攻勢のマーケティング戦略
昨年の同イベントにおけるセンセーショナルな発表を経て、4月から発売が開始されたアップル・ウォッチ。アップル初のウェアラブルデバイスは、ケース(本体)の素材が異なる3つのコレクションや、自由に組み合わせが可能なバンドのラインアップを20種類以上用意するというバリエーションセンスで、ただのスマートウォッチではなく、ファションとして日々身につけても見劣りしない時計としての品格を持つ。それにより、ファッション層にも大きくアプローチするなど、発売後まもなく市場シェアのほとんどを占めるほどのスマッシュヒットを記録した。
好調な滑り出しを見せるアップル・ウォッチだが、その進撃の手をアップルは止めようとしない。9月22日には早くもメジャーアップデートとなる「ウォッチOS 2(watchOS 2)」をリリースし、機能の拡充を図る。
今回発表されたのは、スポーツモデルに「ゴールド」と「ローズゴールド」というiPhoneと同じ色合いを持つ2種類のケース、10種類以上の新しいバンドの追加だ。ケースとバンドのラインアップの選択肢を大幅にアップデートさせている。さらに、フランスの人気ブランドの1つ、エルメスとのコラボレーションモデルを発表し大きな話題を呼んでいる。
このカラーバリエーションの大量追加などは従来、よほどのことがない限り、行われることはほとんどなかった。ところが、その前例がまるでなかったかのように今回は発売から半年足らずの、このタイミングでのアップデートだ。
そもそもアップル・ウォッチの最初のお披露目がちょうど1年前の9月だったことを考えると、メインストリームは12カ月サイクルのルールで製品が計画されていることがわかる。そのうえですでにアップル・ウォッチを所持しているユーザにはソフトウェアの強化でより使いやすい環境を提供し、まだ購入を迷っているユーザにはラインアップを拡充して製品の魅力を高めるという施策をとっているように思える。ここからも、アップルがこのプロダクトにかける意気込みがよくわかるはずだ。