※今回は検証全体を通して、MacBookプロ15"(MBP)、MacBookエア11"(MBA)、MacBook12"(MB)の3機種を使用しました。
【検証】ベンチマークテスト
MacBookシリーズのパフォーマンスは必要十分なの?
MacBookシリーズは、現在3モデルで構成されています。馬力を必要とするユーザ向けのMacBookプロ、ポータビリティを重視するユーザ向けのMacBookエア、そしてモバイルの新しいスタイルを追及するMacBookというラインアップです。それぞれのモデルごとの立ち位置は、ある程度理解はしやすいのですが、いざ実際に使用するときのパフォーマンスにはどれほどの違いがあるのでしょうか。各モデルの中から11インチMacBookエア、12インチMacBook、15インチMacBookプロをピックアップして、基本的なベンチマークテストで比較してみました。
結果は下のグラフを参照いただければと思いますが、スコアは非常に順当なものになりました。やはり、コアi7プロセッサを搭載するMacBookプロは、どのテストにおいても抜きん出ており、唯一コアiシリーズではなく、コアMプロセッサを搭載するMacBookがもっとも遅いという結果でした。
また、今回はこれまでとは趣向が変わったテストをしてみました。CPUの性能を測る「シネベンチ(Cinebench)」の結果を、それぞれの本体価格で割った、文字どおりコストパフォーマンスを算出してみたのです。すると、MacBookとMacBookプロのスコアがほぼ一致し、MacBookエアのコストパフォーマンスがもっともよい結果となったのです。価格とパフォーマンスは決して比例するものではなく、価格が高いからといっても、決してハイパフォーマンスではないということになります。これまでの常識が通用しないということに気づかされる結果でした。
Cinebench(CPU性能テスト)
CPUの性能を計測する「シネベンチ(Cinebench)」での結果。MacBookプロは疑似8コアに対応するコアi7を搭載しているため、とくにマルチCPUの結果が突出しています。一方MacBookは、このグラフにはないですが、数世代前のMacBookエア並みの結果。
Heaven(3D描画テスト)
3Dグラフィックスのベンチマーク「Unigine 'Heaven' Benchmark 4.0」を使ったテスト。単位はfpsで、比べるならAvg(平均)のグラフを見るのがいいでしょう。3Dゲームが滑らかに見えるのは30fps以上なので、残念ながらその域に達しているのはMacBookプロだけでしょう。
コストパフォーマンスチェック
シネベンチの結果を本体価格で割った"コストパフォーマンス"を算出したグラフ。順番が入れ替わり、MacBookエアがもっともコストパフォーマンスよいです。逆に、MacBookプロのコストパフォーマンスがMacBookと同等だったことに驚きです。
【検証】バッテリ耐久テスト
フルパワーでCPUを回したらバッテリはどれだけ持続するの?
一昔前のノート型Macは、たとえば駆動時間は公称5時間で、実際には2時間程度という、バッテリ駆動「できる」Macというイメージが正直ありました。基本的に電源アダプタはつないだままで、となると出かける際には電源アダプタを忘れないようにしなければならないし、喫茶店などで使うには、とにかく電源が取れるかどうかが気になったものです。
しかし、現在のMacBookシリーズは、全ラインアップが外部電源なしでほとんど日中使えるほどのスタミナを備えています。プロセッサの消費電力が下がったことに加え、OS Xの消費電力性能もアップしたことが大きな理由といえます。
ここでは、「Prime95」というソフトを使ってCPUの負荷を最大にし、バッテリ残量を1時間観察しました。その結果から計算すると、15インチMacBookプロは1.7時間、11インチMacBookエアは1.6時間なのに対し、MacBookは3時間と大きく引き離しています。フルパワーで検証したことで明らかとなったのは、MacBookに搭載されたコアMの消費電力の少なさ。
ただし、MacBookにはファンがないため冷却は自然放熱に頼っており、おそらくは発熱を抑えるためにクロックが下がった結果、バッテリ消費が抑えられたのでしょう。バッテリの減り方が15分あたりから少なくなっているのもその仮説を裏付けます。
Prime95
【発売】Mersenne Research, Inc.
【価格】無料
【URL】http://www.computerbase.de/downloads/systemtools/prime95/
MacBookは放熱限界に
フルパワーでCPUを稼働させたときのバッテリ消費を60分観察。プロとエアがほぼ一直線にバッテリを消費しているのに対し、MacBookは20~30分で緩やかになったのは、放熱限界に達したためクロックが下がったと推測できます。
MacBookは東京~岡山間まで使える
移動しながらフルパワーで使うシーンはあまり考えにくいですが、検証結果から算出した持続時間を東海道新幹線でプロット。MacBookなら東京から新大阪を越えて岡山の手前まで使い続けられますが、MacBookプロとエアは名古屋~京都の間までしか持ちません。もちろん、通常の作業ならすべてのモデルが山陽新幹線に乗り入れて博多まで使えます。
エア13"とプロ13"がもっとも長持ち
かつてノート型Macのバッテリ動作時間の公称値はあまり当てにならなかったものですが、現在はむしろこの数値よりも長持ちする場合があります。 ※iTunesムービー再生
【検証】バッテリ待機時間テスト
iPad並みのスタンバイ時間は本当なの?
かつてのMacBookはスリープであっても、そのまま放置すればどんどんバッテリが減り、数日間もすればほとんどカラになっていたものです。しかし、最新のMacBookシリーズならばそんな心配は要らない、とアップルは謳っています。それは本当なのか検証してみましょう。検証方法は、パワーナップをオフにして12時間放置したあとのバッテリ残量をチェックし、そこから何日で0%になるのか計算しました。
結果は左のとおりで、MacBookプロが666時間(約27日)、MacBookエアが333時間(約13日)、MacBookが188時間(約7.8日)でした。アップルは30日間のスタンバイが可能と謳っていますが、スペックどおりにはいかないようです。実際に筆者はエアからMacBookに乗り換えたのですが、個人的にはMacBookのバッテリが減りやすいイメージがあります。
MacBook Proは約1カ月待機可能
意外なことにMacBookプロが、もっとも待機可能な日数が多かった、という結果に。最小限の電力消費は各Macとも一定であり、単純にバッテリ容量の差が出たというわけでしょうか? 特にMacBookは計算上1週間程度でバッテリが減ってしまうので、使わないときは電源アダプタを接続しておくようにしましょう。