【もっと知りたい(1)】読み出し速度と書き込み速度の速度差は何?
SSDはHDDよりも高速ですが、フラッシュメモリはデータの消去に時間がかかり、ここだけを単純に比較するとHDDよりも時間がかかります。SSDがデータを読み書きする仕組みを解説します。
フラッシュメモリはデータ記録領域の使い方に特徴があります。メモリ上の「使用済み」領域にデータを上書きするときには新たに書き込む領域よりも広い範囲を一度に削除してから、その部分に書き込まなくてはなりません。
この書き込み方法は空き容量を有効に使えるHDDと比べると非効率ですが、搭載されたキャッシュメモリにデータを一時的に保存し、フラッシュメモリ上のデータの削除が終わると同時に一気に書き込んだり、使用済み領域を避けて未使用領域にデータを書き込むことで高速化を図っています。
SSDコントローラの種類によっては削除領域をさらに細分化し、効率のよいメモリの使い方をしています。また、SSDコントローラは複数のフラッシュメモリのチップに対して並列に書き込み、読み出しを行います。このため、フラッシュメモリ単体の転送速度を超えるパフォーマンスをSSD全体としては発揮できるのです。これは複数のHDDに並列にデータを読み書きして高速化するRAID 0と同様のテクノロジーです。
データ削除と上書きの仕組み
フラッシュメモリ内には、未使用領域と使用済み領域があります。使用済み領域には、使用中のデータ領域と、すでに使っていないMacからは見えないデータ領域があります。Macからは見えませんがメモリ上には「削除済みのデータ」として残っているのです。この使用済み領域に書き込むには、データをいったん削除して未使用領域にしますが、書き込む内容に対してデータ削除の範囲が大きく、効率がよいとはいえません。
未使用領域にデータを保存
未使用領域がまだ多い場合にはデータの削除が不要なので最高速度で書き込めます。このため、容量が大きく、未使用領域が多いSSDほど、速度の点で有利なのです。
【もっと知りたい(2)】SSDとフュージョンドライブって何が違うの?
Macを購入する際に、HDDとSSDのほかに高速な「フュージョンドライブ」というストレージを選択できます。SSDとフュージョンドライブはいったい何が違うのでしょうか。
フュージョンドライブはHDDとSSD、両方のメリットを併せ持ったストレージです。HDDはSSDと比べると容量に対する価格が安いため、写真や動画などの大容量データを保存するのに有利です。しかし、データ転送速度ではSSDにかなわず、OS X全体のパフォーマンスも下がります。
一方のSSDは、読み書き速度ともにHDDをはるかに上回るパフォーマンスを持っていますが、容量あたりの単価が高く500GB~1TBとなるとかなり高額です。
フュージョンドライブは、HDDとSSDを1つのストレージとして認識させ、頻繁に使うファイルやシステムファイルをSSDに、そうでないファイルをHDDに保存します。このため、作業中のファイルやOS Xの動作に必要なファイルに高速なアクセスが可能になり、システム全体のパフォーマンス向上と同時に、大容量かつ低コストを実現しています。
なお、フュージョンドライブ内のSSDとHDDへのデータ振り分けはOS Xが自動で行なうため、ユーザが意識して操作することはありません。
フュージョンドライブ搭載Mac
フュージョンドライブはiMac、Macミニで購入時に選択できます。 大容量データを扱うことも多いデスクトップMacで、1TBなどの容量を必要とする際にフュージョンドライブが有利です。
購入時に選択可能
21.5インチのiMacの場合、標準のHDDからフュージョンドライブに変更するとプラス2万4000円ですが、もっとも容量の大きなSSD(512GB)ではプラス6万円(いずれも税別)と、その差は大きくなります。
フュージョンドライブの特徴
フュージョンドライブはSSDとHDDを組み合わせたストレージです。容量が小さく、高速なSSDに頻繁に使うデータを、HDDには通常のデータを保存し、高速化しています。
【もっと知りたい(3)】高速なSSD PCIe 3.0 ×4って何?
