デバイス間で円滑なビデオ通話を行えるフェイスタイム
「フェイスタイム(FaceTime)」は、離れた場所にいる家族や友人、仕事相手などと顔を合わせてコミュニケーションできるビデオ通話ソフトです。Macでは以前「アイチャットAV(iChat AV)」というソフトと「アイサイト(iSight)」というカメラでビデオ通話が可能でしたが、iPhone 4に「フェイスタイム」が登場したことで、Macもフェイスタイムという呼び名に統一されました。HDは搭載されたカメラが高解像度という意味です。
ビデオ通話にはカメラとマイクがお互いのデバイスに備わっていることが前提となりますが、一部のMacを除いてほとんどのモデルで標準搭載されています。現行のiMacとMacBookプロに採用されている「フェイスタイムHDカメラ」は1280×720ピクセル(720p)という高解像度でビデオ通話ができ、さらに集音マイクを2つ搭載することで音声がクリアに届くという特長があります。
もちろんiPhoneやiPadなどのiOSデバイスとMacの間でビデオ通話も可能です。相手の利用するアップルIDか電話番号がわかれば、連絡先からすぐにビデオ通話が開始できるのです。
フェイスタイムのビデオ通話は、ハードウェアとソフトウェアがともに大きな進化を遂げ、その機能を実現しています。今回は、ユーザが特に意識することなく臨場感のあるビデオ通話ができるフェイスタイムのメカニズムをハードウェア面とソフトウェア面を合わせて解説します。
【アップル知りたいキーワード】
MacとiOSデバイスのFaceTimeとは
フェイスタイムを楽しむにはカメラとマイクを搭載したMacかiOSデバイスが必要です。フェイスタイムカメラ非搭載のMacでも、WEBカメラを利用すればフェイスタイムを利用できます。
アップル純正のビデオ通話機能
フェイスタイムは、OS Xに標準搭載されたビデオ通話ソフトの名称です。iMacやMacBookプロ・レティナディスプレイモデル(以下、MBPR)、MacBookエアにはフェイスタイムHDカメラとデュアルマイクが、MacBookにはフェイスタイムカメラとデュアルマイクが内蔵されています。フェイスタイムのビデオ通話はMac同士だけでなく、iOSデバイスとも行えます。
FaceTimeカメラ非搭載のMac
MacミニやMacプロなど、フェイスタイムカメラを搭載しないMacでは、フェイスタイムカメラの代わりにマイク内蔵のWEBカメラを別途用意するとフェイスタイムが利用できます。また、2010年以前のMacに搭載されているアイサイトカメラでも、OS X10.7以上であればフェイスタイムが利用できます。
iOSデバイスのFaceTimeカメラ
iPhoneやiPadなどのiOSデバイスには、フロントカメラとしてフェイスタイムHDカメラが搭載されています。最新モデルであるiPhone 6sプラスではカメラセンサが500万画素にまで強化されています。
【ハードウェア図鑑】FaceTime HDカメラの仕組み
MacのフェイスタイムHDカメラとデュアルマイクはどのように搭載されているのでしょうか。パーツ配置の自由度が少ないMacに必要な機能がうまく詰め込まれていることがわかります。
MacBook ProのFaceTime HDカメラ
MacBookシリーズのフェイスタイムカメラは、ディスプレイ上部の中心に内蔵されています。図のMBPR15インチモデルでは「内蔵環境光センサ」、「フェイスタイムHDカメラ」、「カメラインジケータランプ」が一体となったフレキシブルプリント基板とともにディスプレイフレーム枠に固定され、配線はUSBによって本体のロジックボードにあるUSBコントローラに接続されます。一方、デュアルマイクはフレキシブルプリント基板上に2つのマイクが配置され、キーボードの左にあるスピーカ部分に内蔵されています。
デュアルマイクの仕組み
iMacやMacBookシリーズでは、これまで主流だった無指向性マイク1個の代わりにデュアルマイクを搭載しています。2つのマイクは意図的に位置がずらされ、Macの正面から話したときに一定の時間差が生まれるようになっています。これはユーザが喋る位置を判定するのと同時に、Macの背面や側面から拾う周囲の音声をMac正面からの音声と区別してソフトウェアで加工することで、ユーザの音声だけを取り出すための工夫です。つまり、騒がしい場所でもユーザの声をクリアな音声で相手に伝えられるのです。
FaceTimeがつながる仕組み
アップルIDでやりとりされるフェイスタイムですが、iPhoneで利用している電話番号を利用することもできます。iPhoneで使っている電話番号をアップルIDと紐付けると、電話番号とアップルIDどちらでも発着信が可能になり、またアイクラウド(iCloud)を設定していれば、電話番号宛のフェイスタイムをMacで着信することも可能です。これらはフェイスタイムサーバがアップルIDと電話番号を確認し、紐付けられたそれぞれのデバイスに通知することで実現しています。
【もっと教えて】
iPhone 4登場時にフロントカメラは「フェイスタイムカメラ」と呼ばれ、外向きの背面カメラは「アイサイトカメラ」と呼称していましたが、その後、外向きのカメラをアイサイト、Macも含めてフロントカメラをフェイスタイムカメラと呼び名が変更されました。
【もっと教えて】
2015年に登場したMacBook12インチモデルにはフェイスタイムHDカメラではなく、480pのフェイスタイムカメラが採用されています。性能的には低くなりましたが、これは最薄のレティナディスプレイを実現するためのやむを得ない選択といえるでしょう。