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県の助成でおトクにはじめよう

神奈川県がヘルスケアに動いた!Apple Watchで始める「未病」対策

著者: 大谷和利

神奈川県がヘルスケアに動いた!Apple Watchで始める「未病」対策

予防に勝る治療なし

アップル・ウォッチは、ヘルスケアの分野で大きな役割を果たすことが期待されているが、これまで日本ではそれを使って得られたバイタルデータの利用は、主に個人レベルに留まっていた。しかし、そんな状況は新産業分野のサービスと行政機関の後押しによって変わっていくかもしれない。

黒岩祐治県知事の提唱によってヘルスケア・ニューフロンティア・プロジェクトを始めた神奈川県は、健康維持に関わる「未病」という概念に着目。これは、病気ではないが、その一歩手前にあり、適切な対応で健康を取り戻せる心身の状態を指す。

同県は、健康と病気の間にある未病の領域を常に緩やかに行き来しているのが人間本来の姿である、との考えに基づき、最新の医療・生活系技術の導入や日頃の生活習慣改善による未病対策を打ち出しているのだ。

神奈川県が未病に注目した大きな理由は、超高齢社会の到来にある。超高齢社会とは、65歳以上の人口が全体の21%を超えた状態を指すが、実は神奈川県は日本の中でも1、2を争う速度でこの傾向が進んでいる。そこで、個別化医療を促進する「最先端医療・最新技術の追求」と、ライフスタイル改善による「治未病の推進」という2つのアプローチで県民の「健康寿命」を伸ばすことにした。

このような施策を地方自治体として初めて行うにあたり、同県では未病の概念を普及させ、取り組みそのものをブランド化するために、〝ME-BYO〟というアルファベット表記の商標登録を行った。そこには、日本国内はもとより世界に向けて先端的ヘルスケアの情報・技術の発信源たらんとする、神奈川県の強い思いが込められている。

神奈川県は、超高齢社会を乗り越えるため、「健康寿命日本一」と「新たな市場・産業の創出」を目指す「ヘルスケア・ニューフロンティア」施策を推進しており、神奈川発の新たな産業である「未病産業」を創出するため、「未病産業研究会」を設立するなどの取組みを行っている。

神奈川県ヘルスケア・ニューフロンティア推進局の兄内宏氏(左)と平田誠氏(右)がME-BYOの普及・啓発を促進している。

アップル・ウォッチを活かす

その流れから神奈川県では「未病産業研究会」を発足させ、この産業分野の商品やサービスが実際に「未病を治す」ことにつながるというエビデンス(科学的根拠)の確立や、未病産業に関わる規制改革、企業間のビジネスマッチングなども推進している。その一方で、県自体も国の地方創生交付金を利用して、県民が未病関連商品やサービスを割引価格で購入できる「未病市場創出促進事業」を開始。その18社目の認定事業として、株式会社チェンジの「Apple Watch Sportを用いた健康状態の見える化サービス」が選ばれた。

このサービスはアップル・ウォッチが付属する健康状態のレポーティングサービスという点で新規性があり、専門チームがバイタルデータ(身長、体重、心拍数、消費エネルギー)を分析して、治未病に役立つレポートを加入者に届けてくれる。本来のサービス価格は、Apple Watch Sportの38ミリモデル付属のもので6万8000円、42ミリモデル付属のもので7万4000円だが、それぞれ県の助成金によって37%オフとなる。

さらに特別キャンペーンと併せたギフトカードのプレゼントにより、実質的な値段が前者で3万800円、後者で3万4800円まで下がる計算だ。

対象者は別表の指定店舗でサービスを購入し、ギフトカードを国内で受け取れる人に限られているものの、単体では割引販売のないアップル・ウォッチだけに、サービスつきでこの価格は明らかにおトクといえる。

ただし、割引が受けられるキャンペーン期間は2016年1月31日までとなっており、しかも28日間のヘルスケアデータ収集とアンケート回答・ヘルスケアデータ提出が必須となるため、 現実的には1月3日(日)までに本パッケージを購入し、1月4日(月)までにデータ収集を開始することが必須となる。また、限定数に達した場合にも、その時点でキャンペーンが終了するので注意が必要だ。

これまで価格の点でアップル・ウォッチの購入を躊躇していた人はもちろん、未病対策に興味のある人にとっても、大いに検討の価値があるだろう。(文/大谷和利)

チェンジの「Apple Watch Sportを用いた健康状態の見える化サービス」は、総価格の37%オフに加えて2000~4000円相当のギフトカードがもらえ、さらに1万円分のギフトカードが付く特別キャンペーンも実施中だ。キャンペーン対象指定店舗で本サービスを購入すると、Apple Watch Sportを含む健康レポートサービス価格に対して割引が適用され、特別キャンペーンとの併用によって、実質税抜3万800円(38ミリモデル付き)と3万4800円(42ミリモデル付き)で未病対策が行える計算となる。

【URL】https://me-byo.change-jp.com/

【News Eye】

未病産業の関連商品・サービスのなかでユニークなものとして、通話時の声を分析し、情動、ストレス、抑うつ状態といった心の状態をリアルタイムに認識できるソフトウェア開発キットの「MIMOSYS」がある。現在はアンドロイド向けだが、iOS用も開発を進めているとのこと。