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加速する「デジタルテクノロジー×ファッション」がメディア化

WEBメディア「DiFa」が革新するデジタルとファッションの劇的融合

著者: 矢野裕彦

WEBメディア「DiFa」が革新するデジタルとファッションの劇的融合

DiFa 【URL】http://www.difa.me

異なるジャンルをつなぐ

2015年10月22日、ひとつの新しいWEBメディアが、ちょっと感度の高い提案を投げかけた。「DiFa」は、ファッション系のWEBマガジン。トップページを開くと、ファッション誌を思わせるスタイリッシュな写真がセンスよく並ぶ。しかしそこには、「デジタル」「アンドロイド」そして「アップル」と、ファッションとは無縁のキーワードが…。DiFaは、日本初の「デジタルテクノロジー×ファッション」を謳ったWEBサイトなのだ。

デジタルとファッションといえば、どちらかというと対極的なイメージがあった。しかし、ここに来てデジタルとファッションの融合は加速しつつある。それはたとえば、スマートウォッチのようなウェアラブルデバイスであったり、コーディネートを楽しむためのスマホアプリであったりと、形はさまざまだ。最近では、トップブランドによる3Dプリンタを導入したファッションの提案など、ダイナミックな動きも加わってきた。DiFaは、その2つのジャンルがまたがる新ジャンルの確立に、正面から挑むメディアとなる。

DiFa編集長を務める市川渚氏は、元々海外ブランドのPR担当として働いていた。ファッション業界のただ中だったわけだが、業界内のデジタル全般に対する理解度の低さが目についていたという。

「私は元々コンピュータに興味があって、生活を楽しく便利にしてくれるものと考えて積極的に活用していました。デジタルに拒否反応を示す人も多いファッション業界の中では、まれな存在だったと思います」

ファッション業界の中のデジタルに詳しい人、という役回りだった市川氏の元には、ITの進化に合わせて数々の相談事が舞い込むようになってきた。そのうちの1つが、このDiFaだったというわけだ。

DiFaのコンテンツを支えるのは、DiFaメンバーと呼ばれる執筆陣。本誌でも活躍中の林信行氏や三橋ゆか里氏など、ファッション、デザイン、ITなどに通じたメンバーが記事を提供する。三橋氏は、まとめて発信する場ができたことに大きな意味があるという。

「これまでも、こういったジャンルに向けた記事自体は、個人ブログなどを含めてさまざまなところで発信されてきました。ただ、『デジタルテクノロジー×ファッション』を掲げ、まとめて発信するメディアはありませんでした。ローンチ後のSNS上の反応などを見ていると、『待ってました!』という反応も多く、DiFaという場ができたことの影響は大きいと思います」

市川渚

DiFa編集長。海外ブランドのPR等を経て、フリーランスのデジタル・コミュニケーション・コンサルタントとして活躍。ファッションとデジタルの橋渡し役を務める。実はMacオタク。

三橋ゆか里

DiFaメンバー。米国在住のライター。小学校から高校までをNYで過ごす。ITベンチャーを経て独立。ITライターとしてテクノロジーの世界を、女性目線、ユーザ目線でレポートする。

読者も参加する共創型メディア

DiFaには、大きく2つのコンテンツがある。1つは、メインとなる「デジタルテクノロジー×ファッション」に関する記事だ。さまざまなスタイルのウェアラブルデバイスからファッション業界における新技術、さらにはアプリやサービス、そしてそこに関わる人々など、DiFaとして取り上げるべきトピックを厳選して掲載する。

もうひとつはDiFaメンバーのツイッターのつぶやきの中から、関連した投稿をピックアップして掲載する「DiFa Feed」。読者がその投稿の中で興味があるものを見つけたら、「もっと詳しく知りたい!」というバナーをクリックする。そこで一定の人気を集めた投稿はピックアップされ、最終的にはDiFaが改めて取材して、記事として掲載される。

