焼け木杭(ぼっくい)に火
若い頃の夢は映画関係の仕事に就くことだった。多感な中高生のときにアメリカン・ニューシネマの時代が重なり、「明日に向って撃て!」や「イージー・ライダー」「卒業」などの作品とリアルタイムで出会った。若者を主人公にした反体制的な作品が多かったアメリカン・ニューシネマの魅力に、ウブなニキビ面の少年はすっかりハマってしまい、洋画が大好きになったのである。
高校時代には8ミリ映画を制作するようになり、大学でも映画同好会で活動。卒論には東宝特撮映画をテーマにとり上げた。しかし結局、映画への道は進まず、出版業界に入ったわけだが、サラリーマン時代も同僚を誘ってショートムービーを作ったりしていた。それから数十年、もう映画を作ることもなくなっていたワタクシの映画心という焼け木杭に、再び火をつけたのが、今回紹介するアプリ「Action Movie Fx」だ。
笑っちゃうほどスゴイ
思うに、世の中には知らなくてもよいことと、知らなかったのを後悔することがある。たとえば、南太平洋上に「エロマンガ島」という島があることは、まぁ知らなくてもよいことだろう(ホントにあるけど)。だけど、今回のアプリのことは、知っておいたほうがいい。特に映画が好きな人は、知らないで人生を過ごすと後悔するカモ。ちょっとオーバーだけど、それほどこのアプリは面白い。
具体的に何ができるのかといえば、自分で撮影した動画の加工だ。それもド派手なアクションシーンをプラスして盛り上げることができる。ミサイルに爆撃されたり、ロボットに襲われたり、空からヘリが墜ちてきたりとかだ。しかもちゃちなFX(特殊効果)じゃなくて、ハリウッド映画級のメチャクチャお金のかかってそうなアクションシーンが、まんま再現されるのだ。素人が撮ったヌルいホームムービーが、突如、本格的な効果音とリアルな特撮映像で迫力のアクションムービーに変身!って、もう笑っちゃいますよ。
このアプリは、超有名映画プロデューサーのJ・J・エイブラムス率いるBAD ROBOTの関連会社が手掛けた最初のiOSアプリ。特撮エフェクトのクオリティの高さが半端ないのも、それで納得だ。うれしいことに基本無料なので、安心して試すことができる。アプリ内購入できる追加エフェクトもどれも面白そうで、コストパフォーマンスも悪くない(ちなみにワタクシは60%オフのセールで、20エフェクトパックを購入した)。
かつて度肝を抜かれ、絶対に手が届かないと思っていたハリウッド映画の特撮シーンが、今やこの手の中で、それも簡単な操作で自由に使えるようになるとは…。ほんと技術の進歩は素晴らしいネ、感無量だ。
ワタクシだったら
しかし、このアプリが映画ファンの夢を叶えてくれる魔法のツールだとしても、やみくもに使ったのではすぐに飽きてしまうだろう。せっかくのツールなんだから、その効果を十分に発揮させるアイデアを練らねばならない。
と、ハードルを上げるのもなんだが、ワタクシのアイデアその1「告白ムービー」。○○さん、ボクはアナタを愛…のタイミングで落ちてくる岩石、へこたれず再チャレンジするが今度はミサイル爆撃、という具合に次から次へと大災難に見舞われる。しかし最後は…。
アイデアその2「さよならムービー」。これはマジで作ろうかと考えている。基本は遺言ムービーで、残された者への感謝と慈愛の言葉を切々と語ったあと、派手な爆破で吹っ飛ぶ。ああ、あの人はやっぱりバカだったなと思われたら、ワタクシは本望なんデス。
Action Movie FX
【作者】Bad Robot Interactive
【価格】無料
【カテゴリ】App Store>エンターテインメント
カークラッシュやミサイル攻撃、巨大クモの襲来などの特撮シーンを、大金をかけずに実現できる夢の映像アプリ。ガイドに沿って撮影、あとはタイミングを設定するだけで、誰でも簡単にハイレベルなアクションシーンをモノにできる。作成したムービーは、各種SNSやメール添付などでシェア可能だ。
超弩級のアクションシーンを手に入れろ!
「特撮風映像加工アプリ」にチャレンジ
●撮影
(1)カメラ機能がオンになる。画面中央にガイドが表示されるので、それを目安に被写体を捉えて、赤い録画ボタンをタップする。
(2)撮影中は、カメラ画面の外枠が赤く点滅する。この状態では録画時間がまだ足りていない。
(3)必要最低限の撮影時間を越えると外枠が緑色に変わるので、止めたいところで録画ボタンをタップ。撮影を終了する。
●ムービー完成
驚くほど簡単に出来上がったマイ・ファースト・ムービー。題して「落ちてきた男」。その出来映えは…。残念ながら誌面では、その迫力、リアルさをほとんどお伝えできません。でも、ホント面白い(少なくとも作者には)。嘘だと思ったら、アナタもぜひ一度お試しください。
【担当者後記】
J・J・エイブラムスは、映画の製作だけでなく、監督、脚本、俳優、はては作曲までこなす、ハリウッドきってのヒットメイカー。代表作は、「SUPER8」、「ミッション・インポッシブル」(3~5作目)、「スター・トレック」(11、12作目)。製作総指揮を務めたテレビドラマ「エイリアス」、「LOST」などでも有名です。
【担当者後記】
本格的なFXをつけられるだけでなく、映画とのコラボもこのアプリの魅力の1つ。「スター・ウォーズ」とコラボしたエフェクトでは、BB-8やダースベイダーと共演できる! まるで映画世界の住人になったようです。「スター・トレック」とのコラボエフェクトもありますよ。