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ハードウェアの構造、仕組みを知ろう!

第98回 FaceTime HDの仕組みってどうなってるの?(2/2)

著者: 吉田雷

第98回 FaceTime HDの仕組みってどうなってるの?(2/2)

【もっと知りたい(1)】

デュアルマイクの効果はどのくらい実感できる?

デュアルマイクがノイズキャンセル機能のためということはわかりましたが、どれほど効果はあるのでしょうか。実際にBGMのかかったカフェで、ビデオ通話と音声入力を検証してみました。

デュアルマイクがMac正面で喋った音声をクリアに伝えるノイズキャンセル機能のためということは先に述べましたが、周囲で会話している人がいたり音楽が流れている場所でも効果はあるのでしょうか。

デュアルマイクを搭載したMBPR13インチモデルとシングルマイクを搭載した旧モデルのMacBookエアで比較してみました。場所はBGMの流れているカフェで、周囲の会話もかなりよく聞こえる状況です。ここでフェイスタイムを行ったところ、MacBookエアでは自分の声よりもBGMが相手に大きな音で伝わってしまい、マイクに顔を近づけて喋らなくてはならずビデオ通話としては不便です。一方、MBPRではカフェに流れるBGMや第三者の声はほぼ相手に聞こえず、自分の音声のみを伝えることができました。

なお、同じ場所で音声入力を行ったところ、デュアルマイク搭載のMBPRのほうがわずかながら認識率が高い傾向が確認できました。静かな場所よりも周囲に音がある環境においてデュアルマイクの効果が実感できるでしょう。

 

両機のマイクの違い

旧MacBookエア(上)のマイクは左側面に1つで、デュアルマイクのMBPR13インチモデル(下)では2つ並んでいます。

 

マイク性能の比較

MBPRとMacBookエアでの比較です。MBPRはデュアルマイクが採用され、旧MacBookエアには無指向性のシングルマイクが採用されています。

 

クリアな音声が届けられた

BGMや第三者の声がある場合、シングルマイクでは時間差を利用したノイズキャンセルができず、周囲の音をそのまま伝えてしまいましたが、デュアルマイクのMBPRでは音声のみをクリアに届けられました。

【もっと知りたい(2)】

Mac搭載のFaceTimeカメラはどれくらい映るの?

フェイスタイムカメラを複数人の会議などで利用できるでしょうか。また、一般的なWEBカメラは暗所で画質が悪くなりがちですが、フェイスタイムHDカメラではどうでしょうか?

フェイスタイムは基本的にMacの正面にいる人物1人が利用するものですが、オフィスでの会議など複数人同時にビデオ通話したい場合もあります。フェイスタイムHDカメラはどの程度の範囲で画面に収まるのか検証してみたところ、幅が約1メートルのテーブルの両端に2人が座り、Macから1.5メートルほど離れてもカメラの画角に収まりました。この距離であれば3人同時のフェイスタイムも可能です。

また、フェイスタイムを利用する場所が常に明るければよいのですが、暗めの部屋ではノイズが心配になります。一般的にカメラに入る光が少なく“暗い”と画像処理エンジンが判断すると光を増幅させようと感度を上げますが、そのときに映像にノイズが入るからです。ノイズが多い状態ではビデオ通話の楽しみも半減してしまいます。

間接照明を使った暗めのカフェで検証したところ、ノイズが気にならないばかりかディスプレイの光が顔を照らしてしまう悪条件にも関わらず、自然な明るさに自動補正されました。これはソフトウェア側の制御が優秀であることを示しています。

 

ワイド画面で3人までOK

長めの机の両端に2人が座り、1.5メートルほどの場所にMacを置きました。ただし、静かな場所でない場合はノイズキャンセル機能によって音声が届きにくくなります。

 

間接照明のカフェでは

暗い部屋を再現するため、間接照明を使ったカフェで実験してみました。テーブルの手元を照らすようにスポットライトがあるため人物の顔を照らしにくく、撮影条件はよくありません。

 

人物は自然な雰囲気

実際のフェイスタイムの画面です。人物の顔はMacのディスプレイに照らされていますが背後の暗い場所との差も大きくなく、自動補正されて自然な雰囲気です。

【もっと知りたい(3)】iPhoneのFaceTimeカメラと何が違うの?

