は、とても刺激的で自分のできることを超えた喜びがあります。
杉山峻輔
グラフィックデザイナー。大学卒業後、2009年よりフリーランス。でんぱ組.incのアートディレクション、tofubeatsのMVなどを手がける傍ら、VIDEOBOY名義でVJとしても活躍中。
でんぱ組.inc/WORLD WIDE DEMPA アルバムジャケット
イラストレータやフォトショップ、インデザインなどのアドビのソフトを使って何かを制作する以上、その手癖のようなものから逃れることはできないのですが、それを逆手に取ってみたり、触っているうちにバグのようなものを見つけたりして楽しんでいます。
岩屋民穂(GraphersRock)
グラフィックデザイナー。サイバーパンク、テクノカルチャーをベースにグラフィックスワークを展開。メジャー、インディーズを問わず多岐に渡るCDジャケット、アパレルデザイン、広告媒体等、さまざまなメディアで作品を制作している。
tofubeats/POSITIVE アルバムCDジャケット
アドビとの出会いがなければ、間違いなくデザイナーにはなっていなかった。初めてフォトショップ、イラストレータを触ったときの衝撃は、その後の人生を決定づけてしまうほどに大きく、それらはまるで魔法のように輝いて見えた。以後、僕にとってアドビは、自分の意識を投影しカタチに変える“何か”として、単なる道具やプログラムに収まらない「クリエイティビティを支えてくれる存在」であり続けています。
AC部
多摩美術大学出身の3人組による、ハイテンションで濃厚な映像やイラストレーションなどを創作する部活。代表作は、 MV「group_inou / THERAPY」、WEB CM「鳩に困ったら雨宮」、MV「ORANGE RANGE / SUSHI食べたい」など。
「世界の偉人VSエイリアン」
フォトショップを使い始めた頃は、そのあまりの便利さと、自分の画力以上の絵に仕上げてくれることに興奮しました。これに慣れすぎると絵が下手になってしまうのでは…と不安にもなりながら、結局どっぷり使い続けて17年。常にフォトショップに負けないぞ!という気持ちで制作に励んでいたら、いつの間にか画力もアップしてました(笑)。アドビ製品はライバルであり、親友であり、むしろ自分自身がアドビなのかもしれない…。それくらいぴたっと密着した存在です。
吉水 卓(SwimmyDesignLab)
アーティスト/アートディレクター。株式会社スイミーデザインラボ代表取締役。アートとコマーシャルの垣根を越えて活動中。近年は、日本を代表するアニメ作品とのコラボーレーションアートを発表。独特なタッチの絵は国内外で評価されている。
「NuRIE #6 ANIMAL LAB」 株式会社マルアイとの共同開発商品。©2014 MARUAI Inc. All Rights Reserved. ©SwimmyAnimalLab / Taku Yoshimizu
私はほぼすべての作品を、フォトショップとユニボール・シグノ極細0.38を使って作成しています。フォトショップは私にとって工場のような存在で、ペンで描いた膨大な絵(パーツ)を組み立てる場所。また、雑然としたアイデアを整頓するツールとしての役割もあり、フォトショップを介して自身のイメージしたものを仕上げることができます。限りなくアナログに近いデジタル作品を制作するうえでなくてはならない存在です。
CREATOR'S TALK 02
グラフィックデザイナー/アートディレクター
一ノ瀬雄太
1986年生まれ。多摩美術大学在学中から東京ピストルに在籍し、2012年独立。『走るひと』や『GINZA』のデザインをはじめ幅広い分野で活躍。フジロックにも出演したロックバンド「快速東京」のギタリストでもある。【URL】http://ichinoseyuta.tumblr.com/
アドビソフトが進化したことで、デザインの本質が見えてきた。
アドビとは、ユーザとして以外にもつながりがあり、フリーランスとして独立した2年目にアドビの仕事をやらせていただきました。アドビ製品のノウハウなどを載せたフリーペーパー『Adobe Book』のアートディレクションと、学生向けセミナー「Adobeぬけがけ2days」のポスターとフライヤーデザインを担当しました。アドビに仕事で関われると思っていなかったのですが、周りの評判もよくうれしかったです。
はじめてアドビに触れたのは、小学2年生のとき。父親がPower Mac 8100を買ったので、僕もイラストレータで遊んだりしていました。中学高校くらいからは本格的に使い始めて、自分がやっていたバンドのフライヤーを作ったりしていましたね。
