汚いおっさん?
ワタクシは字が汚い。これでも小学生の頃は習字教室に通っていたのだが、親がわが子に希望を託して払った月謝はなんだったのかと思うほど、今のワタクシの字は汚い。しかも年々汚く、読みづらい字になっている。振り返ってみると、若い頃はそんなに字が汚いことにコンプレックスを感じていなかった。大人になるにつれ、ワープロやパソコンが普及して字を書く機会は減ったが、結婚式や葬儀などのここぞという場面が多くなる。そんなとき、自分の字があまりにお粗末なことに絶望し、ヘコみ続けているのだ。
世間体の問題だけじゃない。文字の汚さは自分自身の生活にも支障をきたしている。たとえば、この原稿を作成するにあたって、ワタクシは一応下書きというか構想をメモる。ところがこれが読めない。書き始めから5文字くらいまでは判読できるのだが、あとはもうミミズどころか体毛がよじれたような意味不明な線がぐちゃぐちゃとあって、何が何だかわからない。情けなくって涙がちょちょ切れますよ、いやホント。
よく「字は体を表す」とか「書は人なり」というけれど、その伝でいけばワタクシは相当汚いおっさん、ということになってしまう。「誰が汚いおっさんやねん」と思わず突っ込みたくなるが、案外当たってるんじゃないかと不安にもなる。ならばその不安を解消すべく、きれいな字をマスターして体や人となりを美しくしようじゃないかというのが、今回のテーマだ。
アプリ先生の門下に入る
まずは「美文字」を身につけるための方法をネットで調べてみた。字がヘタで悩んでいる人は多いのだろう、案外簡単に見つかる。たとえば「美しい文字をイメージする」「平行と等間隔に気を配る」「字の中心を考えながら書く」「縦画はまっすぐに、横画は軽い右上がり」「はねとはらいはしっかり」などなど。いずれもお説ごもっともである。今後、字を書く際には心がけたいと思う…。だけどネ、こうした知識は得ると同時に、それを実践しなきゃ身につかない。
そこでアップストアの出番である。実際に字を書いてトレーニングできるアプリを探してみたところ、うってつけのものを見つけた。iPhoneなどのディスプレイに指かタッチペンで字を書くと、その美しさを「美・並・汚」の3段階で判定してくれる。
実際にやってみると、ひらがなの「あ」で、いきなりの「汚」判定を食らった。ヘタは自覚していたが、こうも容赦ないと悔しさが半端ない。面白い、やってやろうじゃないかと燃える。しかもこのアプリ先生は判定するだけじゃなく、ちゃんとお手本と美文字になるポイントを教えてくれる。この添削機能がいい。人間味を感じるっていうと大げさなんだけど、なんだか遠い昔に習字教室で先生に赤ペンで指導されていた頃の懐かしさがよぎったりして…。
練習を重ねていくうちに、だんだんお手本に近い字が書けるようになってきた。納得がいくまで何度でも繰り返し練習ができ、短時間で成長を実感できるのもこのアプリのいいところだ(本当の実力が身につくのは、そう簡単じゃないだろうけど)。そしてついに歓喜の瞬間がやってくる。「美」判定をゲットした喜びと達成感は、根がヘタであればあるほど大きいはず。ワタクシ思わず「やったー」と声を上げましたヨ。
ちなみにワタクシはこうして美文字に取り組むうちに、ある思いを抱くようになってきた。それはワタクシがこの世を去ったあとに、家族に宛てた肉筆の手紙を残したいということ。悪くないアイデアだと思うんだけど、誰も読めなかったらシャレにならないもんね。日々練習っス。
美文字判定 書いて添削
【作者】Gloding Inc.
【価格】無料
【カテゴリ】App Store>教育
iPhoneやiPadのディスプレイに書いた文字を100点満点で採点し、3段階評価で判定。その出来を添削指導してくれる書き文字トレーニングのための無料アプリ。判定できる漢字は50文字と少ないが、ほかの漢字を書くときにも応用できる基本漢字を厳選して扱っているとのこと。軽快で使いやすいアプリだ。
美しい手書き文字は美しいオトナの証!
「美文字判定アプリ」にチャレンジ
【担当者後記】
今回のイラストの元ネタは、広告漫画として異様に高い知名度を誇る「日ペンの美子ちゃん」。懐かしさに目を細めた読者も多いのでは。1999年に各誌広告から撤退したそうですが、現在5代目美子ちゃんがWEBサイト(http://www.gakubun.co.jp/miko.html)で活躍中! でも2007年って…。更新求む!
【担当者後記】
クレジットカードで買い物したらiPadに署名。そんな場面もそれほど珍しくなくなってきた現代、タッチパネルに書くための手書き文字練習なんていうのも、これから必要になってきたりして。11月に発売されるiPadプロ&アップル・ペンシルの登場は、そんな未来を予感させます。