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「自転車をシェアする」

著者: 熊山准

「自転車をシェアする」

iPhoneだけでシェアサイクル

近ごろウーバーやエアビーアンドビーなど、アプリやSNSを通じてモノ・サービス・場所をシェアする「シェアリングエコノミー」がじわじわと浸透しつつあります。自分だったら何をシェアしてみたいかなと考えてみたところ─それは自転車なのかもしれません。

今、東京・渋谷に住んでいるのですが、都心から都心への電車移動って意外と時間がかかるんですよ。それをフォローするのがスクーターですが、今度は駐禁がおそろしい。

そのかゆいところに手が届きそうなのがシェアサイクルです。近年はポート(拠点)やユーザをたまに見かけるので、近所にもあれば利用してみたいと思っていました。

調べてみると、渋谷区にはコギコギという会員制サービスが展開されている模様。しかも貸出返却はiPhoneだけで完結するというではありませんか。それは便利っぽい!というわけで、早速同社社長の中島幹彰さんにコギコギを始めたきっかけを聞きました。

コギコギ株式会社代表取締役社長 中島幹彰さん

「iPhone対応の自転車管理アプリを出したのは2015年7月と最近なんですが、サービス自体は5年以上前から続いています。私自身、自転車での移動が大好きですし、パリやロンドンといった大都市ではシェアサイクルがかなり普及しているので、東京でもやってみようと始めたのがきっかけですね。当初はプロジェクトベースでのサービス開始だったんですが、すぐに3・11が発生し帰宅困難者に自転車を無料開放したこともあり、『これはビジネスとして取り組む意義があるな』と会社化したんです」

なるほど。ちなみにアプリ登場前は対面で鍵を手渡し、と超アナログだったとか。

「これまでは、ポートを設置した商業施設の方に受付の対応をお願いしていたため、営業時間外は貸出しや返却ができませんでした。アプリで自転車を管理することで、受付スタッフが不要になり、ユーザは24時間好きなときに利用できるようになったんです」

これは便利ですよね! 今後の展開はいかがでしょう?

「ポートや自転車を増設して利便性を高めるのはもちろん、シェアサイクルを当たり前のように使ってもらえるよう周知させることが先決ですね」

確かに。ではその使い勝手はいかがなものか、ちょっくら自転車をお借りして検証させていただきまっす。

原宿・渋谷・代官山・恵比寿などおしゃれスポットに多い、コギコギのサイクルポート。自転車自体もシックで、どんな服装にも合いそうです。今回は代官山T-SITEでレンタルしてみました。民営のためエリアの縛りがない分、今後は外国人観光客に人気のスポットにもポートを設置する予定だとか。

自転車を借りる

まずは「COGICOGI」アプリをダウンロードして、支払い用のアカウントを登録。必要な情報は名前、メールアドレス、クレジットカード番号などなど。なお、利用料金は月額会員2000円か、1日会員1500円の2種類。いずれも1時間以内の利用は無料で、延長1時間ごとに100円かかる仕組みだとか。借り受けは簡単で、ポートの近くでアプリの「借りる」アイコンを押すだけ。利用可能な自転車の番号が表示され、自転車側でもロック部のLEDが点滅します。あとはアプリの指示に従ってロックを解除。鍵が不要のスマートロック対応!

【発売】MOTOAKI NAKAJIMA

【価格】無料

【カテゴリ】App Store>旅行

ポートまでの道順

アプリを起ち上げるとGPSをもとに最寄りのポートが表示され、現在地からの道順まで案内してくれます。

搭載されたスマートロック

GPSとブルートゥースが内蔵された後輪部分のスマートロックに、iPhoneを近づけて「借りる」ボタンをタップ。グレーのつまみをひねればロック解除。

自転車を楽しむ

利用する自転車は、すべて電動アシスト自転車です。実はこの手の自転車は、ほぼ初体験の筆者。軽い力で漕いでもグイグイ前に進むので、「なるべく坂道を避けよう」とか「買い物しすぎないようにしよう」などと悩む必要もなくポタリングそのものを楽しめました。徒歩だと疲れてちょっと足を伸ばすのが億劫になったり、バイクだと速すぎてあっという間に通り過ぎたりするのですが、電動アシスト自転車だとその中間のいい塩梅で、縦横無尽に街を散策できるんですね。思わずご無沙汰していた知人のレストランまで遠征しちゃいました。

坂道だってへっちゃら

代官山と中目黒の間は急坂が続く自転車乗りの鬼門。でも電動アシストとギア変速の組み合わせで、押し歩き必至の坂でもスイスイと走ることができました。おじさん、お先でーす。

自転車ならではの距離感とスピードで街の魅力を知る

代官山から中目黒に下って、目黒川沿いを散策。自転車だと、徒歩やバイクでは見逃しそうな街の面白さに気づくことができるのが利点です。なおかつ楽ちんすぎる電動アシスト付き。思わず3km以上先にある五反田のレストランまで足を伸ばしてランチをいただきました。なお、左の写真は「最近腰が痛いんですよねえ」と悩みをもらすMIMOSAの店長ですが、直後にぎっくり腰になったそうです。お大事に。

自転車を返す

なんだかんだと10km近く走ってしまったところで、バッテリの残量は7割。随分走りましたが、まだまだいけますね。返却は、最寄りのポートでアプリを起ち上げ、返却ボタンをタップするだけ。どのポートに返してもOKです。すっかり電動アシスト自転車を気に入ってしまい、いっそのこと買ってしまえば?と思ったのですが、よく考えたらバッテリの充電からパンク修理、保管場所の確保などのケアを担うのはタイヘン…。新車を買ってもすぐサビさせてしまう筆者のようなモノグサには、むしろシェアサイクルのほうが合っている気がしました。

どのポートに返してもOK

借りる場所と返却場所が自由なのもシェアサイクルの利点。駐輪代と延長料金がかかるくらいなら小まめに返却したほうが賢いかも。

「返却」ボタンのタップも忘れずに

ポートでロックをかけたらアプリ上で「返却する」ボタンをタップするだけで利用終了。カンタンすぎる! 筆者の自宅近所にもポートができたら積極的に利用したいですね。

熊山准

本人より写真のアバターぬいぐるみの認知度のほうが高い、金髪ライター。得意分野は主にガジェット、恋愛、旅行、登山、現代アートなどで、実はオールアバウトのMacガイドも務めていながら全然更新していない。普段の移動手段はスクーターか電車。