大学に入ってから、やっと「自分のデザインの個性とは何だろう」みたいなことを考え始めました。当時はアドビのソフトが大きく進化し続けていて、どんどん追加される機能を使いこなしているだけでもすごいと見られていましたが、今はもうそういう時代ではありません。アドビによって技術が平均化されたことで、昔のように「これどうやって作ったの!?」という驚きがなくなりました。今やアマチュアでもイラストレータなどを使って同人誌を作るのは当たり前ですからね。でも、それって僕らにとってもいいことだと思うんですよ。
アドビのソフトを使える人が増えたことで、評価のベクトルが技術から個性に向き始めてきました。かつて技術的に難しかったことが簡単にできるようになり、その先にある「デザインとは何なのか」というテーマを改めて見つめ直せるようになったと感じています。僕は「努力賞」が嫌いで、いかに効率よくカッコイイものを作るかという「コスパ」こそデザインの本質だと考えています。だとすると、アドビソフトの進化はデザイン本来の姿につながっていくのではないでしょうか。 (聞き手/山田井ユウキ)
創刊からアートディレクターを務める雑誌『走るひと』やフリーペーパー「野生アニマル」、渋谷パルコの「グランバザール2016」の告知ムービーを製作するなど、マルチな活躍を見せる一ノ瀬さん。このほかにも、CDジャケットやPVなど、数多くの作品を手がけている。
石浦 克(TGB design.)
1994年に結成したデザインユニット「TGB design.」の代表を務め、グラフィックデザインを軸にファッション、映像、プロダクト、キャラクターデザイン、アプリ開発までさまざまなジャンルのデザインをボーダレスに手がける。現在、武蔵野美術大学と女子美術大学の非常勤講師を務める。
「ITADAKIMASU」 (Art Performance at Expo Milano 2015)
アドビを使い始めて20年以上。10代の頃からイラストレータを使用しており、そのうちアフターエフェクツで映像まで作るようになって、デザインの領域が広がりました。最近ではミラノ万博で、レーザプリンタと連動させて巨大壁画へのアートパフォーマンスを行いました。こんなことができるようになったのもアドビ製品のおかげです。感謝!
和 祐里(BAUM)
デザイナー。株式会社BAUMコンセプト部所属。企業や社会の課題を解決するコンセプト設計、ネーミング、コピーライティング、デザイン(印刷物やWEBサイト)、場のデザイン(イベント企画・設計・運営)を担当。
リブシブ賞「LIVE IN SHIBUYA AWARD」
10年近く愛用してきた今、アドビは伝えたいことを説明するのに、言葉以上に重要な存在となっている。頭の中にしかないアイデアを体の外に出して、分身を誕生させるイメージだ。形が思うように作り出せないときは、考えを整理できていない証拠。作品と思考は直結していることを感じる。作品ができたときは、子どもが世に出たような親心を持つ。その喜びの繰り返しが成長につながる。アドビが進化するたびに刺激を受け、長年楽しく使い続けてこられた。10年20年…これから先のアドビの進化を楽しみに、多くの分身を生み出していきたいと思う。
岡崎智弘(SWIMMING)
アートディレクター/デザイナー。1981年生まれ。2011年9月よりSWIMMINGを設立。グラフィックデザインを基軸に、印刷物や映像などカテゴリを横断したデザインを行う。アドビ製品はフォトショップ5の時代から。
tomohirookazaki.com
大量の写真データを、フォトショップで一気に開いて作業していたときのこと。ある程度進めたがあまりうまくいかず、溜息をつきながら「?Q」を押した。その瞬間から、私は画面に見惚れることになった。ウインドウが閉じては重なっていた後ろの写真が表示されるということが高速で繰り返され、アニメーションの原理「仮現運動」を思わぬタイミングで体験したのだ。それまで静止した世界だけをみていた目の前の世界に、時間が導入され、「動き」の面白さが目の中に溢れた。「動き」が作り出す楽しさをフォトショップは予期せぬ形で教えてくれた。それは、私が印刷物とともに映像をデザインするきっかけとなった最初のクリエイティブな体験だった。
櫻井優樹(METAMOS™)
アートディレクター/デザイナー。2009年METAMOS™を設立。国内外の受賞ぼちぼち。朗文堂新宿私塾講師。member of mokuva。