Macで使われているSSDはPCIエクスプレス(PCIe)で接続されています。MacBookエアにも搭載されたより高速なSSD、PCIe 3.0 ×4とはいったいどんなものなのでしょうか。
現行のMacに搭載されているSSDは、一部を除き従来の「SATA」インターフェイスよりも高速な「PCIエクスプレス(PCIe)」を採用しています。このPCIエクスプレスはデータ転送を同時に行える「レーン」の数が速度を決めるポイントで、PCIe ×2(2レーン接続)よりもPCIe ×4(4レーン接続)に対応したSSDのほうが高速です。
2014年モデルのMacBookプロ・レティナディスプレイモデル(以下MBPR)では最上位の1TBモデルのみSSDが4レーン対応で、ほかの容量では2レーン対応だったため、同じモデルでも容量によって速度差がありました。
2015年モデルのMBPR、MacBookエア(13インチモデル)にはすべて「PCIe 3.0 ×4」対応のSSDが搭載されたことで、さらなる高速化を実現しています。2014年モデルのMBPR(512GBモデル)と比べてほぼ2倍、高速だった1TBモデルからも1.5倍高速化しています。このように見えない部分でもMacは進化を遂げているのです。
PCIe x4を搭載するMac
MacプロとMBPR、MacBookエア13インチモデルはPCIe x4レーン接続に対応しています。また現行のMacBookプロ/エアはPCIe 3.0が採用されています。
MacBookプロ搭載SSDの速度比較
Lata 2013では512MBモデルで読み書きが700MB/秒、4レーン接続の1TBモデルで900MB/秒でしたが、PCIe 3.0 x4の現行モデルでは1.5GB/秒近くまで高速化しています。
旧モデルも高速化可能
MBPR(Late 2013 512GB)モデルを使っているなら、PCIe 3.0 x4のSSDに交換すると読み書きが1.5GB/秒クラスのマシンに生まれ変わります。本体がPCIe 2.0でもSSD側で高速伝送に対応できます。
【これやっていいの?】手軽にストレージ容量を増やしたい!
MacBookエア128GBモデルなどを使用していると、ちょっとしたことでストレージの空き容量が足りなくなることがあります。内蔵SSDを交換すれば容量アップも果たせますが、分解して交換する作業はリスクもあり、交換するSSDも4万円から7万円と高額です。そこで、MacBookエアの13インチモデルに搭載されているSDカードスロットを利用してストレージを簡単かつ安価に追加してみます。
今回利用したのはnifty社の「The Nifty MiniDrive」で、手持ちのMBPRで試してみました。通常のSDカードと同じように挿入するとMBPRでは出っ張ってしまいましたが、各MacBookシリーズ(SDカードスロット搭載モデル)にピッタリのモデルもあります。なお、製品自体に付属するフラッシュメモリ(microSDカード)は4GBです。
(1)小型のSDカードアダプタ
通常のSDカードカードに比べると、とても小さなThe Nifty MiniDrive。付属のmicroSDカードか、手持ちのmicroSDカードを挿して利用します。
(2)差しっぱなしでもOK
各MacBookシリーズごと専用品が用意され、出っ張りがなく刺したまま常用が可能です。取り出しは付属の金具を利用し引き抜きます。
(3)普通のSDカードを挿すと…
通常のSDカードをストレージとして利用しても構いませんが、Macのボディからは大きくはみ出し、持ち歩く際に破損のおそれがあるため現実的ではありません。
[ 検証結果 ]
簡単に常時利用できるストレージが追加できた!
microSDカードを利用するため、高速な転送速度とはいえませんが、内蔵ストレージが128GBのMacBookエアであれば、数千円で1.5倍、2倍の追加ストレージが実現できます。データの保存先などとして利用するとよいでしょう。
【もっと教えて】
フラッシュメモリの寿命は、メモリセルへの書き込み回数による寿命のほかにもあります。メモリセルのフローティングゲートは長時間が経過すると絶縁膜を電子が通過してしまうため、電子の量が変化しデータが壊れてしまうのです。SSDの保存期間の目安は5年~10年といわれています。
【もっと教えて】
交換用として販売されている内蔵SSDは、各MacBookシリーズに合わせて販売されています。たとえばMacBookプロ 2013年モデルに、PCIe 3.0 ×4の1TB SSDを内蔵すれば転送速度は1.5GB/秒近くまで向上します。購入時にショップに相談してみましょう。