確認しておきたい対応デバイス
iOS 9のポイントはプロアクティブとプロダクティビティである。プロアクティブについては8月号で解説したので、今回はプロダクティビティについて詳しくみていきたい。その前にiOS 9のリリース時期と対応デバイスをおさらいしておこう。
例年のスケジュールならば9月中旬から下旬にアップデータが「設定」アプリに配信されるはずだ。ここで気になるのは自分のデバイスがアップグレードできるのかどうか。しかし、安心してほしい。現行のiOS 8が動作するiPhoneやiPad、iPodタッチはもれなくiOS 9にアップグレード可能だ。
さらに、iOS 8のアップグレードにはデバイスの空き容量が4.58GBも必要だったが、今回は1.3GBに縮小している。16GBモデルのユーザはいったんアプリを削除するなどの面倒を強いられたが、これなら多くのユーザがアップグレードしやすくなるだろう。
ただし、iPadにおいての目玉機能であるスライドオーバーは、A5チップ以上が必要なので、iPadエア以降およびiPadミニ2以降が必要だ。さらにスプリットビューにおいてはA8チップが必要なので、iPadエア2のみとなる。さすがに完全なマルチタスキングはパワーが必要なのだろう。こればかりは現時点での最新モデルのみの対応となる。
生まれ変わった「メモ」アプリにアイデアを記録
iOS 9では、iOSデバイスで重宝されている「メモ」アプリがまるで別のアプリに生まれ変わった。
まずは、買い物リストやTo Doリストなどに使えるチェックリストが作成できるようになった。iOSには「リマインダー」アプリがあるが、このチェックリストは単なる「備忘録(リマインダー)」には収まらない。画像やWEBサイトのリンクなども貼り付けられるようになったため、あわせて使えば、必要な情報をより具体的に体系立ててまとめることが可能だ。
そして、手書きによるスケッチ機能も搭載された。文章化しにくいアイデアは、紙のメモに直接書いたほうが早い。それをiOSデバイスで行える。
作成したメモの内容は、アイクラウドを通じて自分のすべてのデバイスと同期される。Macで作った買い物メモをiPhoneでチェックできるわけだ(Macはエルキャピタンが必要)。逆にiPhoneでメモしたスケッチをMacで閲覧し、さらに具体的な形に落とし込むという使い方もできる。
強化されるセキュリティ
iOS 9では、セキュリティも強化される。タッチID搭載デバイスが増えたことでパスコードを設定していないユーザは減ったはずだが、それでも4桁のパスコードの組み合わせは1万とおりしかない。そこで、iOS 9ではタッチIDを有効にしているときのデフォルトが6桁に増える。これにより100万とおりの組み合せになり、パスコードの解読は非常に難しくなる。
さらに、現在使われている二要素認証が改良される。二要素認証とは、新しいブラウザや新しいデバイスからアクセスするときは、ほかのデバイスまたは電話に認証コードが送られ、それを入力しなければサインインできなくなるセキュリティシステム。これはオンラインバンクなどで採用されている認証方法でもある。
現状では新しいデバイスからアイクラウドなどにサインインするとメールが届くだけ。不正なサインインに気づくことはできるが、防止はできない。
現時点でも[簡単なパスコード]をオフにすることで、英数字を使ったパスワードを設定できる。文字種も桁数もわからないため非常に安全になるのだが、使っている人はあまりいないだろう。