iPhoneのフロントカメラもフェイスタイムHDカメラですが、Macとどのような違いがあるのでしょうか。iPhoneとMacの使われ方の違いにヒントがありました。

iPhone 4で採用されたフロントカメラがフェイスタイムカメラと呼称されたのは前述のとおり。それでは、現在のiPhoneに搭載されているフェイスタイムHDカメラは、Macのフェイスタイムカメラとどのような違いがあるのでしょうか。

最初に搭載されたiPhoneのフェイスタイムカメラは、ビデオ通話ソフト「フェイスタイム」のために付けられたもので、ビデオをセルラー回線やWi−Fiを経由して送る都合上、画素数は抑えられていました。ところが、最近はフロントカメラで自分の写真を撮る「セルフィー(自撮り)」での利用が普及しました。

このため、最新のiPhone 6s/6プラスのフロントカメラはiPhone 4の背面カメラと同じ性能である500万画素にまで強化されています。またフェイスタイムHDカメラでの撮影時に画面を通常の3倍の明るさで光らせてフラッシュ撮影する「レティナ・フラッシュ(Retina Flash)」機能も追加され、セルフィーに対してハード・ソフトの両面で強化されているのです。

 

iPhone 6sでは500万画素

画素数だけで単純比較はできませんが、iPhone 6sのフェイスタイムHDカメラはiPhone 4の背面カメラと同じ画素数まで進化しました。

 

セルフィー用のフラッシュ機能

撮影時に画面を一瞬だけ通常の3倍の明るさに発光させる「レティナ・フラッシュ」は、Macの「フォトブース」に搭載された機能を応用したものです。

 

iPhoneはカメラが2つ

iPhoneにはフロントカメラのフェイスタイムと、背面の「アイサイト(iSight)カメラ」があります。フェイスタイムのビデオ通話では、通話中に2つのカメラを切り替え可能です。

【これやっていいの?】FaceTime HDカメラをビデオ通話以外に使う!

フェイスタイムHDカメラはその名前からフェイスタイム専用と思われがちですが、標準ソフト「フォトブース」でも写真を撮影できます。

また、iTunesカードを購入したときにiTunesに16桁の英数字を打ち込む代わりにフェイスタイムHDカメラが利用できます。iTunesや「App Store」ソフトから[コードを使う]に進み、[カメラを使う]をクリックするとカードに書かれた文字列が自動入力されるのです。

さらに「プレビュー」では手書きの署名を登録するときにもフェイスタイムHDカメラが役立ちます。プレビューの[ツール]から[注釈]→[署名]に進むとトラックパッドか紙に書いたサインをカメラで読み込ませて登録できるのです。この機能を使えば、PDFに手書きのサイン(署名)を簡単に追加できます。なお、サインの代わりにカメラの前に紙に押した印影をかざすと簡易的な電子印鑑として利用できます。

 

? プロフィール写真の作成

フォトブースはSNSなどで使うプロフィール写真を撮影できて便利です。静止画だけでなく、動画や4コマの連続写真、各種エフェクトも掛けられます。

 

? コードの認識もできる

iTunesカードのコードをカメラで読み取れば、わざわざ16桁の文字列を見ながら打ち込む必要がありません。画面は鏡像ですが、きちんと認識します。

 

? 電子印鑑の登録にも

プレビューに「署名」を登録するときもフェイスタイムHDカメラを利用します。署名は複数登録可能で、印影を撮影して電子印鑑としても利用できます。

[ 検証結果 ]

フェイスタイムHDカメラはアイデア次第でもっと活用できる!

単なる内蔵WEBカメラと思われがちですが、標準ソフトでフェイスタイムHDカメラを便利に利用できます。特別な機器やソフトを使わずに、電子印鑑まで実現できるのは、Macならではといってもよいでしょう。

【もっと教えて】

フェイスタイムの画面比率は、iOSデバイスにあわせて縦長ですが、ビデオ通話を開始した状態で[ビデオ]メニューの[横方向画面を使用]を選択すると、Macに最適なワイドな画面で通話できます。また、フルスクリーン表示にも対応しています。

【もっと教えて】

フェイスタイムに使うカメラは内蔵のフェイスタイムHDカメラ以外にUSB接続したWEBカメラにも対応します。外付けのWEBカメラはディスプレイに固定されていないので、MacでもiPhoneと同じように景色や手元の資料を相手の画面に映し出せます。