「Night of Departure」
DTP興隆期を語るのに、イラストレータ8.0とフォトショップ5.5の存在を忘れてはいけない。往年の江夏と田淵のような関係といえばイメージしていただきやすいだろうか? その切れ味鋭い刀は、隠微なグラフィックス技芸の印象を消し去り、想像を形にする術を若者たちに与えた。しかし、魅力的な武器は気を抜くと想像を呑み込む。あれから数十年を経て、ますます便利になる妖刀にこれからも抗い続けたい。
井口皓太(TYMOTE / CEKAI)
1984年神奈川県生まれ。武蔵野美術大学基礎デザイン学科在学中に株式会社TYMOTE設立。グラフィックデザインと映像デザインを軸にCM、MV、ライブ演出や、ブランディングなど、さまざまなデザインワークを行っている。2014年に設立した世界株式会社では、会社や所属のフレームを超えたクリエイターやマネージャーが共存する場を創り、自社発信のデザインワークを行っている。主な受賞歴に、東京TDC2014:TDC賞、2015D&AD:yellow pencilなど。
installation art: Kanji City Kyoto
アドビは僕の制作の始まりと終わりです。普段モーショングラフィックスを中心に映像作品を作っている僕は、まずはイラストレータで材料を作り、それをCGソフトなどで捏ねくりまわして、最後にアフターエフェクツで混ぜ合わせ、味を調整して完成!といった作り方をしています。何でもそうだと思いますが、モノづくりにおいて、始まりと終わりはとても大事な行程です。僕にとってアドビは、アイデアを直感的にビジュアルに切り出していく包丁のようなものであり、これで混ぜれば何でも美味しい!の万能鍋でもあります。僕はまったく料理ができないのが悩みの種ですが、アドビ製品を使って作るモーショングラフィックスの腕は一流です。
CREATOR'S TALK 03
アートディレクター/インターフェイス・デザイナー
木村浩康(ライゾマティクス)
1981年生まれ。東京造形大学プロダクトデザイン科卒業後、デザインプロダクションを経てライゾマティクスに入社。文化庁メディア芸術祭 大賞、カンヌ国際広告祭 銀賞など受賞歴多数。 【URL】http://rhizomatiks.com
アドビソフトはデザイナーとプログラマーをつなぐハブのような存在。
アドビ製品は僕にとって空気のようになくてはならない存在です。恋人というより、家族かもしれませんね(笑)。最初に使い始めたのは美術大学の学生だった頃。課題として提出するプレゼン資料を作るのに必須ソフトで、デザインを仕事にしている今でもそれは変わりません。別のソフトも触ったことがあるのですが、やはりアドビソフトには勝てないですね。結局、フォトショップやイラストレータに戻ってくるんです。
アドビのソフトは機能はもちろんですが、対応力の高さが群を抜いています。ライゾマティクスの仕事は多岐にわたっていて、印刷物もあればWEBもあり、ときには8K解像度で3Dの映像を作りたいというオファーをいただくこともあります。そういった多様な仕事に対応できるのはアドビしかありません。
特に最近のアドビ製品は、ソフト同士の連係もしやすくなり、僕らデザインチームにとってより使いやすい方向に進化していると感じています。ライゾマティクスはグラフィックスとテクノロジーを組み合わせて新しいものをクリエイトする会社。プロジェクトでは、必ずデザイナーとクリエイティブコーダーと呼ばれるプログラマがチームを組んで作業します。たとえば最近手がけた「グラフィックデザインの死角」という展覧会では、昭和を代表するデザイナーである田中一光さんの色使いを解析し、それを生かしたポスターデザインを制作しました。その際、プログラマーが解析したデータは「SVG」という形式で出てくるわけですが、それだけ渡されてもデザイナーにはどうしようもありません。しかし、現バージョンのイラストレータであればSVGデータを読み込んでグラフィカルに表示できるため、ワークフローが円滑に進むのです。
また、クラウドに対応したことでデータのやりとりも格段に楽になりました。ライゾマティクスにとってアドビソフトは単なる制作ツールではなく、コミュニケーションのハブとなるソフトでもあるのです。 (聞き手/山田井ユウキ)
木村さんがデザインした「グラフィックデザインの死角」展(ギンザ・グラフィック・ギャラリー、2015年6月開催)ポスター。故・田中一光氏がデザインした制作物を題材に、独自のデータ解析と表現により、色使いや構成といった氏の個性を抽出してみせた。