「これから育っていく分野ということもあって、メディア側からのトップダウンのみで方向性を決めてしまうのではなく、DiFaメンバーの興味、さらには読者の興味を可視化してコンテンツに反映したいと考えました。いずれはこの仕組みをオープン化し、DiFaをハブにして読者がより積極的に参加できればと思っています」(市川氏)

メインのターゲットは、ファッションの感度が高く、普段からSNSなどのコミュニケーションツールを使いこなし、新しいデジタルデバイスなどを積極的に取り入れていける20代の女性。彼女たちの興味を引くために、記事には必ず目を引くビジュアルを添え、雑誌的な見え方を意識した。

また、執筆にも工夫が必要だと三橋氏は言う。

「女性にデジタルテクノロジーの良さを伝えるためには、スペックや機能の数をあげつらうのではなく、そのデバイスやサービスが自分たちの生活に何を与えてくれるのか、といった点を明らかにしてあげることが重要です。DiFaでの記事は、自分自身の女性目線、ユーザ目線を大切にして書いています」

市川氏の右手中指にはスマート・ジュエリー「リングリー(Ringly)」も。光と振動で着信などを通知してくれる、ウェアラブルデバイスだ。シンプルな機能だが、普段付けているアクセサリと同じ雰囲気で装着できる。

市川氏のアップル・ウォッチ・エルメス・ドゥブルトゥール。エルメス専用フェイスを選択して初めて「きちんとファッションアイテムになった」。

アップルのすごさはブランド力

これからの「デジタルテクノロジー×ファッション」といえば、アップル・ウォッチをリリースしたアップルの動向も気になるところだろう。二人に、アップルについてどのような感想を持っているのか聞いてみた。

「実はアップル製品を使い始めたのは、そんなに昔の話ではないんです」と語るのは三橋氏。

「今はスマホはiPhone、パソコンはMacを使っています。理由は、使ってみたらシンプルで使いやすかったからですね。そこもやはりユーザ目線で、『いいものを選んだ結果、それがアップル製品だった』ということだと思います」

一方の市川氏はMac歴は中学生のときから。初代iMacが最初のマシンだ。

「そもそも私、アップルの基調講演がある日は夜中に起きて、モニタの前で正座して観る人なんです(笑)。なのでアップルは大好きなのですが、客観的に見たアップルのすごさはブランド力だと思います。ファッションにとってブランドはとても大切なもの。アップルがブランド力を維持するために何をやっているのかという点には、見習うべきところがあると思います」

市川氏の手首にはアップル・ウォッチ・エルメス。「歴史的なデバイスだと思って買いました」と、購入理由はややマニアックだが、「デジタルテクノロジー×ファッション」の象徴ともいえるアイテムなのは間違いない。DiFaは、Macユーザもチェックしておくべきサイトの1つになるだろう。

市川氏が注目するトピックは、2015年秋のシャネルのオートクチュールコレクションで発表された、3Dプリンタで出力した素材を使った作品。格子状の素材を編み込むことで、独特の素材感とシルエットを演出している。【URL】 http://www.chanel.com/ja_JP/ fashion/haute-couture.html

Donde Fashion

【開発】Donde Fashion

【価格】無料

【カテゴリ】App Store>ライフスタイル

三橋氏が注目する買い物アプリ。1000を超えるブランドのアイテムを簡単に購入できる。色やライン、模様など、自分で思い描くイメージをアイコンで選択していけば欲しい商品にたどり着ける。「テキストではなくイメージで検索する。検索の概念を変えることで、便利なだけでなく、買い物のワクワク感も再現している」とのこと。

【News Eye】

DiFaでは、デジタルテクノロジーを使いこなし、なおかつファッションへの感度が高い人々を「デジタルファッショニスタ」と呼ぶ。情報提供するDiFaメンバーはもちろん、ターゲット読者もデジタルファッショニスタを想定している。

【News Eye】

市川氏はリングリーを実践的に使いこなしている。リングリーは通知方法を細かくカスタマイズ可能だ。たとえば「仕事の関係者からの連絡は3回バイブ」と設定しておけば、打ち合わせ中にアップル・ウォッチを見たりすることなく重要な通知が届いたことがわかる。