USBメモリの目利き
一見、どれも同じような性能に思えるUSBメモリですが、同じ容量でも価格の違う製品が世の中にはたくさんあります。確かにその多くは、実際に比べてみると同じ「USB3.0対応」と謳われていますが、実際の速度を計ると毎秒30MB以下などとUSB2.0の理論値にも届いていない製品が存在します。
では、実効速度が速いUSBメモリは何が違うのでしょうか。まず、記憶媒体として使われている「フラッシュメモリ」を構成するセル(記録素子)一つ一つに書き込めるデータ容量でそのタイプが分かれます。
もっとも高速なのがSLC(シングルレベルセル)です。これは文字どおり1つのセルに1ビットの情報を保持するもので、データの耐久性にも優れるなど性能面での利点が大きいのが特徴です。しかし、面積あたりの容量が少ないため高価です。
現在主流なのが、MLC(マルチレベルセル)という技術です。これは1つのセルに2ビット以上の情報を保持できるようにしたもので、同じ面積でより多くの情報を保存できるようになりますが、動作が遅くなってしまう性質があります。
どちらのタイプを使用しているかは公表していない製品がほとんどですが、32GB以上のものであればほぼMLCであると考えていいでしょう。SLCを使用している場合には「高信頼性、ハイスピード転送」の証として、スペックにその旨を表記しているケースもあり、容量あたりの価格もぐっと高くなります。
速度の要はコントローラ
速度の要素を決めるのはメモリセルの構造だけではありません。USBメモリの内部にはデータの読み書きを制御するチップが搭載されていますが、この性能の良し悪しだけでもかなりの速度差が現れます。これも、高性能チップを搭載している場合はそれを謳うはずなので、何も書かれていないときは安いチップだろうと想像できます。
また、内部に搭載するフラッシュメモリを複数搭載して、読み書きを並列化して高速にする「マルチチャンネル転送」を採用するものもあります。この場合、より多くの容量を搭載したモデルのほうが並列度がアップして高速である傾向があります。
さらに、高速なメモリを求めるなら、コルセアの「Flash Voyager GTX」のようなハイエンドモデルを選んでみるのも手です。Macの内蔵フラッシュストレージと同等のコントローラを搭載することで、読み込み450MB/秒というUSBメモリながらUSB3.0の帯域をほぼ使い切る内蔵ストレージ並みのパフォーマンスを実現しています。
セルの記録方式で速度が変わる
1つのセルに1ビットの情報を収納するSLCタイプと、複数のビットのMLCタイプではアクセス速度に大きな違いが出ます。特にTLCと呼ばれる3ビットタイプのものは書き込み速度が大きく低下します。
マルチチャンネルで速度が大きく変わる
メモリ内部に複数のフラッシュストレージを搭載して、チップが同時に読み/書きを実行するマルチチャンネルは、容量が大きいモデルほど同時接続数が増えるためアクセス速度が向上する特性を持っています。