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ハードウェアの構造、仕組みを知ろう!

第97回 Bluetooth?

著者: 吉田雷

第97回 Bluetooth?

身の回りのさまざまな機器をワイヤレスにするブルートゥース

ブルートゥースは、数10センチメートルから見通しのよい数十メートル程度の距離で、機器同士の通信を行うための無線規格です。Macでは以前から標準で採用されており、キーボードやマウスをはじめ、ヘッドフォンなどの周辺機器をワイヤレス接続するのに用いられています。

もともとは携帯電話と周辺機器の接続を標準化するために定められた国際規格で、各メーカーが手軽に採用できる汎用性の高いテクノロジーで構成されていることも特徴です。通信にはWi−Fiの802.11b/g/nと同じ2.4GHz帯の電波が用いられ、デバイス本体と周辺機器が用途に合わせた共通の「プロファイル」を持っていれば、「ペアリング」という機器登録作業を最初に行うだけで簡単に接続し利用できます。

独自規格のワイヤレス製品と比べると安価に製造でき、また汎用性の高さからアップル製品をはじめ身近なワイヤレス機器の多くがブルートゥースを採用しています。

また、アップル・ウォッチをはじめとするヘルスケアデバイスにもデータのワイヤレス同期のためにブルートゥースが採用されています。こうした小型デバイスには、より省電力な「ブルートゥースLE(以下BLE)」が採用されています。

Macに採用されているブルートゥースは最新の4.0ですが、周辺機器には以前の2、3を採用しているものもあります。今回はブルートゥースの各バージョンが通信できる仕組みを解説します。

【アップル知りたいキーワード】

アップル製品と「Bluetooth」の深いつながり

Macをはじめ周辺機器であるキーボードやマウス、iPhoneやiPadはもちろん、アップル・ウォッチやアップル・ペンシルまで多岐にわたってブルートゥースが採用されています。

 

ブルートゥースを積極的に採用するアップル

ウェラブルデバイスであるアップル・ウォッチや、周辺機器であるマジックマウス2、マジックトラックパッド2、iPhoneやiPadにもブルートゥースが採用されています。いずれもワイヤレス化、省電力化が求められるデバイスで用いられていることがわかります。

 

メニューバーに表示される

Macではブルートゥース機器の登録や接続、接続解除がメニューバーから行えます。設定はシステム環境設定の[Bluetooth]パネルからも行えます。

 

現行Macはブルートゥース4.0対応

現行のMacではほとんどの機種がブルートゥース4.0に対応しているので、4.0やLEの機器を接続できます。またMacに採用されているブルートゥース4.0は下位互換性があるため、ブルートゥース2.0や3.0の機器も利用できます。

 

周辺機器にはブルートゥースのロゴ

ブルートゥース対応機器には青や白の楕円形ロゴが付いていることが多く、接続状態を示すLEDにも青色を採用するものがあります。ロゴの表示は強制ではないため、マジックマウス2などのアップル製品には表示されていません。

【ハードウェア図鑑】ブルートゥースの仕組みを知る

Macの中ではブルートゥースモジュールがどのように配置されているのでしょうか。また、周辺機器との接続を行うペアリングの仕組みも合わせて理解しておきましょう。

 

iMacのブルートゥースアンテナ

Macでワイヤレス通信を行うWi-Fi(無線LAN)とブルートゥースは1つのモジュール(基板)になっていて、そこにアンテナが4本接続されています。MacBookシリーズでは液晶パネルの枠部分を回りこむようにアンテナが配線され、iMacでも3本が液晶パネル周りに、残り1本が背面のアップルロゴ裏にまで伸びています。これは電波を少しでも効率よく送受信するための工夫です。周辺機器のマジックマウス2やマジックトラックパッド2などにもブルートゥースコントローラが内蔵されていて、Macとの通信を行っています。

 

初期設定「ペアリング」の仕組み

ペアリングはMac(マスター)とブルートゥース機器(スレーブ)を登録する手続きです。Macで初めてブルートゥース周辺機器を利用するときに1度だけ行えばよく、それ以降はすぐに利用できます。ペアリングの際には周辺機器側から送られる認証コードを入力すればよく、セキュリティ対策の必要がない機器では簡略化のために数字の0を4つ送受信して、登録の半自動化を可能とした製品もあります。また、1台の機器を複数のMacと登録することを「マルチペアリング」と呼び、この機能に対応したヘッドフォンやスピーカを利用すると複数のデバイスから共用できて便利です。

 

接続を切り替えられるマルチポイント

ブルートゥースには前述のマルチペアリングに加えて「マルチポイント」という機能に対応した機器もあります。こちらは複数のMacやiOSデバイスをペアリングできるだけでなく、同時接続が可能です。たとえば、MacとiPhoneにブルートゥース接続したスピーカでは、スピーカ側のボタンでMacからiPhoneへ音楽再生を切り替えられます。仕組みは機器側に複数のブルートゥースモジュールを搭載し、物理的な切り替えを行っています。なお、マルチペアリングできる数と、マルチポイント可能な数が異なる機器もあるので注意が必要です。

【もっと教えて】

ブルートゥースのロゴは10世紀のデンマーク国王「ハーラル・プロタン王」の頭文字HとBを北欧ルーン文字で組み合わせたものです。プロタン王が異なる種族間を無血統合したことにあやかり、王の異名である「青歯王(ブルートゥース)」を規格の名称としています。

【もっと教えて】

ペアリングは従来4桁のPINコードでしたが、2.1以降の機器ではSecure Simple Paring(SSP)という仕様拡張により新たに「6桁の認証コード」「6桁の認証コードを表示するのみ(入力不要)」「USBやNFC(非接触IC)などの利用」が追加され、ペアリングが簡単になりました。