1ステップの重さ
これまでアップルのWEBサイトは、通常の製品情報ページとは別にオンラインストア内にも製品情報があり、似たような内容が重複していた。今年8月、アップルはこうした状況を改善し、ストアのタブをなくして製品ページから直接購入に進めるようになった。
また、各種アクセサリは、MacやiPad、iPhoneといった製品カテゴリの中から辿っていく仕様に変わった。これまでアップルのオンラインストアでは、MacやiPhoneなどの本体とアクセサリが分かれており、訪問者はオンラインストアに移動してからアクセサリページを表示し、そこからアクセサリのジャンル→個別の製品と階層を辿っていく必要があった。しかし新しいアップルのWEBサイトでは、製品カテゴリを選ぶとそこに[アクセサリ]ボタンがあり、そこから対応製品を探していける。
これらの変更は、よく考えれば非常に理にかなったものだ。訪問者にとっては、製品情報からすぐに購入できたほうが手っ取り早いし、目当てのアクセサリに素早く辿り着けるのもありがたい。手順からすると1つ減っただけともいえるが、「手順を1つ減らす」ことはインターネットにおける購買行動上かなり重要なポイントとなる。
より迷わないWEBサイトへ
また、新しいアップルのWEBサイトは、製品の購入以外でも数多くの改良を施している。その1つが検索機能の統合だ。旧来のWEBサイトに設けられていた検索機能は、開いているページによって検索結果が変わる仕様だった。たとえばサポート情報を探したいときには、サポートページを表示してから検索する必要があり、トップページから検索しようとしてもサポート情報はヒットしなかったのだ。訪問者がこの仕組みに気づくことは難しく、「なぜ表示されないのだろう?」と困惑してしまうことになる。こうしたユーザビリティ上の問題点も解消されているのだ。
加えて、サイト内検索の検索窓の位置が右端から上部中央移動したという点も案外大きなトピックだ。サファリというWEBブラウザ自体が、中央のロケーションバーにURLや検索キーワードを入力して操作する仕様になっており、WEBサイトのほうも位置を揃えてインターフェイスの一体感を高めたのだろう。
リニューアルがもたらす福音
現在、インターネットのトラフィックはスマートフォンが主流を占めている。iPhoneやiPadのユーザであればアップルストアの専用アプリから製品を購入することが可能だが、アンドロイド端末やウィンドウズ・フォンのユーザはWEBブラウザから購入操作を行うことになる。製品情報とオンラインストアが分かれた旧来のWEBサイトの場合、製品の購入アクションに辿り着くのは少々面倒だったはずだ。しかし、アップル製品を購入するのは既存ユーザだけとは限らない。今回のリニューアルは、こうしたファーストコンタクトのユーザにも配慮した結果だと感じさせる。
内部的には、これまでのオンラインストアの情報をそのまま流用し、製品カテゴリごとのアクセサリ絞り込みページなどを追加することで統合したように見せている部分もある。しかし、WEBサイトの利用者にとってみれば、便利になるに越したことはない。今回のリニューアルにより、インターネット利用者がオンラインでアップル製品を知り、さらに購入にまで辿り着く機会がますます増えていくはずだ。
【NewsEye】
これまで、アップルの公式サイト(【URL】http://apple.com/)とオンラインストア(【URL】http://store.apple.com/)はドメイン(URL)が分かれていたが、統合によりオンラインストアのドメインはなくなり、URLを入力すると公式サイトに自動転送される。