常に進化を続けるアップル純正マウス
マウスは机の上を滑らせて利用する入力装置で、ボールや赤外線、レーザなどさまざまな方式で手の動きを検知してMacに伝えています。その動きと連動したデスクトップ上のカーソルでメニューやボタンなどへ狙いを定めることから「ポインティングデバイス」とも呼ばれます。
マウスの原型は1960年代に開発され、70年代にはボール式マウスも登場しています。アップルコンピュータ(当時)は、グラフィックを用いたインターフェイス(GUI)の操作にマウスを採用しました。80年代以降マウスを基本的な操作デバイスとして普及させたのはアップルの功績といえるでしょう。
その後、多種多様なマウスが各社から発売されましたが、初期のアップル製マウスはボタンが1つとシンプルなものでした。その後、スクロール機能やウィンドウズでいう右クリックにあたる副ボタンクリックもサポートしました。しかし、その外観は初期のコンセプトであるワンボタンマウスのシンプルなデザインを保っています。
そして、現在のアップル純正マウスは、煩わしい接続コードが廃されたワイヤレスとなり、表面にタッチセンサを搭載してジェスチャ操作できる「マジックマウス」へと進化しました。初代は単3型電池を使っていましたが、最新型の「マジックマウス2」では充電式のリチウムイオンバッテリを内蔵し電池交換が不要となりました。
今回は現在も進化を続けている「マウス」のメカニズムを解説します。
【アップル知りたいキーワード】
「マジック」へと進化したアップルの純正マウスとは
アップル純正のマウスは「マジックマウス」と呼ばれ、通常のマウス操作に加えてタッチパネルによるジェスチャ操作が可能です。まずはアップル純正マウスをおさらいしましょう。
ボタンやホイールがないマウス
マジックマウス2はスクロール用のホイールやクリックボタンがないシンプルな形状です。スクロールはマウス表面を上下になぞることでホイールと同じように操作できます。また、マウス全体がスイッチとなっていて、ワンボタンマウスに見えますがクリックしたときの指の位置を認識し、右クリック(副ボタン)操作が可能です。
実は有線マウスも現役
マジックマウス以外のアップル純正マウスに「アップルマウス」があります。USB接続による有線のマウスで、スクロール用のスクロールボタンがあります。こちらもワンボタンマウスに見えますが、タッチセンサによって左右クリックを判別するほか、カスタマイズ可能な感圧サイドボタンがあり、マジックマウスとは違った操作感を得られる多機能マウスです。
ペアリング済みのマジックマウス2
ワイヤレス接続のマジックマウス2は無線規格の「ブルートゥース(Bluetooth)」でMacと接続しています。ブルートゥース接続は一番最初に利用するときのみ「ペアリング」という作業が必要です。iMacを購入すると標準で添付されているマジックマウス2は、あらかじめペアリングしてあるのでこの作業は不要です。
【ハードウェア図鑑】マジックマウス2の仕組み
マジックマウス2はその小さなボディに「ワイヤレス」「タッチセンサ」「バッテリ」が詰め込まれています。外観こそ初代のマジックマウスと大きな差はありませんが、確実な進化を遂げています。
マジックマウス2の内部構造
マジックマウス2のカバー裏面にはタッチセンサが貼られていて、指や手のひらが触れたことを認識しています。タッチセンサに反応した信号は、組み込まれたタッチパネルコントローラによって解析され、指の動きや座標をデータに変換してブルートゥースを使ってMacへ送信します。クリックを検知するのはクリックスイッチ基盤ですが、タッチパネルに触れている指の位置と照合して左右どちらのクリックであるかを判定しています。また、マウスの内部の大部分を占めるのがリチウムイオンバッテリで、1回の充電で1カ月程度利用できます。
ライトニングケーブルの役目
マジックマウス2の底面にはライトニングケーブルのコネクタがあります。マジックマウス2のバッテリを充電する際はここに付属のケーブルを接続しますが、充電中はマウスの各種センサは停止し利用できません。フル充電まで2時間程度で、1カ月ほど使用可能です。ライトニングケーブルでの接続は充電以外にMacとのペアリングにも使います。従来のペアリングでは周囲の環境によって認識しにくいことがありましたが、マジックマウス2ではケーブルを接続するとMacとのペアリングが始まるため(OS Xエルキャピタン以降)、確実なペアリングが可能です。
マウスが座標を伝える仕組み
マジックマウス2の底面にあるレンズは肉眼では確認できないレーザ光を発しています。このレーザが光源となり、マウスを操作する机やマウスパッドを照らし、その反射光をセンサが高速で連続撮影します。この連続撮影された写真を順に比較し、どの方向に、またどの程度の速度でマウスを動かしたかを検出して数値化します。数値化されたデータはタッチセンサで取得したマウス表面の指の動きとともにブルートゥースでMacに送られます。データを解釈してマウスカーソルを動かしたり、ジェスチャとして解釈するのはOS Xが行っています。
【もっと教えて】
ボール式マウスから光学式マウスとなり、ボール部分の清掃は不要となりましたが、代わりにガラス面などでは操作ができません。利用中にカーソルの動きが悪くなった場合は、裏面のレンズ部分にホコリなどがないか確認して、あれば取り除きましょう。
【もっと教えて】
タッチセンサには抵抗膜方式、電磁誘導方式などがあります。抵抗膜方式は比較的安価に製造できますが、押さえつけて操作する必要があり、マルチタッチを認識しにくいという違いがあります。電磁誘導方式では専用のペンなどが必要ですが、筆圧検知機能が追加できます。