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Mac Fan メールマガジン

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メールの添付ファイルが死ぬほど嫌いなんです(笑)。

[Chapter 3]グリー株式会社 岡田寛史さん●デキるビジネスパーソンのとっておきソフト?

[Chapter 3]グリー株式会社 岡田寛史さん●デキるビジネスパーソンのとっておきソフト?

メールの添付ファイルが死ぬほど嫌いなんです(笑)。

岡田 寛史

IT企業を経て、2011年グリーに入社。情報システム部シニアマネージャーとして、グリーの社内ITを担当する。以前はウインドウズユーザだったが、グリー入社をきっかけにMacユーザに。

岡田さんのとっておきソフト

Box Sync

【開発】Box
【価格】無料
【URL】https://sites.box.com/sync4/

マルチデバイス対応のコミュニケーションツール。2013年のサービス開始以降、開発者・エンジニアを中心に人気を呼んでいます。チャンネルによるグループ分け、豊富な連係機能などが特長です。

セキュリティを重要視

3500万人のユーザを抱えるモバイルゲームプラットフォーム「GREE」を運営するグリー。現在では、ゲーム事業だけでなく、コマースやライフスタイルなど、多岐にわたって事業を展開しており、エンジニアやデザイナーをはじめ、さまざまな職種やバックグラウンドの社員が集まっています。そんなグリーでは、過去にある課題を抱えていました。全社員が情報共有のためにやりとりするファイルサーバのボリュームが膨れ上がっており、用意していたサーバの維持コストがかさんでいたのです。そこで、岡田寛史さんは2014年末、以前から個人で愛用していたクラウドストレージサービス「ボックス(Box)」を提案。現在では一部の子会社を除いて、ほぼ全社的に切り替えが完了しています。しかし、多くのクラウドストレージサービスの中でも、なぜボックスだったのでしょうか。

「セキュリティに優れていることが理由です。利便性だけを考えるとほかにも選択肢はいろいろあるのですが、会社として使うならボックスがベストだと考えました」

ボックスでは、ファイルやフォルダをアップロードした「所有者」が、ほかのメンバーに対して権限を付与することができます。たとえば、「編集者」はファイルの編集やダウンロード、削除など強力な権限を持ちますが、「プレビューア」はダウンロードや削除などは一切できず、ファイルのプレビューだけが許可されます。

「権限管理機能はほかのクラウドストレージサービスにも付いていますが、7種類もの権限を細かくコントロールできるのはボックスくらいしかありません」

権限に期間を設定できるのもポイント。同じ人にずっと権限が残り続けるのは、セキュリティ的に望ましくありませんが、ボックスでは一定の期間が過ぎると自動的に権限を外してくれます。グリーではこの機能を使って、権限が半年で切れるように設定しているのだとか。さらに、APIを活用して「一括で権限を更新する機能」や「組織データベースと連係して複数人に権限を追加する機能」を追加するなど、徹底的にカスタマイズ。自社サービスで培われた開発力と業務ノウハウを活かして、使い勝手を追求しているそうです。

ファイル共有へのこだわり

「ログの管理」もボックスの長所です。「誰が、いつ、どのフォルダ/ファイルにアクセスしたのか」という履歴がすべて残るため、誰にも知られずに編集、ダウンロードすることができません。

なぜここまでファイルの共有方法にこだわるのかを聞くと、「メールの添付ファイルが死ぬほど嫌いなんです(笑)」とのこと。たとえば、添付ファイルを共有する場合、メール自体を転送するやり方が一般的です。しかし、それは見方を変えると添付ファイルを「複製」しているわけで、いたずらにセキュリティ上の不安要素を増やすことになります。

「重要なファイルはできるだけオリジナル1つだけにしておくべき。私は、メールの添付ファイルは保存先をボックスと連係したファインダにしておき、保存するとそのままボックスのフォルダにアップロードされる『ボックス・シンク(Box Sync)』を使っています。チームのメンバーにはそのフォルダや、ファイルのリンク先だけを共有すればOKですからね。それに、取引先と添付メールのやりとりをするのに、きちんと挨拶を書いて、パスワードは別で送付して、ってやっていると精神的にも削られますよね(笑)」

プレビュー機能の魅力

ボックス上でファイルを開くやり方には、ほかにもメリットがあります。それは、インストールしていないソフトの形式でもプレビューできること。オフィス系文書はもちろん、3Dモデリングソフトや動画ファイルといった形式にまで対応しています。この機能に対して、いくつかの部署では喜びの声があがったとか。

「たとえば、グリーの広報チームです。広報の仕事の1つにPVなど動画をアップロードすることがあるようなのですが、動画は形式がいろいろと複雑で、変換しないと再生できないことも多かったのです。しかし、ボックスならたいていの形式は再生できますから、いちいち変換しなくても内容を確認できるようになりました」

また、ファイル形式がオフィス系の場合、クラウド上のファイルをそのまま開くことで、Mac本体に入れてあるクライアントソフトを起動させることができる「ボックス・エディット(Box Edit)」機能も魅力的です。

常に10人前後のチームを率いて業務にあたる岡田さんにとって、ファイル共有は仕事の核となる部分。ボックス導入により、セキュリティが強化されたことはもちろん、コストダウンにもつながり、業務効率は大きく向上したのです。(取材・文/山田井ユウキ)

権限の細かいコントロールが可能

さまざまなクラウドストレージサービスの中でも、特にセキュリティ面で優位性があるボックス。「所有者」や「編集者」など、権限を細かにコントロールできるのがポイントです。

「ボックス・シンク」で効率化

ボックス・シンクをインストールすると、WEBサービスを開かなくてもデスクトップ上でファイルを管理することが可能になります。

オフィス系ソフトとの連係

エクセルやパワーポイントなど、オフィス系ソフトとの連係が素晴らしいボックス・エディット機能。ファイルを保存すると、変更した内容がクラウド上に直接保存されるので、クラウドとローカルの境目をあまり意識させません。

特殊なファイルも閲覧できるプレビュー

インストールしていないソフトの形式ファイルも、ボックスならプレビュー画面で閲覧可能です。また、コメントを残すこともできるので、メンバーとのやりとりもプレビュー画面で済ませることができます。

[Company Profile]グリー株式会社

ソーシャルネットワークサービス「GREE」運営のため、2004年に設立。元は創業者である田中良和氏が個人で運営していたSNSでしたが、利用者の増加により法人化。以後、モバイルゲームを中心に急成長。近年では、フィットネス関連サービスの「レスパス(Lespas)」や、リフォームサービス「リノコ」などシェアリング経済を推進する新規事業を展開。「インターネットを通じて、世界をより良くする。」をミッションに掲げています。【URL】http://corp.gree.net